安全衛生経費とは?適切な確保の方法を徹底解説

安全衛生経費とは?適切な確保の方法を徹底解説

建築現場ではここ近年、安全衛生への意識が非常に高まっています。
大手企業では、現場での安全を第一に考えた施工が行われており、大手企業や官公庁では安全衛生経費の適切な確保が求めるようになっています。

この記事では、安全衛生経費について具体的にどのような経費か、一からわかりやすく解説していきます。

安全衛生経費とは?

建築工事には、あらゆる費用が発生しています。
そのなかでも今国内で注目されているのが、工事に従事している作業員の方たちの安全や衛生を守るための費用です。
実際に従事している作業員も自らの安全が保証された環境で働けることで、仕事のモチベーションをアップさせることができ、作業のクオリティ向上にもつながります。

そこで、安全衛生経費として、建築工事において労働災害を防止するための費用を用意することで、万全を期した工事を行っています。

安全衛生経費の重要性

建築工事には高所での作業も伴うために、どうしても作業員が事故やトラブルを起こしてケガや命に係わるような労働災害に見舞われることが日々起きています。
この時に発生する作業員のための治療費や、遺族への賠償金などといった費用はすべて企業が支払うことになります。

そのため、労働災害の防止はまさに会社における責務です。

事故の中には、やむを得ずに起こってしまうようなトラブルや事故はつきものでもあります。
しかし、中には安全管理がされていれば未然に防ぐことができていたという事故もたくさんあるでしょう。

労働災害を防止するために多額の費用を費やしている企業は増えつつあります。
労働災害によって、最悪のケースでは会社の財産ともなっている従業員命に係わるケースも生じます。
この時、親族にとっても辛い思いをさせてしまうことになりますし、さらには慰謝料を求められる場合や事業所をいったん休業する必要も生じるため、経営面でも多大なダメージを受けることになるでしょう。

会社の信用が失われることにもつながり、会社の存続も危ぶまれてしまう可能性すらあります。

そのため、安全衛生経費を会社の予算の一つとして計上することは、非常に重要な意味を持っています。

安全衛生経費の内訳

ではここで、安全衛生経費の内訳について詳しく見ていきましょう。
安全衛生経費は、直接工事費間接工事費の2つに分かれています。

このうち、直接工事費とは、現場の施工時に作業員の安全に作業するために必要となる費用を指しています。
たとえば、足場や支保工、また作業スペースを確保するための作業構台、地下水の侵入を防ぐための土留などがこれです。

間接工事費は、備品の調達や現場以外の安全を確保するために必要となる費用を指し、共通仮設費現場管理費に分けることができます。

共通仮設費では、関係者以外の立ち入りを禁止するために必要となるバリケードの設置や安全管理のための作業指揮者・連絡員の確保、そしてフルハーネスやヘルメットなどの保護具といった安全費がこれにあたります。

また、作業員の方の健康診断や特別教育、救護や避難の訓練にかかる費用が現場管理費にあたります。

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適切な安全衛生経費の確保の方法

では、企業が建築工事において適切に安全衛生経費を確保するために、どのような方法を採っているのか具体的に解説していきます。

負担者の明確化の流れ

厚生労働省や国土交通省では、労働災害防止のため建設業法令遵守ガイドラインを定めることによって、労働災害防止対策の実施者と安全衛生経費の負担者を明確化し、手順などを提示されています。

ここでは、負担者の明確化の流れについてご紹介します。

国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」

STEP01

元請負人による見積条件の提示

元請負人は見積条件を提示する際、ただ工事内容を伝えるだけではなく、労働災害防止の対策を実施する者やその経費の負担者の区分を明確にする必要があります。
そのうえで下請負人がこれから実施される労働災害防止対策を把握し、安全衛生経費を正確に見積らなければなりません。

どのくらいの予算が工事にあてられているのか、費用を負担しているのは誰かということが明確になっていないと仕事がスムーズに進まなくなる可能性があります。

STEP02

下請負人による安全衛生経費の明示

下請負人は、元請負人から提示された見積条件をもとにして、負担すべき労働災害の防止に必要となる全衛生経費を正確に見積もり、元請負人へ提出する見積書に明示しなければなりません。

安全衛生経費は、作業員全員の安全を確保するために必要なコストですから、決して項目に漏れやミスがないように気を付ける必要があります。

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STEP03

対等な立場による契約交渉の実施

建設業法第18条において元請負人は、労働災害防止対策の重要性に関する意識を共有して、下請負人から提示された労働災害防止対策に関する経費が明示された見積書を重んじながら、お互い対等な立場で契約が交渉することが義務付けられています。

たとえば、元請負人が無理難題を提示したうえで、下請負人が安全衛生経費を確保できない状況となると、危険な環境で施工が行われ事故やトラブルを起こす可能性が高くなってしまいます。

そうした事態を防ぐためにも、それぞれの契約交渉は対等でなければならないとされているのです。

STEP04

実施者と経費負担者を契約書に明示

元請負人と下請負人は、契約の締結する際には書面へ安全衛生経費の負担者や労働災害防止対策の実施者、安全衛生経費をどのくらいかけるか内訳を書きます。
その内訳は、契約書面で明示しなければなりません。

STEP05

請負代金支払時の適切な対応

契約が締結したら、施工が行われていきます。
その際、見積条件や契約の際の書面に、下請負人の負担であることを特に明示していないのに、合意なく提供・貸出を行った安全衛生保護具などの費用を差し引くようなことがあってはなりません。

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安全衛生経費の確保の際の注意点

安全衛生経費の確保の際にはいくつか注意しておかなければならない点があります。
対応によっては法律違反に値することがありますので十分注意しましょう。

たとえば、既述ではありますが、元請負人が事前に提示した見積条件に対して下請負人の負担になっていることを明示していないケースが挙げられます。
一方的にヘルメットなどの保護具などの労働災害防止対策の費用を、代金の支払時に差し引くのは建設業法第20条第3項に違反します。

また、見積条件ではなく契約書面に明示されていないのに差し引くケースは、建設業法第19条に違反することになるので注意しましょう。

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まとめ

安全衛生経費は建設工事を行ううえで、作業員の安全衛生を確保するために非常に重要な費用となっています。

労働災害が日々取りざたされている建築業において安全衛生経費はなくてはななく欠かせない費用です。
国をあげてガイドラインを作成し経費の負担者を明確化するように示されているほどです。

従業員・作業のモチベーション向上、クオリティの向上のためにも、必要な経費ですからぜひ適正な安全衛生経費を確保しましょう。

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AIPPEAR NET 編集部

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