建設業の会計処理で重要な項目の一つが「未成工事支出金」です。
工事が完成する前に発生した材料費や外注費などの工事原価をどのように処理するかは、工事ごとの利益や会社の財務状況を正しく把握するうえで重要です。
この記事では、未成工事支出金とは何かをはじめ、計上する費用、仕訳、計算方法、会計処理のポイント、工事台帳や原価管理との関係まで、建設業の実務に沿ってわかりやすく解説します。
時間削減・利益UP・情報共有ができる
効果を実感できる運用サポート!建築業向け管理システムならアイピア
アイピアではシステム導入の効果を実感していただけるよう丁寧な運用サポートを心がけております。
利益や業務効率化を体感したい方は、ぜひアイピアの無料デモ体験にお申込みください!
未成工事支出金とは?建設業で使われる勘定科目

未成工事支出金とは、完成していない工事について、工事完成までに発生した材料費や外注費などの原価を一時的に計上するための勘定科目です。
建設工事は、受注から完成・引渡しまでに数か月から数年かかる場合があります。そのため、会計期間の途中で工事に関する費用が発生しても、すぐに完成工事原価として処理するのではなく、工事の状況に応じて適切に処理する必要があります。
未成工事支出金は、企業会計上は棚卸資産に含まれる「仕掛中のもの」の一つとして扱われます。
ポイント
未成工事支出金=完成していない工事に対応する、工事完成前の支出・原価を管理するための勘定科目と考えると分かりやすいでしょう。
代表的なものとして、材料費、労務費、外注費、経費などがあります。
なお、未成工事支出金と収益認識の方法は同じ論点ではありません。工事の収益認識については、現在の企業会計では「収益認識に関する会計基準」などを確認する必要があります。
未成工事支出金が発生する理由
建設業では、工事の完成前からさまざまな支出が発生します。
例えば、工事に使用する材料を購入したり、協力会社へ工事を発注したり、現場で発生する費用を支払ったりします。
しかし、工事がまだ完成していない場合、これらの支出を単純にその時点の完成工事原価として扱うと、工事の進捗と収益・原価の対応関係を適切に把握できない場合があります。
そこで、工事完成前に発生した原価を未成工事支出金として管理し、工事の完成や収益認識の状況に応じて適切な処理を行います。
未成工事支出金に含まれる主な費用
未成工事支出金として管理する代表的な費用には、次のようなものがあります。
- 材料費
- 労務費
- 外注費
- 現場経費
- その他、工事に直接関連する費用
実際の処理方法や対象となる費用は、会社の会計方針や取引内容などによって異なるため、具体的な処理については税理士などの専門家への確認が必要です。
未成工事支出金と未成工事受入金の違い
「未成工事支出金」と似た言葉に「未成工事受入金」があります。
両者は名前が似ていますが、意味は大きく異なります。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 未成工事支出金 | 完成前の工事に関連して発生した原価・支出を管理するもの |
| 未成工事受入金 | 工事完成前に発注者などから受け取った工事代金の前受けに関するもの |
簡単に整理すると、「支出」が未成工事支出金、「受け取ったお金」が未成工事受入金です。
未成工事受入金についてはこちら
未成工事支出金の仕訳
未成工事支出金を理解するうえで、具体的な仕訳を確認しておきましょう。
工事完成前に材料を購入した場合
例えば、工事に使用する材料を500万円で購入し、工事がまだ完成していないケースを考えます。
【借方】未成工事支出金 500万円
【貸方】現金・預金 500万円
このように、工事完成前に発生した原価を未成工事支出金として処理することで、工事ごとの原価を管理しやすくなります。
工事完成時に原価へ振り替える場合
工事が完成し、未成工事支出金として管理していた材料費を完成工事原価へ振り替える場合の仕訳例は次のとおりです。
【借方】完成工事原価 500万円
【貸方】未成工事支出金 500万円
なお、実際の勘定科目や振替のタイミングは会社の会計処理によって異なる場合があります。上記は仕組みを理解するための基本的な例です。
未成工事支出金の計算方法・管理方法
未成工事支出金を適切に管理するには、工事ごとに発生した原価を正確に集計することが重要です。
基本的には、工事ごとに材料費、労務費、外注費、経費などを集計し、決算時点などで工事の完成状況や収益認識の方法を確認します。
特に重要なのは、「会社全体の費用」ではなく「どの工事で、いくら原価が発生したのか」を把握することです。
未成工事支出金を管理する基本的な流れ
- 工事ごとに発生した費用を集計する
- 材料費・労務費・外注費・経費などに分類する
- 工事の進捗状況を確認する
- 会計方針や収益認識の方法に応じて処理する
- 完成工事原価などへの振替を適切に行う
単純に「支出額=未成工事支出金」と考えるのではなく、工事ごとの原価と工事の進捗を継続的に確認することがポイントです。
未成工事支出金の計上基準と収益認識基準
未成工事支出金を理解する際には、「未成工事支出金の処理」と「工事の収益認識」は分けて考えることが重要です。
現在の企業会計では、2021年4月1日以後開始する事業年度から「収益認識に関する会計基準」が原則として適用され、顧客との契約から生じる収益について、履行義務の充足に応じて収益を認識する考え方が採用されています。
