工期を守って施工を進めるためには、工程表が重要です。
この工程表にマイルストーンを活用することで、作業の進捗状況がより分かりやすくなります。
本記事では、マイルストーンの概要や導入するメリット、工程表への書き方や注意点を解説します。
マイルストーンを上手く活用し、効果的な工程表を作成しましょう。
マイルストーンとは
マイルストーンとは、プロジェクトや工事の進捗状況を把握するために設ける節目のことです。
もともと、道路や線路に1マイルごとに置かれた標石を意味する言葉でしたが、ビジネスシーンでも使われるようになりました。
工程表にマイルストーンを活用することで、タスクや期日などをより簡単に把握できるようになります。
工期が長期化する場合や工程が複雑な場合は、マイルストーンの活用が特に効果的です。
マイルストーンとスケジュールの違い
スケジュールとは、プロジェクトや工事におけるすべての工程を整理した日程表です。
このスケジュールの中に、区切りや節目として設定するのがマイルストーンです。
そのため一般的には、大体のスケジュールが決定した後に、マイルストーンを設定します。
マイルストーンとタスクの違い
マイルストーンを達成するために行う業務をタスクといいます。
タスクを正確に把握できていなければ、マイルストーンを予定通りに通過することが難しくなってしまいます。
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マイルストーンの書き方
マイルストーンの概要を確認しました。
ここでは、工程表にマイルストーンを設定する方法を確認しましょう。
- ガントチャート工程表を作成する
- 期日とマイルストーンを設定する
- タスクを洗い出す
- 担当者を設定する
以上の4つの手順に分けてご紹介します。
STEP1 ガントチャート工程表を作成する
工程表には様々な種類がありますが、マイルストーンを活用する場合、ガントチャート工程表がおすすめです。
ガントチャート工程表は、作業の進捗状況を一目で把握できる工程表です。
作業内容を縦に書き出し、作業ごとの進捗を横棒で表します。
マイルストーンを設定するには、このガントチャート工程表を詳細に作成し、工事全体の要点を把握する必要があります。
STEP2 マイルストーンを設定する
ガントチャート工程表を作成したら、工事の節目となるポイントにマイルストーンを設定します。
マイルストーンは、「★」や「◎」など目立つ記号で書き込むと良いでしょう。
マイルストーンの設定に迷う場合は、各作業の完了予定日に設定しましょう。
そうすることで、予定日を意識しながら作業に取り組むことができます。
余裕を持たせたい場合は、完了予定日より前にマイルストーンを設定するようにしましょう。
STEP3 タスクを洗い出す
マイルストーンを設定したら、そこに至るために必要なタスクを洗い出しましょう。
この際、タスクをできるだけ細かく書き出すのがポイントです。
タスクを詳細に把握することで、各工程の必要時間を割り出すことができます。
時間配分が分かれば、余裕を持ったスケジュールを組むことが可能になります。
STEP4 担当者を設定する
最後に、書き出したタスクを各担当者に割り振っていきます。
担当者が各作業の進捗状況を確認することで、ミスや遅れが発生した場合、迅速に対応できます。
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工程表にマイルストーンを導入するメリット
マイルストーンの設定方法を確認しました。
ここでは、工程表にマイルストーンを導入するメリットをみていきましょう。
- 進捗状況が可視化される
- 作業の抜け漏れがなくなる
- 柔軟な対応が可能になる
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
進捗状況が可視化される
工程表にマイルストーンを設定することで、工事全体における節目が明らかになります。
節目ごとの進捗状況が一目で分かるため、作業の遅れにすばやく対応できます。
また、工事完了までの道筋が明確になるため、従業員のモチベーション維持にもつながります。
特に長期的な工事の場合、なかなか終わりが見えず、中だるみしてしまうことがあります。
マイルストーンを設置することで、小さな達成感を味わうことができるため、日々の作業のモチベーションを維持することが可能です。
作業の抜け漏れがなくなる
工程表にマイルストーンを設置すると、節目ごとに作業の進捗を確認することができます。
そのため、作業の漏れを防止できます。
作業の漏れがあった場合でも早期に発見できるため、すぐに立て直すことが可能です。
作業の漏れがなくなれば、作業のやり直しやスケジュールの組み直しといった余計な手間が省けます。
そのため、作業の効率化にもつながります。
柔軟な対応が可能になる
特に長期的な工事の場合、綿密な計画を練っていても、徐々に遅れが生じることがあります。
