「資材価格の高騰や労務費の上昇で資金繰りが厳しく、銀行に追加融資を頼みたい」「既存の借入の返済猶予(リスケジュール)をお願いしたいが、銀行から『経営改善計画書』の提出を求められた」——建設業の経営において、このような融資や資金繰りの壁に直面していませんか?
建設業は「工事の着工から入金までの期間が長い(立替先行)」という構造的な特徴があり、運転資金の確保が生命線です。ゼロゼロ融資の返済本格化などを背景に、金融機関では従来以上に事業計画や返済可能性を重視する傾向があります。単なる「お願い」では銀行の協力は得にくく、客観的で実現可能性の高い「経営改善計画」が重要になります。
本記事では、建設業が銀行融資を引き出すために必要な「経営改善計画」の策定を支援してくれる制度(405事業等)や、おすすめの財務コンサルタント・認定支援機関5選を解説します。さらに、計画を実行し、工事別原価管理を徹底して確実に利益を残すためのDXシステム(アイピア)の活用法についても紹介します。
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Q. 銀行融資になぜ「経営改善計画」が必要なのですか?
A. 銀行は「貸したお金が本当に返ってくるか」を重視します。赤字の根本原因を分析し、「どのように実行予算を組み、粗利を改善し、返済していくか」を客観的に証明するために必要です。
Q. 計画策定は誰に支援(相談)を頼むべきですか?
A. 建設業の資金繰りに精通した「財務コンサルタント」や、国の認定を受けた「認定経営革新等支援機関」に依頼するのが確実です。国の「経営改善計画策定支援事業(405事業)」を利用し、費用補助を受けることも可能です。
Q. 計画を作った後はどうすればいいですか?
A. 毎月、工事別の実行予算と実際の完成工事原価(予実管理)を確認し、銀行へモニタリング報告を行う必要があります。エクセルでの管理に限界がある場合は、ITシステム(アイピア等)を導入するDX推進が有効です。
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建設業の銀行融資で「経営改善計画」が求められる背景
「これまでは決算書を出せば融資してもらえたのに、急に計画書を求められた」というケースが増えています。その背景には以下の理由があります。
① 建設業特有の資金繰り課題とコスト高騰
建設業は「工事開始時に外注費や材料費の支払いが集中し、入金(完成工事未収入金等の回収)は完成後になる」という、立て替えが先行する業界です。これに加え、近年の資材価格高騰や労務費上昇により、売上はあっても利益が残らない企業が増加しています。金融機関は、現状のどんぶり勘定のまま融資を行っても資金がショートすることを警戒しているため、「原価をどうコントロールして利益を出すのか」を示す計画書を求めます。

② リスケジュール(返済猶予)の際の提出条件
新型コロナウイルス対策の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化する中、返済が苦しくなりリスケジュールを申し出る企業があります。多くの金融機関では、リスケに応じる前提として「経営を立て直し、正常な返済に戻る見込みがあること」を証明する「経営改善計画」の提出が求められます(一般的に3〜5年の計画)。
銀行は経営改善計画の「どこ」を見る?(評価ポイント)
銀行の担当者や審査部門は、提出された経営改善計画書の以下のポイントを厳しくチェックしています。

| 評価項目 | 銀行が見られるポイント(建設業の視点) |
|---|---|
| 返済能力 | 営業利益やキャッシュフローから、毎月の返済額を賄えるだけの返済能力があるかを確認する。 |
| 資金繰り | 出来高入金や手形サイト、前払金保証などを正確に反映した「月次資金繰り表」になっているか。 |
| 原価管理 | 工事ごとの実行予算を組み、完成工事原価を正確に把握し、利益率(粗利)を改善する仕組みがあるか。 |
| 将来売上 | 公共工事やJV案件、民間元請などの受注見込み(パイプライン)は現実的か。 |
| 実現可能性 | 売上目標が過大でないか、コスト削減策(外注見直し・DX等)が現場で実行できるか。 |
費用補助が出る「経営改善計画策定支援事業(405事業)」とは
経営改善計画を専門家に頼みたいが、資金繰りが厳しくて費用が払えないという企業向けに、国が設けている支援制度が「経営改善計画策定支援事業(通称:405事業)」です。

- 制度の概要:借入金の返済負担等で資金繰りに悩む中小企業が、国の認定を受けた「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」の支援を受けて経営改善計画を策定し、金融機関からの金融支援(リスケや新規融資)を受けるための制度。
- 補助率と上限:計画策定支援およびモニタリング(進捗確認)にかかる専門家費用の【3分の2】(上限は企業規模等による)を国が補助してくれます。
- 対象となる支援機関:後述する「認定経営革新等支援機関」として登録されている税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、民間コンサルティング会社などが対象です。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは?
