建設業界では、人手不足・長時間労働・土日出勤という状況が、長い間問題視されて来ました。
さらに、工事を一括して管理している施工管理技士の負担も多く、人為的なミスが多発したことも、同じく問題視されています。
しかし、近年では施工管理をデータで管理できる工事管理システム(施工管理システム)が開発され、あらゆる問題の解決やサポートができるようになりました。
そこで今回は、完全無料で使用できるソフトから初期導入費無料で充実した機能が使える現場管理ソフトをご紹介します。
現場管理ソフトとは
原価管理・工程管理・品質管理・安全管理の4つの管理業務を一括で管理できるソフトです。
様々なデータをお互いに連携し、一元化できますから業務の効率化や協力業者とも連携が円滑になり、余裕を持って仕事ができます。
結果的に納期遵守や生産性の向上につながるため、課題を抱えている会社は導入の検討をおすすめします。
現場管理に関する記事はこちら
ソフト導入のメリット1”共有”
現場管理ソフトの最大のメリットは必要なものをいつでも共有できることです。
工程表の共有
工程表を共有し全員がこれを意識すれば、工期の遅れを事前に防ぐことができます。
データの共有
いつでも確認ができれば、事前に手戻りも防ぐこともできます。
写真の共有
- 写真を共有できれば、全員でミスがないか確認ができるので手戻りを防ぐことができます。
- 関係業者や職人とその場で共有ができれば、引き継ぎもスムーズに行きます。
- 写真の共有をしながらタイムリーに情報のやりとりができます。
- 現場監督代行や新人監督でも、写真を撮ったらすぐに確認と指示ができます。
図面や資料の共有
- 広い現場や遠方でもすぐに確認ができます。
- 現場で職人さんに質問されてもすぐに対応できます。
- 問題が発生しても、その場で確認して素早く対処できます。
ソフト導入のメリット2”効率化”
その他にも有形無形の業務の効率化ができます。
時間の効率化
- 紙媒体での共有やデータのファイル管理の必要がなくなりるので、印刷の手間がなくなります。
- 作業が終わったその場で日報作成ができます。
データの閲覧や比較、工程表や報告書のためにわざわざ印刷する必要がありません。
連絡の効率化
仕事のやり取りをソフトを活用して、すべてチャットで行うことができます。
従来のように電話やFAXでのやり取りは、時間がかかったり、事務所に戻らないと確認ができなかったりと、不便なことが多い上に誤送信なども多くありました。
ソフトの導入で今まで連絡に割いていた時間が大幅に短縮されるので、それだけでも仕事に余裕が生まれます。
作業の効率化
- スマホやタブレットで利用可能です。
- 小さな文字もスマホで拡大できるので見やすいというメリットもあります。
- 荷物がデバイスと予備の充電器くらいで済むようになります。
従来のように大量の写真や図面を持ち歩く必要がなくなりました。
スマホやタブレットに入っている情報を、どこからでも簡単に閲覧・共有ができます。
ソフト導入のメリット3”費用対効果”
- ペーパーレスがコストダウンにつながります。
- 無料でも機能は十分使えます。
便利な機能を持つソフトがあったとしても、「上手く使いこなせるのか」と不安に思い、導入になかなか踏み切れないのも当然です。
しかし、無料お試しがあるソフトや無料でインストールできるものも多数あります。
無料のアプリは性能が劣ると思われがちですが、高性能で機能が豊富なものも多くあります。
また、アプリの場合は直感的に使えるような画面になっているので、パソコンが苦手でも簡単に活用できます。
まずお試しや無料版を使って、操作に慣れることをおすすめします。
現場管理ソフトの選び方のポイント
これまで、現場管理ソフトの概要と現場管理ソフトを導入するメリットをご紹介しました。
では実際、現場管理ソフトはどのようなポイントで選び、導入するのが良いのでしょうか。
現場管理ソフトの選び方のポイントは以下の4つです。
- 情報共有の範囲で選ぶ
- 操作性が高いソフトを選ぶ
- 利用人数・アカウント数で選ぶ
- 目的に合った機能で選ぶ
それではそれぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
情報共有の範囲で選ぶ
施行管理ソフトのメリットの一つに情報の共有が挙げられます。
この利点を活かして、社外との情報共有ツールとして使用するか、社内で使用するだけかで選ぶソフトが違って来ます。
例えば協力業者も含む広い範囲で、誰もが共有できるアプリを選ぶ場合は、誰でも操作が簡単にできる使いやすいソフトがベストです。
合わせて個人情報といった機密情報の取り扱いになるので、管理者・一般・施主などの権限を設定できる機能や、2段階認証などのセキュリティが強固なタイプを選ぶ必要があります。
一方、社内だけで利用したい場合は、電子小黒板対応のソフトや、自動の写真管理機能、報告書作成機能などもある、社内の業務を効率化できる機能があるものがおすすめです。
そのため、情報共有の範囲をあらかじめ話し合い、明確になってから必要な機能のあるものを選ぶと良いでしょう。
操作性が高いソフトを選ぶ
