社会人の基礎、上司への報告やチームでプロジェクトを進める際の情報共有の基礎ビジネスマナーとして「報連相」があります。ところがネットを検索をすると、「報連相はもう古い!」と主張する記事がたくさんヒットします。これはどういうことなのでしょうか?
今回は、ITシステムを開発・販売を通じて50社以上にコンサルティングをしているモーリーが報連相について改めて調べます。
- 部下との情報共有に悩んでいて今一度「報連相」の大切さを考えたい方
- どうすれば会社全体で適切な「報連相」が出来るのか悩んでいる経営者の方
上記のような方々は、ぜひご一読ください。
報連相(ほうれんそう)とは
現在のビジネス現場で報連相はどのように活用されているのか振り返ってみましょう。
報連相は、「報告」「連絡」「相談」の3文字からくる略称で、業務を円滑に進めるためのノウハウです。
「報告」は業務状況を知らせること
「報告」は業務を指示された部下が、上司に向けて行うものです。
- 業務指示を受けた部下が、その業務が完了したこと(または途中経過)を上司や先輩に報告する
- 指示を受けた業務においてトラブルが発生したことを速やかに上司・先輩・監督などに報告する
「連絡」は決定事項を関係各所に通達すること
「連絡」は決定事項を関係各所に通達するために行うものです。直接対応している当事者同士だけでなく、周囲の関係者にも通達します。
- 会社の方針や決定事項など、全社的に知っておくべきととを連絡する
- 人事部からの人事異動や新規採用などを他部署全般に連絡する
- 急遽当日欠勤になったことを上司に連絡する
「相談」は困っていること・迷っていることについて判断を仰ぐこと
「相談」は自分一人では判断に迷った場合に、詳しい先輩や上司に判断を仰ぐことです。
- お客様への提案方法を上司に相談する
- 提案資料に出す情報はどちらのほうが適切かを先輩に相談する
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報連相ができない理由
では、部下が報連相できない理由としてよく上がる4つの理由をご紹介します。
上司に怒られたくない
報連相をした結果、上司に怒られてしまうことを部下が恐れているのかもしれません。
スケジュールの遅延やお客様からのキャンセルなど、悪いことを報告しなければならない時ほど報連相を避けてしまいます。
どういう時に報連相するべきかの判断基準を理解していない
どんな情報であれば報連相をする必要があるのかを理解していない可能性があります。
また、部下自身はいずれ共有するつもりでいても「後でいいや」と思っているかもしれません。報連相の対象となる内容やタイミングを理解していないケースです。
どう伝えればいいのか分からない
報連相をしなければならないことは理解していても、どういう伝え方をすればいいのか分からなければ適切な対応が出来ません。
間違った報連相をしたくないというプライドや間違った結果上司に怒られたくないという萎縮で、報連相が出来ないケースです。
報連相の重要性を理解していない
そもそも報連相の重要性が理解できていない部下は、わざわざ上司と情報共有する必要が無いと思っているのかもしれません。もしかすると、報連相しなくても一人で解決できると思っている可能性もあります。
普段は支障が無かったとしても、大きなトラブルに繋がる前に理解してもらう必要があります。
適切な報連相のために上司ができること
部下に適切な報連相をしてもらうために、上司はどのようなことができるのでしょうか。
3つのポイントをご紹介します。
報連相が行いやすい関係性を構築する
部下が報連相を行えるようにするために、行いやすい環境・関係性を構築しましょう。そのためには「おひたし」の考え方が有効です。
よく新人さんに報告・連絡・相談(ほうれんそう)を教えるけど、自分はその報告に対して お:怒らない ひ:否定しない た:助ける(困り事あれば) し:指示する と『ほうれんそうのおひたし』で心掛けてる。悪い内容でもこの点を注意してると新人さんは早めに相談してくるので対策打ちやすい — Hound (@Hound_7) September 19, 2017
「おひたし」は、部下の報連相を受けた上司の心構えです。
お:怒らない