認定経営革新等支援機関(通称:認定支援機関)とは、中小企業が安心して経営相談等を受けられるよう、専門知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した支援機関のことです。主に税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、金融機関、民間のコンサルティング会社などが認定を受けています。
前述の「405事業」などの公的な補助制度を利用して経営改善計画を作る場合は、必ずこの「認定支援機関」のサポートを受ける必要があります。
経営改善計画の策定をコンサルタントに依頼するメリット
説得力のある経営改善計画を自社の経営者や経理担当者だけで作成するのは至難の業です。財務や事業再生に強い外部のコンサルタントを活用することで、以下のメリットが得られます。
- 金融機関からの信用力向上(銀行交渉の同席):専門家が関与して作成した計画書は、数字の根拠が明確であり、銀行の担当者や審査部に対する説得力が高まりやすいです。面談に同席し、専門的な助言を行ってくれるコンサルタントも多く、交渉がスムーズに進みます。
- 客観的な「痛みを伴う改革」の実行:不採算事業(赤字工事の受注)からの撤退、無駄な経費の削減、役員報酬の見直しなど、社内だけでは決断しにくい改革を第三者の視点から合理的に推進してくれます。
- 国からの費用補助の活用:認定支援機関に依頼することで、前述の405事業などを利用して費用負担を抑えながら質の高い支援を受けられます。
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経営改善計画策定から融資(リスケ)までの流れ
- 認定支援機関等への相談:自社の財務状況を整理し、専門家へ計画策定の支援を依頼する。
- 経営改善計画の策定:工事別原価の適正化や資金繰り表を含めた計画を作成。
- 金融機関への提出・交渉:メインバンク等へ計画書を提出し、同意(金融支援)を取り付ける(専門家が同席・助言を行うケースが多い)。
- 計画の実行とモニタリング:計画通りに利益が出ているか(予実管理)、専門家と毎月確認し、銀行へ報告する。
銀行融資・経営改善に強いコンサル会社・専門機関おすすめ5選
自社単独での計画策定は難しいため、外部のコンサルタントや専門機関を活用することをおすすめします。本記事では、「建設業での支援実績」「銀行交渉・資金繰り改善のノウハウ」「認定支援機関としての対応・連携」の3点を基準に厳選した5つの相談先を紹介します。
支援機関の比較表
| 会社名・機関名 | 建設業向け支援 | 銀行交渉・再生 | 補助制度への対応など |
|---|---|---|---|
| 株式会社エクステンド | 対応あり | 強い(資金繰り特化) | 専門家による支援対応 |
| タナベコンサルティング | 対応あり(中堅・大手) | 組織再編・M&A含む | 大規模案件向け |
| 船井総合研究所 | 専門チームあり | 売上アップ(トップライン)重視 | 事業内容による |
| 山田コンサルティング | 対応あり | 強い(高度な財務再生) | 専門家連携等で対応 |
| 地域の認定支援機関 (税理士法人・公認会計士等) | 各法人による | 各法人による | 405事業等の活用に最適 |
① 株式会社エクステンド
中小企業の「資金繰り改善」や「事業再生」に特化した専門ファームです。リスケジュールを伴う銀行交渉の助言や、経営改善計画の策定において実績を持ちます。「月末の支払いが足りない」といった緊急性の高い資金ショートの危機に対しても、具体的な対応策を提示してくれます。
② タナベコンサルティング
中堅企業向けの経営コンサルティングで長い歴史を持つ大手ファームです。建設業向けの実績もあり、単なる財務上の数字合わせにとどまらず、組織構造の見直しやM&A、事業承継も絡めた全社的な「経営改善計画」の立案支援を提供しています。事業規模がある程度大きい建設会社に適しています。
③ 船井総合研究所
建設業・住宅不動産業界に専門のコンサルティングチームを持つ大手ファームです。経営改善計画においては、「コスト削減」だけでなく、マーケティングや営業力強化による「売上・粗利の増加(トップラインの向上)」を含めた前向きな計画策定を得意としています。
④ 山田コンサルティンググループ
財務、税務、法務などの専門家が多数在籍する総合コンサルティンググループです。複雑な財務課題を抱える企業の事業再生や、金融機関との高度な調整が求められる経営改善計画の策定において専門性を発揮します。
⑤ 地域の「認定経営革新等支援機関」(税理士法人・公認会計士など)