納期を設定しているだけでは、こうした遅れに気付くことが困難です。
マイルストーンを設定し、節目節目で進捗状況を確認することで、作業の遅れを早めに把握できます。
- 何がどの程度遅れているのか
- その遅れはどの作業に影響するのか
など、現状の進捗をしっかりと把握・分析できれば、納期までのスケジュールを柔軟に調整することが可能です。
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工程表にマイルストーンを導入する際の注意点
工程表にマイルストーンを設定することで、工事の進捗を効率的に把握することが可能です。
ただし、マイルストーンを設定する際には、以下のような点に注意する必要があります。
- タスクに漏れがないか
- 実現可能なスケジュールか
- 余裕工程や余裕日数が設定されているか
- マイルストーンが適度に設定されているか
- 担当者に偏りがないか
- ステークホルダーを洗い出す
- 定期的な見直し
ここでは、工程表にマイルストーンを導入する際の注意点を7つご紹介します。
マイルストーンを上手く活用できるよう、それぞれのポイントをしっかり押さえておきましょう。
タスクに漏れがないか確認する
洗い出したタスクに漏れがないか確認しましょう。
マイルストーンの達成のために必要なタスクが不足していれば、作業のスケジュールに影響が出てしまいます。
また、タスクは細かく具体的に設定するようにしましょう。
そうすることで、作業順序の変更やトラブルなど、不測の事態にも柔軟に対応することができます。
実現可能なスケジュールか確認する
工程表にマイルストーンを設定する際は、全体のスケジュールが現実的なものになっているかどうか、よく確認しましょう。
現場の意見を聞かずに想像だけでマイルストーンを設定してしまうと、実際の作業量やスピードとの差が出てきてしまいます。
タスクの担当者と話し合い、実現可能な計画を意識するようにしましょう。
余裕工程を把握する
多くの現場では、悪天候などの不測の事態に備え、余裕工程や余裕日数が設定されています。
この余裕工程を把握しておくことで、作業に遅れが生じた場合、スムーズに予定を変更できます。
余裕日数のない作業の時間を減らすなど、無理な日程調整は避けましょう。
マイルストーンは適度に設定する
すでに確認した通り、工程表にマイルストーンを設定することで、作業の進捗が分かりやすくなります。
ただ、あまりに細かくマイルストーンを設定すると、融通が利かなくなってしまいます。
スケジュール全体から重要なポイントを見極め、適度にマイルストーンを設定するよう心がけましょう。
一方、マイルストーン達成のためのタスクは、細かく、具体的に書き出すことが重要です。
担当者に偏りがないか確認する
タスクを担当者に割り振る際、偏りが生じないよう注意しましょう。
一人の担当者にタスクが集中してしまうと、その人の負担が増えるだけでなく、情報の共有にも困難が生じてしまいます。
また、他の参加者が工事やプロジェクトへの参加責任を感じづらくなり、全体の士気が下がってしまう可能性もあります。
タスクは適度に割り振り、担当したタスクの進捗は全体に共有するようにしましょう。
自分の担当外のタスクについても把握しておくことで、トラブルなどが生じた際にもスムーズに対応できます。
ステークホルダーを洗い出す
他の部署や企業とのやり取りが発生する工事の場合、ステークホルダー(利害関係者)をすべて把握しておくようにしましょう。
マイルストーンに遅れが生じた場合、自社だけで対応できれば良いですが、協力企業にも影響が及ぶ場合があります。
ステークホルダーを洗い出しておくことで、
- どこにどんな影響が及ぶのか
- 自社がどのように対処する必要があるのか
- 協力会社にどのような対応をとってもらう必要があるのか
などについて早い段階で連絡や報告を行うことができます。
定期的に見直す
いくら余裕のあるスケジュールを設定しても、遅れやトラブルが発生することは多々あります。
そのため、作成した工程表は定期的に見直すことが必要です。
タスクを予定通りに完了できているかこまめにチェックすることで、マイルストーンや全体的な計画の見直しができます。
手遅れにならないよう、細かいタスクの進捗を定期的に確認するようにしましょう。
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まとめ
マイルストーンの概要や、工程表への活用方法をご紹介しました。
工程表にマイルストーンを導入することで、より効率的に工事の進捗状況を把握できるようになります。
マイルストーンを設置する際には、タスクを漏れなく洗い出し、現実的なスケジュールを立てるようにしましょう。
また、設定したマイルストーンは、実際の工事の進捗に合わせ、定期的に見直すことが重要です。
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