ひ:否定しない
た:助ける(困りごとがあれば)
し:指示する
この考え方を提唱したHoundさん(@Houd_7)はこのルールを敷くことで部下が報連相をしやすくなったといいます。ポイントは、指示する際や注意や指摘が必要な場合には具体的であることです。
報連相の具体的な方法・ルールを決める
どういった場合に報連相が必要なのかを誰もが理解できる普遍的な方法・ルールを設定しましょう。
- どういう情報が報連相の対象になるのか
- 情報によってどれくらいのタイミングで連絡する必要があるのか
- 伝えるときにはどんな伝え方をするのか
これらを具体例を交えながら伝えることが有効です。部下が報連相にチャレンジした時は「おひたし」の態度を忘れずに。
重要性を伝える
どれだけ具体的な方法を指導していても、イレギュラーな業務等によって多忙を極めた場合には報連相の優先順位を誤って下げてしまう可能性があります。
そのような判断を部下に任せることが不安なうちは、報連相が漏れた場合に起こりうるリスクを伝えたうえで、「最優先事項であること」を伝えておきましょう。
適切な報連相の具体例
報連相はいずれも、上司と部下など業務を共にする関係者たちが円滑に情報共有するための手法です。
もしもあなたが、部下の説明に「何を言いたいのか分からない」と感じているのなら、以下のようなポイントを教えて、気を付けてもらうといいかもしれません。
報連相は「事実に基づいた情報」を「結論」から伝える
基本的に、「結論」⇒「経緯」の順番で話をしましょう。
報告や連絡ならば、報告すべき具体的な内容を先に伝えたうえで、「なぜそうなったのか」の経緯はそのあとに補足していきます。例えば、以下の2パターンはどちらが伝わりやすいでしょうか?
パターン1:経緯が先
〇〇株式会社様の商談で稟議提案が始まったんですが、経理部の稟議はすぐ通ったものの役員の一人が海外視察で長期出張にでて捕まらないんです。
でも担当者さんが役員の時間を帰国後すぐに確保してくれたので、12月には契約締結できそうです。
パターン2:結論が先
〇〇株式会社様との契約は12月締結予定です。
先日稟議提案が始まったのですが、経理部の稟議はすぐ通ったのですが役員の一人が海外視察で長期出張に出ていて捕まらないそうです。
ただ、担当者さんが役員の時間を帰国後すぐ確保してくれました。
この2つを比べると、パターン2のほうが内容が伝わりやすいことが理解していただけるだろうと思います。情報が複雑になればなるほど、結論から話すことが重要になります。
相談は、上司や先輩に「選んでもらう」ものとして使う
相談をする場合、「どうしたらいいですか?」と漠然と声をかけてしまうと上司や先輩側としては負担が大きいものです。
上司や先輩が「選択」できるようにいくつかのパターンを用意して、「先輩はAとB、この場合どちらがいいと思いますか?」と尋ねる方法を指導してみましょう。解決策をいくつか考えられるようにもなります。
報告や相談のタイミングは、悪いものほど早くする
悪い情報ほど言うのをためらうものですが、そういった情報こそ早いタイミングでの報告が欲しいですよね。部下が素早いタイミングで対応してくれるように、「怒らない」「否定しない」ことを日ごろから実践しておく必要があります。
ゲームを通じて報連相を活性化させる
ゲームを用いて報連相を活性化することができます。
ここでは、報連相を活性化するゲームをご紹介します。
部課長ゲーム
部課長ゲームは、5人1組のチームに分かれて行う情報伝達ゲームです。報連相の研修やリーダーシップ研修などで行われます。
情報交換は口頭が禁じられメモ用紙によるコミュニケーションしか取れないため、報連相に重要な「正確な情報提供」が学べます。
A.原則として1チーム5名で実施する。(7名でも可能)
B.5名のうち、1名が部長、2名が課長、残り2名が平社員役となる。
C.社員間の口頭でのコミュニケーションは禁止。
D.コミュニケーションはメモ用紙を渡すことでのみ取ることができる。
E.部長は2名の課長A,Bにのみメモとカードが渡せる。
※カードについてはルール2で紹介します。
F.課長は部長と、自分の部下役の平社員にのみメモとカードが渡せる。
G.平社員は、自分の上司役の課長にのみメモとカードが渡せる。