特定の企業ではありませんが、国が認定した税理士法人、公認会計士、中小企業診断士などの専門機関です。顧問税理士が認定支援機関に登録している場合、自社の内情をよく知る専門家として計画策定を依頼しやすく、費用補助制度(405事業等)を活用しやすいという大きなメリットがあります。
無料で相談できる公的支援機関
コンサルタントに費用を払う前に、まずは公的な窓口で資金繰りや経営改善の無料相談を利用するのも有効な手立てです。
- よろず支援拠点:各都道府県に設置された無料の経営相談窓口。資金繰りや売上拡大の相談が可能。
- 中小企業活性化協議会:経営危機にある中小企業の収益力改善や事業再生を支援する公的機関。リスケ等の銀行調整をサポートしてくれます。
- 地域の商工会議所・商工会:経営指導員による資金繰りアドバイスや、マル経融資などの斡旋。
- 信用保証協会:融資の保証だけでなく、専門家派遣等による経営改善支援も実施しています。
経営改善計画に盛り込むべき「原価管理」のポイント
銀行が「この計画なら融資できる」と判断するためには、建設業特有の課題に対する具体的な改善策が示されている必要があります。
- 案件ごとの「原価管理」の徹底と粗利の改善:どんぶり勘定を脱却し、「どの工事で利益が出て、どの工事が赤字なのか」を明確にします。赤字受注をストップし、適切な価格交渉(価格転嫁)を行う方針を示します。
- 資金繰り表の作成と入出金の精緻化:完工高(売上)の計上タイミングだけでなく、外注費や材料費の支払日と入金日のズレを把握し、「いつ、いくら資金が不足するか」を予測・管理する体制を示します。
- 生産性向上(DX)による固定費・労務費の削減:現場の残業時間を削減し、バックオフィスの事務コストを下げるためのITシステム(工事管理システム等)の導入計画を盛り込みます。
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計画を「絵に描いた餅」にしないためのシステム活用(DX)
立派な経営改善計画書をコンサルタントと一緒に作り、無事に銀行から融資(金融支援)を引き出せたとしても、それで終わりではありません。銀行はその後、定期的に「計画通りに進捗しているか(モニタリング)」を確認します。
計画を達成するには、「毎月の予実管理」が欠かせません。しかし、エクセルや紙のどんぶり勘定のままでは、結果が出る(完工して決算を締める)まで利益が分からず、改善策を打てません。そこで、見積・発注・原価・請求を一元管理し、工事ごとの原価と利益をリアルタイムで見える化するITシステム(DX)の導入が必要となります。
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原価管理のシステム化・DX推進なら「アイピア」へ
「コンサルタントに原価管理の徹底を指摘されたが、社内の実務が追いつかない」「経営改善計画の実行手段として、社内のDXを進めたい」とお考えの場合は、私たちが提供する基幹系工事管理システム『アイピア』の導入相談もご活用ください。
アイピアは「DX・業務改善」に特化した伴走支援を提供
アイピアでは、建設業向け管理システムの提供に加え、業務フロー改善の伴走支援も行っています。システム上で実行予算と実際の完成工事原価がリアルタイムで連動するため、どの案件が赤字になりそうかを工事の途中で正確に検知できるようになります。これにより、経営改善計画で掲げた「粗利率の確保」を現場レベルで実行する体制が整います。
「デジタル化・AI導入補助金2026」を活用して導入負担を抑える
アイピアは、国が支援する「デジタル化・AI導入補助金2026(※旧:IT導入補助金)」のIT導入支援事業者として登録されています(※登録状況は毎年更新されます)。通常枠などの要件を満たすことで導入費用の補助(2026年度公募要領に基づく)を受けられる可能性があります。申請前に公式のITツール検索または無料相談で最新情報をご確認ください。
【導入事例】アイピアでどんぶり勘定を脱却し利益体質へ改善
これまでエクセルでバラバラに情報を管理し、完工するまで利益が分からない「どんぶり勘定」に悩んでいた企業様にて、アイピアの導入により案件ごとの実行予算と実績がクラウドで一元化されました。結果として、現場の原価状況がタイムリーに把握できるようになり、赤字工事の削減と経営体質の改善につながっています。
詳しくは以下の導入事例一覧をご覧ください。
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建設業の銀行融資・経営改善計画に関するよくある質問(FAQ)
- Q. 赤字や債務超過でも融資(またはリスケ)は受けられますか?
