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ウクライナショックが建築業に与える影響とは?現状や対処法を解説

ウクライナショックが建築業に与える影響とは?現状や対処法を解説

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、世界中に衝撃を与えました。
侵攻開始から1年以上経つ2023年3月現在においても、ロシアによる侵攻は続いており、先行きの見えない状態です。
1年以上にも及ぶウクライナ侵攻は、日本を含む世界中の国々に様々な形で影響を及ぼしています。
そのひとつがウクライナショックと呼ばれるものです。

この記事では、日本の建築業にも大きな影響を与えるウクライナショックについて解説していきます。

目次

ウクライナショックとは?

ウクライナショックとは、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻によって、世界中が受けた様々な影響のことを指しており、ウクライナ危機とも呼ばれます

いまだウクライナへの侵攻を続けるロシアに対して欧米諸国による厳しい経済制裁や、ロシアによる非友好国に対する輸出制限などが現在行われています。

こうした世界情勢を受けて、石油や天然ガスなどのエネルギーや木材の供給が世界的に不安定になっている状況を、総じてウクライナショックと言います。

日本への影響

日本も例にもれず、ロシアに対して木材、機械類など38品目のロシア産製品の輸入を禁止する制裁措置を実施しています。
またロシアからの輸出を制限される非友好国には、日本も含まれています。

そのため、これまでロシアからの石油や木材の輸入に依存していた日本は、エネルギーや木材の不安定な供給という問題に直面しています。

ウクライナショックの影響

ウクライナショックは具体的にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

ここでは

  1. エネルギーの高騰
  2. 木材の高騰

この2点に焦点を当てて、具体的に解説していきます。

エネルギーの高騰

ウクライナショックによる大きな影響の1つは、エネルギーの価格高騰です。

ロシアは世界でもトップクラスの産油国です。
大手石油関連企業であるBPの統計によれば、ロシアの2021年における石油生産量はアメリカに次いで世界2位に位置しています。

そのため、各国による経済制裁によって原油の供給が不安定になることへの危機感から、原油価格が世界的に高騰している状況です。

日本は石炭LNG(液化天然ガス)のロシアからの輸入量が多いため、よりエネルギーコストの高騰が懸念されます。

建築業では、現場で重機を使用する際や資材の製造・輸送の際に多くのエネルギーを使用するため、エネルギーの高騰による影響はかなり大きいと考えられます。

木材の高騰

もう1つの考えられる大きな影響が、木材の高騰です。

全世界のおよそ2割の森林が集中していると言われるロシアは、原木輸出量も世界有数です。
日本でもロシアは主要な原木輸入国の1つです。

日本の木材輸入量 グラフ

林野庁による統計では、ウクライナ侵攻以前の2021年における日本の製材の輸入量の17.5%は、ロシア産の製材が占めていました。
単板の輸入に至っては、2021年ではロシア産のものが8割を占めており、いかに日本がロシア産の製材に依存していたかが伺えます。

しかし、ウクライナ侵攻による経済制裁によって、ロシアからの原木の輸出入は厳しく制限されてしまったため、木材の価格は高騰しています。
製材会社や建材メーカーも、資材不足や価格高騰に悩まされており、建築業への直接的な影響は免れません。

ウクライナショックが建築業に与える影響

ウクライナショックが日本を含む世界中でどのような影響を与えているのか見てきました。
ここからは、建築業に対してどのような影響が及んでいるのか、具体的に解説していきます。

建設コストの高騰

まず懸念されるのが、建設コストの高騰です。

先程ご説明してきたように、ウクライナショックによってエネルギーや木材の価格高騰が起き、大きな影響を与えています。
これまでロシア産の資材を安価に仕入れていた建築業において、こうした状況は住宅建築の価格に大きく影響します。

また、住宅用の設備に用いられるステンレスの原料となるニッケルや、半導体の材料のパラジウムなども、ロシア産のものがかつては多く利用されていました。

このように、建築工事に関わる資材の価格が高騰し続けることによって、建築工事などにかかる費用の値上げも余儀なくされているのが実情です。

納期の長期化

建設コストの高騰にともない、建築業において懸念されているのが納期の長期化です。
輸送に使用する燃料や、工事に必要な材木が不足しているため、計画通りに資材を仕入れることができず、工期が延びてしまう、といった事態が起こり始めています。

新型コロナウイルスによる住宅需要の高まりにより、世界中で木材の需要がひっ迫していることも合わさり、資材不足は深刻な問題です。
様々な要因が重なっているため、材木の供給がいつ安定するかの見通しはいまだ立っていません。

そのため、今後も住宅建設の注文が入っていても、工事を始めることができないという状況は、続いていくものと考えられています。

建築業はウクライナショックにどう対応すべき?

では、このように深刻な影響を及ぼすウクライナショックを受けて、建築業はどのような対処をしていけば良いのでしょうか。

以下では、ウクライナショックの今後の見通しと、現在建築業において対処法として注目される、国産材と地産材についてご紹介していきます。

ウクライナショックはいつまで続くのか

いまだ終わりを見せないロシアによるウクライナ侵攻ですが、ウクライナショックはいつまで続くのでしょうか。
現状、ウクライナショックがいつ終わるのか、明確な見通しは立てられていません

新型コロナウイルスによって停滞していた経済活動が活発化し始めているため、これまでひっ迫していた木材の供給不足も改善で向かうのでは、という見方もされています。

一方で、世界各国からのロシアに対する経済制裁は、今後さらに長期化するとの予想もあるので、エネルギーや木材のさらなる価格高騰が懸念されます。

国産材・地産材の利用

建築業における深刻な材木不足問題の解決に向け、今注目されているのが国産材・地産材の利用です。

日本は国土の約67%を森林が占める、森林率の高い国です。
そのため、輸入に頼らず、国内の木材を使っていこうという動きが建築業では高まっています。

また国産材や地産材を積極的に使うことは、輸入の際に発生する輸送コストや二酸化炭素を抑えることができるので、SDGsの観点からも注目されています。

政府による国産材の使用支援

日本は資材として使える材木を豊富に有している一方で、林業や製材業の衰退により木材自給率は停滞してしまっています。
そこで、材木の不足や価格高騰を解決するために、「国産材転換支援緊急対策事業」が全国木材組合連合会により立ち上げられました。

これはウクライナショックにより影響を受けた材木製品を、緊急的に増産して流通させるための支援事業です。

具体的には、

  • 国産材製品の増産にともなう原木・製品の運搬
  • 原木・製品の一時保管
  • 国産材製品へ転換を図る設計・施工方法の導入、普及に要する経費

これらの臨時的な支援がされます。

国産材転換支援緊急対策事業 申請の流れ

このように、ウクライナショックによる影響を少しでも軽減させるために、国をあげて国産材や地産材を積極的に利用する動きがなされています。

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まとめ

ウクライナショックは、私たちの身近な生活にまで影響を及ぼしており、決して他人事ではありません。
特に建築業に携わる方や、これから住宅を建設したいと考えている方にとっては、今後の生活に直接影響してくる問題です。

世界情勢は常に変化し続けているので、これからも世界の状況についてアンテナを高く張り、情報感度を高くしておきましょう。

また、こうした状況に対して様々な事業による対策も行われているので、これらを積極的に利用し、一刻も早くウクライナ侵攻が終焉することを願いながら、ウクライナショックを乗り越えていきましょう。

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