そのため、以前の「工事進行基準」「工事完成基準」だけで現在の企業会計を説明するのは適切ではありません。
一方で、税務上の収益や原価の扱いについては企業会計と同じとは限らないため、会計処理と税務処理を区別して確認する必要があります。
実際の決算・申告では、自社の会計方針や適用される基準を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しましょう。
未成工事支出金と工事台帳の関係
未成工事支出金を正確に管理するためには、工事ごとの原価を把握できる仕組みが欠かせません。
そこで活用されるのが工事台帳です。
工事台帳では、工事ごとに材料費、労務費、外注費、経費などを集計し、工事の原価や利益を確認できます。
未成工事支出金を適切に管理するためにも、「どの工事に、どの費用が、いくら発生したのか」を記録できる状態にしておくことが重要です。
特に工事数が多い会社では、Excelや手書きで工事ごとの原価を集計すると、転記や集計に時間がかかるだけでなく、入力漏れや集計ミスが発生する可能性があります。
工事台帳と原価管理をシステム化することで、工事ごとの原価や利益を把握しやすくなります。
工事台帳・原価管理についてはこちら
未成工事支出金と原価管理の関係
未成工事支出金を適切に管理することは、建設業の工事原価管理にもつながります。
建設業では、工事を受注した時点ですべての利益が確定するわけではありません。工事が進むにつれて材料費や外注費などの原価が発生するため、工事ごとの実績原価を継続的に確認する必要があります。
例えば、当初の予算より材料費や外注費が増えている場合、工事完成後の利益率が想定より低くなる可能性があります。
そのため、未成工事支出金を含めて工事ごとの原価を管理し、予算と実績を比較することが重要です。
工事台帳などを活用して原価を継続的に確認できれば、利益率の低下や予算超過にも早い段階で気付きやすくなります。
建設業の原価管理についてはこちら
未成工事支出金を管理するときの注意点
未成工事支出金を適切に管理するには、次の点に注意しましょう。
工事ごとの原価を正確に集計する
未成工事支出金の管理では、会社全体の支出だけでなく、工事ごとの原価を正確に把握することが重要です。
完成工事と未完成工事を区別する
複数の工事を同時に進めている場合、完成した工事と未完成の工事を正しく区別し、それぞれに適切な処理を行う必要があります。
会計処理と税務処理を混同しない
企業会計上の収益認識と税務上の収益・原価の扱いは、必ずしも同じではありません。特に決算や税務申告では、最新の法令や自社に適用される基準を確認することが大切です。
国税庁も、未成工事支出金に含まれる課税仕入れについて、原則的な仕入税額控除の時期と、一定の継続適用を前提とした取扱いを示しています。
未成工事支出金に関するよくある質問
未成工事支出金に関するよくある質問をご紹介します。
未成工事支出金は資産ですか?
はい。未成工事支出金は、企業会計上、棚卸資産に含まれる仕掛中のものとして扱われます。
未成工事支出金には何が含まれますか?
代表的なものとして、材料費、労務費、外注費、工事に関連する経費などがあります。ただし、具体的な処理は取引内容や会社の会計方針によって異なります。
未成工事支出金と工事原価の違いは?
未成工事支出金は、完成前の工事に対応する原価を管理するための勘定科目です。一方、工事原価は工事の売上に対応して認識される原価を指す文脈で使われます。
未成工事支出金と未成工事受入金は何が違いますか?
未成工事支出金は完成前の工事に関する支出・原価、未成工事受入金は完成前に受け取った工事代金などの前受けを管理するものです。
まとめ|未成工事支出金は工事ごとの原価管理が重要
未成工事支出金とは、完成していない工事について発生した材料費や外注費などの原価を管理するための勘定科目です。
建設業では工事期間が長くなることも多いため、工事ごとの原価を正確に把握し、完成工事と未完成工事を適切に区分して管理することが重要です。
また、現在の企業会計では収益認識に関する会計基準が適用されているため、未成工事支出金だけでなく、工事の収益認識についても正しく理解しておく必要があります。
工事台帳や原価管理システムを活用すれば、工事ごとの材料費・労務費・外注費・経費などを集計し、予算と実績を比較しやすくなります。
未成工事支出金を正確に管理することは、会計処理だけでなく、工事の利益を正しく把握し、建設業の原価管理を改善するためにも重要です。
建築業向けの管理システム「アイピア」
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
建築業界(リフォーム・工務店向け)のシステムに関する記事
- 施工管理システムの比較20選!選び方や機能、費用を解説
- 工務店向け顧客管理システムおすすめ15選【最新・無料版あり】価格や費用を徹底比較
- 見積管理システムおすすめ13選【最新・無料版あり】機能・価格をタイプ別に比較
- 建築見積ソフトおすすめ16選【最新版・無料あり】価格や機能を徹底比較
- 【2026年最新】建設業向け原価管理ソフトおすすめ15選!価格や機能、無料版を徹底比較
建設業のDXに関する記事
クラウドシステムに関する記事
“社内のデータを一元管理”工務店・リフォーム会社が選ぶ!



.jpg)





