大規模な建物をスピーディーに建てる際に選ばれているのが、システム建築です。
システム建築とはどのような工法なのか、その特徴をプレハブ建築や在来工法との違いとともに確認していきましょう。
また、システム建築のメリット・デメリットも解説していきます。
システム建築とは
システム建築は、設計から施工までがシステム化された工法です。
工場や商業施設、倉庫や物流施設、最終処分場など大型建物の建築に適しています。
シンプルな形で、耐久性と機能性が重視される建物であれば、部材や工法を標準化しやすいからです。
システム建築の特徴と、プレハブ建築、在来工法との違いも見ていきましょう。
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システム建築の特徴
システム建築では、建物の構造を構成する鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材が標準化されます。
部材の寸法や形状、配置などをルール化することで、スピーディーに建築ができるようになります。
コンピューターを用いて作成された設計図や施工図に従って部材を組み立て、建物を作ります。
そのため、熟練の職人でなくても施工がスピーディーで高品質な仕上がりが期待できます。
プレハブ建築との違い
プレハブ建築はシステム建築に似ていますが、よりシンプルです。
プレハブ建築は、柱や梁、壁材などの部材を工場で製造したうえで、現地で組み立てる工法です。
部材の規格が定まっている点が、システム建築と違います。
システム建築では、部材は標準化されるといっても、1つの建物の設計、施工ごとに標準化を行います。
つまり、プレハブ建築に比べて設計の自由度が高く、1ミリ単位の柔軟な設計も可能です。
そのため、システム建築では、無柱スパン60mの建物や、中間柱を入れて最大120mの大空間を実現するなど、大規模建築が実現できます。
在来工法との違い
工場や倉庫といった大規模建物の建築に用いられる在来工法は、主に鉄骨づくりです。
在来工法はオーダーメイドであり、1つずつの建物ごとに設計を行い、それに基づいた寸法に部材を整えます。
デザインの自由度が高く、用いる部材の種類やグレードも希望に合わせて選ぶことが可能です。
この点が、部材が標準化されたシステム建築との違いです。
標準化、システム化で速やかな施工ができるシステム建築に対し、在来工法は工期が長くなり、熟練の職人技が求められます。
在来工法は工期が最低でも半年程度かかりますが、システム建築なら2.5ヶ月~と工期が短縮できます。
工期に差が出るのも、違いの一つです。
工期に関する記事はこちら
システム建築のメリット・デメリット
大規模建物を建てる工法には、システム建築のほか、プレハブ建築や在来工法という選択肢もあります。
どの工法を選べば良いのか、システム建築のメリット・デメリットから紐解いていきましょう。
メリット
システム建築の主なメリットは以下の三点です。
- 耐震性が高く、耐久性に優れている
- 高い品質が維持できる
- 設計がスピーディー
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1
優れた耐震性・耐久性
システム建築は、あらかじめコンピューターで計算されて設計された部材を、設計図通りに組み立てることで完成します。
建築基準法にもとづき、正確な構造計算を行ってシステム的に設計されるので、耐震性もしっかり確保されています。
また、耐震設計をしたうえで強度の高い部材で組み立てるので、耐震性が確保され、耐久性にも優れているのがメリットです。
在来工法に比べてデザイン性が低い分、奇抜な形状になりません。
その分耐震設計もしやすく、耐震性に配慮した安定的な形状の建物にできるので安心です。
メリット2
高品質が維持できる
設計から施工までシステム化され、ヒューマンエラーなどが防げるので、品質の維持がしやすいです。
システム建築を専門的に提供する建築会社に施工されるので、これまでの実績からも品質を確かめることができます。
オーダーメイドの在来工法と異なり、一つひとつに大きな差がなく、同じルールにもとづいて施工されるので、品質の維持がしやすいです。
メリット3
スピーディーな設計
コンピューターで設計を行うので、スピーディーな設計ができます。
在来工法のような完全自由設計ではなく、システム化された中でカスタマイズするので、在来工法に比べて短時間で設計ができるのがメリットです。
工場や倉庫の増設や商業施設のオープンを急いでいるなど、短納期での施工が求められる場合に適しています。
設計から組み立てまでシステム化できるので、メーカーや建築業者によっては、屋根と母屋がフレームと一体化した合理的な構造にすることで、より短期間での施工が実現できます。
また、エンドプレートによる現場接合方式を採り入れることや部材点数を最小限に抑えることで、工期の短縮、組立精度の向上が可能です。
デメリット
では、システム建築のデメリットは、どのような点でしょうか。
主なデメリットとして、以下の二点が挙げられます。
- 柔軟性が低い
- 小規模建築には不向き
詳しく確認していきましょう。
デメリット1
低い柔軟性
部材が規格化されているので、部材も自由に選べてオーダーメイド設計ができる在来工法に比べると、設計の柔軟性が低いです。
そのため、デザイン性の高い建物を建てたい場合には不向きです。
工場や大型商業施設、倉庫のような定まった形状の建物に向いています。
また、部材が規格化されているので、部材の寸法の何倍といったサイズになるのが基本です。
そのため、希望通りのサイズの建物を建てられないケースも少なくありません。
デメリット2
小規模建築には不向き
屋根や外壁などの部材が標準化されているので、そのサイズに適した建物でないと組み立てができません。
システム建築は重量鉄骨造を基本としており、大型建物を施工するのに適した構造であるため、小規模建築には不向きです。
在来工法では、木造の戸建て住宅も建てることができます。
また、プレハブ建築では、小さな事務所や店舗、仮設住宅などの建築が可能です。
これに対して、システム建築は、小さな住宅や店舗などの建築には向いていません。
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まとめ
システム建築とは、部材を標準化し、部材の製造から設計、組み立ての一連の流れをルール化する方法です。
これに対しプレハブ建築は、規格化された部材を現場で組み立てる工法です。
低コストでスピーディーですが、システム建築より設計の自由度が劣ります。
また、在来工法は、一つひとつの案件ごとに設計から施工までオーダーメイドで行う方法です。
設計の自由度は高いものの、システム建築に比べて工期が長くコストも高めです。
システム建築のメリットは、耐震性が高く、耐久性に優れていること、高い品質が維持できること、設計がスピーディーな点です。
システム建築のデメリットは、柔軟性が低いこと、小規模建築には不向きなことです。
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