どこの建築会社でも、新人から何十年というベテランまで、関係者の年齢層が広い建築や土木の世界で、スマホやタブレッを使いこなせない人もいれば得意な人もいます。
せっかくソフトを導入しても操作に困り、結局昔ながらの紙の図面や資料に頼っていたのでは、意味がありません。
その為、誰もが使いやすい、見やすくわかりやすい画面で、ワンクリックで操作ができるなど、容易に使えるソフトを選ぶと良いでしょう。
お試しや無料版などもあるので、実際に試してから導入することをおすすめします。
また、各社の操作方法の説明会や24時間チャットでサポートのあるソフトもあります。
ただ、しっかりとしたサポート体制が必要な場合は、有料のソフトを使うと良いでしょう。
利用人数・アカウント数で選ぶ
施工管理ソフトは、アカウント数によって料金が変動するものがほとんどです。
利用する人数が増えればその分コストも多くかかります。
ただ、少人数での利用であれば無料のものあります。
また、一つの現場あたりで料金が変わるソフトや、施工の規模で料金が違うものもあります。
ソフトを利用する人数や範囲・施工規模によって、利用料金が違う場合は、関係者の数や自社の工事形態に合った、料金体系のソフトを選びましょう。
目的に合った機能で選ぶ
建築業界でよくある問題点
- 仕事が増えているが利益になっているか分からない
- 施行中の案件の収支が把握できていない
- 担当者がいないと状況が分からない
- 業員のスケジュール管理がうまく回らない
- 請求モレ支払いモレなど業務に支障がある
- 案件ごとの経費が把握できていない
- 案件ごとの原価計算に苦労している
- 予算に対する経費の推移が把握できていない
- 終始対策がいつも後手後手になる
- なぜ赤字になるか原因分析ができていない
施工管理ソフトを選ぶ際に、目的を明確にしてからそれにあった機能のソフトを検討していきます。
現場とのやり取りをスムーズにしたい
すぐにやり取りできるチャット機能があるものがおすすめです。
しかしこの場合も個人情報を取り扱うことがあるので、セキュリティ対策が必要です。
写真の管理を効率化したい
作業現場の写真の管理は手間も時間もかかります。
現場ごと、日付ごとに自動で整理保存できる機能があるものがおすすめです。
仕事の後のデスクワークを減らしたい
日報や報告書・議事録の作成・打ち合わせの記録なども、全てアプリ上で行えるものがおすすめです。
また、帳票毎の申請・確認・承認などは帰社してからの業務となりますが、スマホなどで入力可能な機能があると便利です。
おすすめ現場管理ソフト6選(無料あり)
現場管理ソフトは、多種多様です。
選び方のポイントを押さえても、どのようなソフトが良いか調べるのは手間のかかる作業です。
そこで、現場管理ソフトのおすすめ6選をご紹介します。
現場管理ソフト 比較表
サービス名 |
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---|---|---|---|---|---|---|
工事成績マネージャ | クラフタ | テラ施工管理 | Photoruction | KANNA | 現場ポケット | |
機能 | 工事成績の登録、データの入力・印刷、工事成績の比較・・・その他 | メッセージ機能、現場管理機能、写真管理機能・・・その他 | トーク・グループ機能、現場登録機能、報告書作成機能・・・その他 | 工事写真、電子小黒板、図面・・・その他 | 統合管理、現場管理、写真・・・その他 | 現場住所の伝達、毎日の出退勤の連絡、現場状況の報告・・・その他 |
初期導入費用 | フリー版 0円~ | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
保守/更新 費用 | 要お問合せ | 無料 | 無料 | 要お問合せ | 要お問合せ | 10,800円(税抜)/月~ |
無料版 体験版 | あり | あり | 要お問合せ | あり | あり | あり |
【提供形態】 対応OS | 【インストール型】 Windows10/11 | 【クラウド型/インストール型】 PC /iOS/mac/Android | 【インストール型】 Windows /iOS/mac/Android | 【クラウド型】 要お問合せ | 【クラウド型】 PC版 要お問合せ (別途記載) ※推奨ブラウザ:Chrome | 【クラウド型】 要お問合せ |
サポート 体制 | フォーム | 電話対応、メール対応 | 電話対応 、リモートサポート | 要お問合せ | セミナー/説明会/講習 | 要お問合せ |
運営会社 | 株式会社ワイズ | 株式会社グローバ | Terra DX Solutions株式会社 | 株式会社フォトラクション | 株式会社アルダグラム | 株式会社アステックペイント |
工事成績マネージャ
『工事成績マネージャ』は、建設工事における成績管理を効率化するツールです。
各工事の進捗や評価項目をデータ化し、視覚的に分析できる機能を搭載しています。これにより、工事成績向上に向けた課題を的確に把握し、改善策を講じることが可能です。
