建設リサイクル法は、建物の解体に大きく関わる法律です。
建築業者は建物の解体現場に携わることも多いため、この法はしっかり押さえておきたい法律の一つです。
そこで、この記事では建設リサイクル法とはどんな法律なのか、対象や届け出の方法などを解説していきます。
建設リサイクル法とは
建設リサイクル法は、特定建設資材に選定された建材が使用された建築物の解体工事か特定建設資材を使用する新築工事で、一定規模以上の工事となる場合に、その資材の分別解体や再資源化などを義務付ける法律です。
建設リサイクル法にもとづき、解体工事を行う際は土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可を得なくてはなりません。
元請け・下請けかを問わず、知事による解体工事業登録を受けないと解体工事ができないので注意が必要です。
建設リサイクル法制定の背景
日本では現在、産業廃棄物の量が増大し続けており、最終処分場での処分が間に合わない状態になっています。
他にも廃棄物の不適正処理、不法投棄などの社会問題も深刻化している状況です。
また、高度成長期に続々と建設された建築物の老朽化が進み、今後の建て替えなどに伴い、建設廃棄物の排出量がますます増大することが予想されています。
こうした事態の解決策として、不法投棄などの不適正処理を防止し、資源の有効活用を促すため、2002年5月に建設リサイクル法が制定されました。
違反した際の罰則
建設リサイクル法に定めたルールに違反した場合、懲役や罰金などの罰則や過料に付されることがあります。
ルールをしっかり理解して、違反がないようにしなくてはなりません。
たとえば、最も重い罰則では、1年以下の懲役か、50万円以下の罰金に処されます。
この罰則は、無登録での解体工事や、不正手段による解体工事業の登録、事業停止命令に違反して解体工事業を営んだ場合に科されるものです。
また、分別解体や再資源化に関する命令に違反した場合は50万円以下の罰金の対象です。
そのほか、ルールに違反すると30万円以下や20万円以下の罰金や10万円以下の過料に問われます。
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建設リサイクル法の対象
建設リサイクル法の対象となる工事は、特定建設資材が使用された建築物の解体工事と、特定建設資材を使用する新築工事のうち、一定の規模以上になる工事です。
以下では、特定建設資材や対象工事について詳しくご説明していきます。
特定建設資材とは
特定建設資材とは、プレキャスト鉄筋コンクリート板などを含めたコンクリート、アスファルト・コンクリート、木材です。
これらは、リサイクルがしやすい資材となります。
一定規模以上の建築物や工作物の解体工事や新築工事で特定建設資材が廃棄物として発生した場合には、現場で分別しなくてはなりません。
対象となる工事
建設リサイクル法の対象となる工事は、一定規模以上の場合に限られます。
規模が大きいと、相応の特定建設資材が出ることが予想されるため、対象工事として分別が義務付けられます。
建設物の床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事、建設物の床面積の合計が500平方メートル以上の建築物の新築工事または増築工事は分別が義務付けられる工事です。
また、工事に係る請負代代金が1億円以上の建築物の新築、増築、解体以外の工事と、工事に係る請負代金が500万円以上の建築物以外の工作物の解体工事または新築工事も対象工事です。
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建設リサイクル法の届け出
特定建設資材が発生する対象工事を行うには、工事に着手する7日前までに、都道府県知事または特定行政庁への届け出が必要です。
国の機関や地方公共団体が行う公共工事に着手する場合も、あらかじめ通知を行うことが求められています。
届け出の手順
建設リサイクル法の届け出の手順は以下の通りです。
STEP 1 発注者に対する説明
まず、建設工事を受注しようとする業者は発注者に対して、発注対象となる建築物の構造、工事着手の時期や工程の概要、分別解体における計画などについて、書面を交付して説明することが必要です。
STEP 2 契約の締結
書面を交付して説明を行ったうえで、お互いが納得したら、建設工事の契約を締結します。
契約書面には分別解体などの方法、解体工事に要する費用、再資源化をするための施設の名称と所在地、再資源化に必要となる費用を明記することが必要です。
STEP 3 知事への届け出
契約を締結した後、実際に工事をする7日前までに発注者または自主施工者が、分別解体の計画について、現場となる場所の都道府県知事に届け出を行います。
提出された届け出は、都道府県知事のもとで審査が行われます。
もし、計画が施工方法に関する基準に適合しないと認められると、知事から計画の変更命令が下されることがあるので、建設リサイクル法に則って計画をしっかりと行うようにしましょう。
STEP 4 工事関係者への告知
届け出が認められたら、工事関係者への告知が必要です。
元請業者は下請負業者や下請負人に対し、届け出た事項を告知しなくてはなりません。
また工事の実施後は、受注者が分別解体および再資源化を適正に実施します。
工事にあたっては、技術管理者が施工の管理、標識の掲示を行うことが必要です。
STEP 5 完了報告
再資源化が完了したら、元請業者は発注者に書面で完了報告を行わなくてはなりません。
また、再資源化の実施状況に関する記録を作成したうえで、保存することも求められます。
完了報告を受けた発注者は、万が一再資源化が適正に行われなかったと認めた場合、知事に申告し、適当な措置を求めることが可能です。
申告などを受け、分別解体の適正を確保すべきと判断した際は、受注者に対して知事が必要な助言、勧告、命令を行います。
手続きの際の注意点
建設リサイクル法の届け出と、届け出後の工事において、手続きの際の注意点を押さえておきましょう。
提出期限の確認
建設リサイクル法の届け出の提出期限は、発注者または自主施工者が工事に着手する7日前までです。
工事着手とは、実際に工事現場で作業を始める時のことで、準備工や仮設工事も含まれますので注意しましょう。
アスベストを含む建築物の場合
解体工事をする際には、対象の建築物にアスベストが含まれるか事前調査を行い、含まれた場合には適正な処理が必要です。
まず、建設リサイクル法の届け出をする前に、アスベストの事前調査を実施しましょう。
吹き付け石綿や石綿を含有する資材が使用されていることが判明した場合には、建設リサイクル法にもとづく届け出書にアスベストの有無や事前措置について記載する必要があります。
そのうえで、解体工事を行うときは、アスベスト被害が発生しないよう、事前措置を適正に行います。
石綿関係法令に基づいた各種届け出を行うとともに、分別解体を行うにあたり、適正に施工して処理をすることが必要です。
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まとめ
建設リサイクル法は、一定規模の工事を行う場合に、コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材といった特定建設資材の分別、リサイクルが義務付けられる法律です。
違反した際には、1年以下の懲役や50万円以下の罰金などの罰則も設けられているので注意が必要です。
建設リサイクル法では解体工事を行う業者は元請け、下請け問わず、解体工事の許可や登録を受けることが求められます。
対象となる工事を行うにあたっては、工事着手の7日前までに都道府県知事に届け出をしなくてはなりません。
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