引用元:部課長ゲームのやり方-株式会社ハートクエイク
ルールライティング
ルールライティングは、「じゃんけん」や「あっちむいてほい」を題材に行うゲームです。
誰もが知っているゲームのルールを書き出し、別のチームが書き出した内容に沿って正しくゲームを再現できるかを試します。知っているつもりでも、第三者に理解してもらうためには「伝えるための技術」が必要になる事を学べるゲームです。
- 2人1組のチームをつくる。
- チームのうち一方の人が「じゃんけん」や「あっちむいてほい」などのゲームを、タイトルを記載することなく正確に書き出す。
- 書き出した文章を読み上げる。
- もう一方の人と一緒に、読み上げられた文章に基づいてゲームを再現する。
報連相に変わる情報共有手法
「報連相はもう古い」と一部では言われていますが、それに代わる情報共有手法は何があるのでしょうか。
ここでは、報連相に代わる情報共有手法をご紹介します。
①「かく・れん・ぼう」
「かく・れん・ぼう」とは「確認」「連絡」「報告」の頭文字をとったものです。
報連相の「相談」が無くなり、「確認」が入っています。
理由は、少しでも困ったことがあった際に、調べる前にすぐに聞く(相談)人が増えてきています。
聞く側からすれば、知っている人に聞いた方が早いのですが、社員育成という観点から見ると、問題解決能力、予想・想定能力など考える力が育ちません。
そういった意味では、間違っていても分からないなりに自身の答えを出して、上司に確認する流れの方が、今の社会に求められる人材になります。
②「ソラ・アメ・カサ」
「ソラ・アメ・カサ」とはマッキンゼーが採用していることで注目がされています。
ソラとは今の状態を指します。
アメとは予測を立てます。
カサとは問題への解決先を指し来ます。
有名な例があるのでご紹介いたします。
ある日、黒い雲が出てきたので、(事実)
雨が降るのでは?と思ったので、(洞察・推測)
傘を持って出かけた(解決策)となります。
ソラ・アメ・カサについてもポイントはアメの部分(洞察・予測)になります。
現状の状態を確認して、そこから今後の状態を考えることが、解決策の精度を上げます。
現状の報連相が「使えない」と言われてしまう理由
ではそもそもなぜ、報連相は使えないといわれているのでしょうか。
それは、義務化したことで必要以上の伝達を求められて生産性を下げているからです。
もともと、部下たちの意見を吸い上げるために試行錯誤された結果生まれたのが「報連相」。ところが現在は逆に、部下に強要するための手段になってしまう傾向があります。
その結果、報連相が日常的な義務と化し、必要以上に求められることで生産性を下げる原因を作ってしまっています。その結果、「本当に必要な報連相」が埋もれてしまっているのかもしれません。
最低限の情報共有は「仕組み化」して、必要な報連相だけが出来る環境を作ろう!
必要最低限の情報共有にわざわざ時間を取っていては、いかに「報連相」であっても生産性低下の要因にしかなりません。本当に重要な情報に関する報連相を行うためにも、まずは「最低限の情報は報連相しなくても共有されている状態」を作ることが必要です。
例えばこちらの画面は、業務管理システムアイピアの「営業進捗管理画面」です。ここでは、営業担当者がそれぞれどんな案件を持っていて、各案件の進捗状況が分かります。これが部署内で共有されているだけで、「あのお客さんどうなった?」という確認はしなくて済みます。
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まとめ
報連相について見ていきましたが、社内の情報共有を行うためには、上司からの発信が重要で、風通しのよい職場環境を作るという事は、本当の意味での報連相は「スローガン」に近いのかもしれません。
スローガンであるとしたなら、風通しの良い職場環境が整えば、
会社の状態によって「報連相」「かく・れん・ぼう」「ソラ・アメ・カサ」の中から選ぶというのはいかがでしょうか?
最近は情報共有ツールが注目を浴びていますが、何を、どのように情報共有をするべきかを社内で統一することが重要です。
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