利点として、工事成績の一元管理が実現し、資料作成や報告業務の負担軽減が挙げられます。
さらに、過去データとの比較分析や傾向の把握が簡単に行えます。
操作性も高く、ユーザーインターフェースは直感的でわかりやすいため、現場担当者から管理者まで幅広く利用可能です。
システムの特徴・利点
- 工事成績のデータ分析と可視化
- 業務効率の向上
- 直感的で使いやすい操作性
機能 | 工事成績の登録、データの入力・印刷、工事成績の比較、その他 |
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初期導入費用 | フリー版 0円 製品版 13,980(税込) ※1ライセンスあたりの価格 ※都道府県土木要領基準、インストール用CDは別途費用 |
保守・更新費用 | 要お問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | ・Windows10/11 |
サポート体制 | フォーム |
運営会社 | 株式会社ワイズ |
【クラウド型/インストール型】クラフタ
『クラフタ』は、「職人さんでも使いこなせる」をテーマに作られた、完全無料の施工管理アプリです。
使い勝手がLINEに似ているため、職人さんでも使い慣れた画面で問題なく使用できます。
主な機能は、「トーク機能」「写真の自動格納機能」「案件情報管理」の3つです。
メッセージで送られた写真は各現場の専用フォルダに自動的に保存されるため、写真を探す手間が省け、写真が消えてしまう心配もありません。
全機能を完全無料で利用できますが、導入前にオンライン説明会で操作方法を教えてもらえるので安心です。
システムの特徴・利点
- 過去に作成した見積書の検索・見積単価表の作成が簡単にできる!
- 見積の情報はもちろんのこと、業務に関する情報を一元管理できる!
- 申告・承認機能でミスを防ぐ!
- アイピアの見積は5階層まで対応!工事の規模を問わず見積を作成可能!
- 見積書をエクセルデータからコピー&ペーストで登録できる!
機能 | メッセージ機能、現場管理機能、写真管理機能、その他 |
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初期導入費用 | 無料 |
保守・更新費用 | 無料 |
無料・体験版 | あり |
対応OS | ・PC ・iOS ・Mac ・Android |
サポート体制 | 電話対応 メール対応 |
運営会社 | 株式会社グローバ |
テラ施工管理
テラ施工管理は、Terra DX Solutions株式会社が提供している施工管理アプリです。
スマートフォンだけで、建設現場ごとの案件管理や写真管理などが行えます。
システムの特徴・利点
- 完全無料で利用できる
- 円滑なコミュニケーションが実現できるトーク・グループ機能
- ストレージ無制限、無料で写真の保管ができる
機能 | トーク・グループ機能、現場登録機能、報告書作成機能、その他 |
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初期導入費用 | 無料 |
保守・更新費用 | 無料 |
無料・体験版 | 要お問合せ |
対応OS | ・Windows ・iOS ・Mac ・Android |
サポート体制 | 電話対応 リモートサポート |
運営会社 | Terra DX Solutions株式会社 |
【クラウド型】Photoruction(フォトラクション)
『Photoruction(フォトラクション)』は、建設・土木業界向けに作られた業務効率化サービスです。
これまでに約300,000件以上の建築プロジェクトに導入されています。
写真管理、図面管理、工程管理など、施工管理の業務プロセスを効率化し、各社の建設DX戦略の実現をサポートします。大量の写真管理もスマートフォンやタブレットから撮影するだけで自動整理できたり、電子黒板や台帳の作成も簡単に行えます。
またスマホでもストレスを感じずに利用できるよう設計されているため、ITに苦手意識を持っている方を含め誰でも簡単に扱えます。
スーパーゼネコンが担当する大規模なプロジェクトから住宅施工まで、あらゆる案件に対応可能です。
システムの特徴・利点
- 現場での1人当たりの作業月20時間削減
- 報告作業にかける時間99%削減
- PCだけでなく、スマホでも操作しやすい
機能 | 工事写真,電子小黒板,図面,工程表,書類,検査,タスク,BPO,共有機能,ストレージ連携,BIM,その他 |
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初期導入費用 | 無料 ※ カスタマイズやオプションによっては発生する場合がございます。 |
保守・更新費用 | 利用者数に応じた月額料金 + オプション利用料金 |
無料・体験版 | あり |
対応OS | 要お問合せ |
サポート体制 | 要お問合せ |
運営会社 | 株式会社フォトラクション |
【クラウド型】KANNA