-
A. 非常に厳しい審査になりますが、絶対に不可能ではありません。ただし「なぜ赤字(債務超過)になったのか」の真因分析と、「いつまでに黒字化し、債務超過を解消するのか」を論理的に示した説得力のある経営改善計画の提出が求められるケースが多いです。
- Q. 経営改善計画は自社でも作れますか?
-
A. 書式自体は自社で作ることも可能ですが、銀行が求める水準(実現可能性や整合性)を満たすのは困難なケースが多いです。特にリスケを伴う場合は、認定支援機関などの専門家の関与(客観性の担保)が実質的に求められる傾向にあります。
- Q. 経営改善計画の策定をコンサルに頼む費用相場はどれくらいですか?
-
A. 企業規模や負債総額によって大きく異なりますが、数十万円〜数百万円規模になるケースがあります。国の「認定支援機関」を通じて経営改善計画策定支援事業(405事業等)を活用すれば、費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
- Q. 銀行へのリスケジュール(返済猶予)は建設業許可への影響はありますか?
-
A. リスケジュールそのものが直ちに建設業許可の取り消し要件になることはありません。ただし、経営状態の悪化により自己資本要件などを満たせなくなるリスクや、経審の経営状況(Y点)が悪化する影響には注意が必要です。
- Q. 405事業などの補助金は何度でも使えますか?
-
A. 経営改善計画策定支援事業の利用は、原則として1事業者につき1回(過去に利用している場合は要件が厳格化)となっています。最新の利用要件については、担当の認定支援機関にご確認ください。
- Q. 顧問税理士がいれば、別途コンサルタントは不要ですか?
-
A. 顧問税理士が建設業の原価管理や銀行の融資審査基準に精通しており、認定支援機関として計画策定や銀行との同席まで対応してくれるのであれば、新たなコンサルは不要です。しかし、税務申告のみを行っている税理士の場合は、財務・再生専門のコンサルを入れる方が安全なケースがあります。
- Q. システム導入(DX)は経営改善計画にどう役立ちますか?
-
A. 銀行は計画書に書かれた数字が「本当に実現できるのか」を疑います。システム導入によって「各現場の原価と利益を毎月リアルタイムで把握・管理する体制を構築する」と提示することは、計画の実効性を示す強力な根拠となります。
まとめ:専門家の知見とDXの力で、銀行が納得する経営改善を
建設業において、融資の引き出しやリスケジュールの承認を得るための「経営改善計画」は、自社の存続を左右する極めて重要な書類です。客観的かつ実現可能性の高い計画を策定するためには、財務コンサルタントや認定支援機関といった専門家の知見を活用することが成功の近道となります。
同時に、作成した計画を絵に描いた餅にせず、確実に利益を残す体制を作るためには、社内の原価管理や業務フローの改善が欠かせません。アイピアのような工事管理システムを導入して現場のDXを推進し、銀行も納得する強固な経営体制を構築していきましょう。
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