『KANNA』は、建設業、不動産業などの現場の生産性を向上を目的とした施工管理アプリです。 導入企業は50,000社以上にのぼります。
現場状況の共有から報告書の作成までを行うことができ、施工管理の業務負担を軽減できます。
ネット環境があればどこでも確認でき、スマホアプリでも利用できる操作性が特徴です。
また、基本機能を無料で利用でき、アカウント数に制限がないため、コストパフォーマンスに優れています。
システムの特徴・利点
- 複数現場の統合管理ができる
- 現場の写真をリアルタイムで共有可能
- チャットや報告などのコミュニケーション機能を搭載
機能 | 統合管理、現場管理、写真、資料、写真台帳、チャット・共有、カレンダー、権限管理、その他 |
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初期導入費用 | 無料 |
保守・更新費用 | 要お問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | PC 要お問合せ ※推奨ブラウザ:Google Chrome (最新版) アプリ ・iPhone:iOS 最新バージョン ・Android:Android 6.0以降 |
サポート体制 | セミナー/説明会/講習 ※その他、要お問合せ |
運営会社 | 株式会社アルダグラム |
【クラウド型】現場ポケット
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『現場ポケット』は、1,000社以上の現場の声を聴いて作られた、建築工事会社のための現場管理専用アプリです。
2021年にリリースされて以来、その機能性と圧倒的な価格の安さが評価され、現在全国35,465人以上の職人さんが利用しています。
現場管理に必要な機能に特化し、「トーク」「掲示板」「アルバム」「日報」「報告書作成」に絞り、職人の使いやすさを徹底しています。
報告書を作成する際は、テンプレートを使用するだけで簡単に行うことができ、労力を大幅に削減できます。
システムの特徴・利点
- 現場管理はこれ1つでOK
- 報告書の作成時間が3分の1になる
- 現場管理に必要な最低限の機能に絞ることで、低下価格で利用可能
機能 | 現場住所の伝達,毎日の出退勤の連絡,現場状況の報告,日報の提出,工事仕様の連絡,作業写真の送信,報告書の作成,その他 |
---|---|
初期導入費用 | 無料 ※ カスタマイズやオプションによっては発生する場合がございます。 |
保守・更新費用 | 月額10,800円(税抜)/月 ※ユーザー数・データ容量・現場登録数無制限 |
無料・体験版 | あり |
対応OS | 要お問合せ |
サポート体制 | 要お問合せ |
運営会社 | 株式会社アステックペイント |
工事管理システムを見るならこちら
現場管理ソフトのよくある質問
- 現場管理ソフトはどのような業種で利用できますか?
-
主に以下の業種で活用されています。
- サービス業(現場作業のスケジュール管理)
- 建設業(工事現場の管理)
- 製造業(生産ラインの管理)
- 小売業(店舗や倉庫の管理)
この記事では、建設業向けに概要やメリット、おすすめの製品を紹介しています。
- 現場管理ソフトを導入するのにどれくらいのコストがかかりますか?
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コストはシステムの規模や機能によって異なりますが、初期費用と月額費用がかかることが一般的です。一部のソフトウェアはクラウド型で月額数万円から利用可能ですが、オンプレミス型の場合は初期導入費用が高くなる傾向にあります。
- クラウド型とインストール型の違いは何ですか?
-
クラウド型とインストール型のソフトの違いは以下の通りです。
- クラウド型: インターネットを介して利用でき、初期費用が抑えられる。場所を問わず利用可能。
- インストール型: 自社のサーバーで運用し、カスタマイズ性が高いが初期費用が高額。
- 小規模事業でも導入できますか?
-
はい、小規模事業向けの現場管理ソフトも多数提供されています。必要な機能が揃ったシンプルなプランからスタートするのがよいでしょう。
クラウドで見積作成するなら建築業向けの管理システム「アイピア」
まとめ
近年は現場を管理するソフトや工事全体を管理できる工事管理システム(施工管理システム)を導入し、効率化を図る企業がどんどん増えています。
しかし、建築業会のIT化は他の業界に比べて、なかなか進んでいません。
国土交通省では、特に小中企業のIT化を推奨しているので、今後の流れを考えれば速やかにIT化を促進したいところです。
生産効率の停滞が懸念される、小・中堅建設業者のIT 活用が進めば、建設産業全体 の生産性の向上につながります。
人手不足で時間がないからこそのIT化です。
まず、無料のソフトを導入して仕事がどう変わるのかを、体感してみることからおすすめします。
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