積算は、建設プロジェクトにおける材料や工事費用を正確に算出する業務で、プロジェクトの成功に欠かせない重要な役割を果たします。
積算の勉強を始める際に、どのような教材を選ぶかは非常に重要です。
正しい知識を身につけることで、実務に役立つスキルを効率的に習得できます。
本記事では、初めて積算を学習する方におすすめの書籍を紹介します。
実際の現場で役立つ内容や、理解を深めるためのポイントを押さえた書籍を厳選しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
積算とは
積算とは、建設プロジェクトのコスト計算を指し、設計図や仕様書に基づいて材料、労務、機械などの費用を見積もり、総工費を算出する業務です。
積算はプロジェクトの予算管理とコストコントロールに直結するため、その精度がプロジェクトの成功に大きく影響します。
数字に強い人、また地道な作業を厭わず、新しい知識を柔軟に吸収できる人は積算に向いています。
積算に関する記事はこちら
初心者必見!積算の本を選ぶ際のポイント
積算を学べる本を選ぶ際に、「どの本を選べば良いのかわからない」と悩んだり、「自分に合った内容が見つからない」と感じることはありませんか?
ここでは、本を選ぶ際のポイントや選び方をご紹介します。
ポイントは大きく分けて5つあります。
- 自分の現在のスキルレベルを正確に把握する
- 学びたい工事内容が詳しく解説されているかを確認する
- 実務に即した内容かどうか確認する
- 最新の情報を反映しているか確認する
- レビューや評価を参考にする
以下で詳しく説明します。
ポイント①自分の現在のスキルレベルを正確に把握する
自分のレベルに合った積算基準の本を選ぶことは、学習効率を上げるために非常に重要です。
初心者であれば、基本的な概念や用語をわかりやすく解説している入門書が適しています。
逆に中級者向けの本を選ぶと挫折する可能性があります。
自分の理解度に合った本を選ぶことで、効果的な学習が可能になります。
ポイント②学びたい工事内容が詳しく解説されているかを確認する
土木、建築、電気工事など、学びたい分野に特化した積算の本を選ぶことは非常に重要です。
各工事にはそれぞれ独自の積算方法や注意点が存在します。
そのため、自分が学びたい分野に詳しく書かれた本を購入することが求められます。
電気工事の積算に関する記事はこちら
ポイント③実務に即した内容かどうか確認する
選んだ本が実務に役立つ内容かどうかも大切なポイントです。
理論だけでなく、実際の現場での事例や実践的なアプローチが含まれているか確認しましょう。
実務に即した内容は、学んだ知識をすぐに活用できるようにするために必要です。
ポイント④最新の情報を反映しているか確認する
建設業界は常に変化していますので、最新の情報を反映しているかどうかも確認しましょう。
新しい技術や法律、規制の変更に対応した内容の本を選ぶことで、時代に合った知識を得ることができます。
出版年や改訂版の有無をチェックすることが大切です。
ポイント⑤レビューや評価を参考にする
他の読者のレビューや評価を参考にすることも忘れないでください。
実際にその本を読んだ人の意見は非常に貴重です。
評価が高い書籍は、内容が分かりやすく、実用的であることが多いです。
複数のレビューを比較して、自分に合った本を選びましょう。
積算を学びたい方におすすめの本10選
積算のスキルを向上させるためには、質の高い参考書が欠かせません。
特に初心者にとって、適切な書籍を選ぶことで基礎をしっかり固めることができます。
ここでは、初心者が積算について学ぶ際に特におすすめな以下の本をご紹介します。
- 建築工事積算実務マニュアル 令和6年度版
- 初めての建築積算(改訂版)
- 木造住宅のコストがわかる本 改訂版
- 拾って覚える! 実践 電気工事積算入門
- 新リフォーム[見積り+工事管理]マニュアル
- 電気設備工事費の積算指針
- 積算ポケット手帳 外構編
- 積算技術者育成のための木造建築の積算
- 新☆建築積算士ガイドブック
- 図説 やさしい建築積算
①建築工事積算実務マニュアル 令和6年度版 【2024年/全日出版社】
「建築工事積算実務マニュアル」は公共建築工事積算基準に基づき、公共工事設計労務単価や材料単価を組み合わせた複合単価や合成単価を掲載しています。
材料別、工種別に算出されており、建設会社、工務店、設計事務所など幅広い関連企業で活用できます。
積算業務に従事する方から現場施工に関わる方まで、多様なユーザー層に対応した内容です。
②初めての建築積算(改訂版)【2018年/学芸出版社】
多くの建築系専門学校で教科書として採用されている初学者向けの積算テキストの改訂版です。
重要な語句や数量積算の公式、図面の拾い箇所を赤色で表示し、ポイントがわかりやすくなっています。
鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の数量積算の要点をこの一冊で学ぶことができます。
③木造住宅のコストがわかる本 改訂版 【2023年/エクスナレッジ】
「木造住宅のコストがわかる本 改訂版」は、木造住宅に関するコスト管理を徹底解説されています。
建築主との信頼関係を築くためのコストコントロール術や、トラブル回避に必要な知識を紹介しています。
第1部では、正しい概算や見積りのチェック法を工事別に解説し、実践的なコラムも充実しています。
第2部では、敷地条件や設計要因がコストに与える影響をシミュレーションし、仕上げ材の変更によるコスト変動も詳しく説明します。
コスト感覚を身につけたい方にとって必読の一冊です。
④拾って覚える! 実践 電気工事積算入門 【2018年/オーム社】
「拾って覚える! 実践 電気工事積算入門」は、電気工事の積算実務の基本を初心者向けに伝授する本となっています。
積算業務は習得が難しいですが、実際の図面を使った「拾い出し作業」を通じて体験的に学ぶことができます。
福岡県電気工事業工業組合で行われている満足度90%の初心者積算講習会のエッセンスをそのまま書籍化した一冊です。
⑤新リフォーム[見積り+工事管理]マニュアル 【2017年/建築資料研究社】
「新リフォーム[見積り+工事管理]マニュアル」は、リフォームにおける見積りの基本的な考え方や手順が詳細に説明されており、初心者でも正確な見積りを作成するための基礎知識を身につけることができます。
また、工事管理に関する章では、プロジェクトの進行管理、品質管理、安全対策について具体的な事例を交えて解説しています。
特に、現場でのトラブルシューティングや効率的なスケジュール管理の方法が紹介されており、実務に即した知識を得ることができます。
⑥電気設備工事費の積算指針 【2022年/日本電設工業協会】
「電気設備工事費の積算指針」では、土木工事や電気工事の基本的な概念から始まり、具体的な積算手法や注意点について詳細に解説しています。
一般電気工事の経験が5年程度の方を対象に、工事項目ごとに積算時の注意事項や使用材料を解説されています。
⑦積算ポケット手帳 外構編 【2023年/建築資料研究社】
「積算ポケット手帳 外構編」は土木や電気工事など、外構工事に特化した積算のポケットガイドです。
この手帳は、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応しており、実践的な積算基準に基づいて、外構工事の見積もりや費用の計算を効率的に行うための情報が満載です。
工事の種類や規模に応じた詳細なデータや計算方法が記載されており、実際の現場で即座に活用することができます。
⑧積算技術者育成のための木造建築の積算 【2022年/鎌田敏朗】
木造建築の特徴や材料の選定方法、積算のプロセス、さらに実際の現場での適用例などを詳しく解説しています。
初心者でも理解しやすいように、図解や具体例を交えて説明しているので、これから積算技術者を目指す方々にとって非常に有益な情報が満載です。
中大規模木造建築の木工事を建て方工事と造作工事に分けて、わかりやすく解説されています。
⑨新☆建築積算士ガイドブック 【2024年/公益社団法人 日本建築積算協会】
新☆建築積算士ガイドブックは、積算技術を基に、建築事業のコストを合理的に算定するための知識と技術を網羅しています。
建築積算の定義や目的、工事の発注・契約方式、数量積算基準、内訳書標準書式、施工技術、ライフサイクルコスト、バリューエンジニアリングなど、実務に必要な内容が盛り込まれています。
出版したBSIJが実施する「建築コスト管理士」および「建築積算士」の資格試験のテキストとして活用されるほか、大学や専門学校での教育活動でも使用されています。
内容は実務を重視しているため、建設プロジェクトに関わる幅広い層の方々に役立つ1冊となっています。
建築積算士に関する記事はこちら
⑩図説 やさしい建築積算 【2017年/学芸出版社】
建築の初学者を対象にしたこのテキストは、建築業界の常識としての積算の基本をわかりやすく解説しています。
実務の専門家と教育のプロが協力し、初心者にとって難しい「拾い」部分を丁寧に解説しています。
鉄筋コンクリート造の数量積算を中心に、鉄骨造、木造、改修工事の積算ポイントも学べる構成になっています。
大きく見やすい2色刷りの図面やイラストが特徴で、勉強しやすい内容です。
見積もりに関する記事はこちら
積算を本で学ぶメリット・デメリット
積算を学ぶ際に、本を使った学習は非常に効果的な手段ですが、そのメリットとデメリットを理解することが重要です。
以下で詳しく解説していきます。
メリット
積算を本で学ぶことには、多くの利点があります。
まず、本は情報を体系的に整理して提供してくれるため、初心者でも理解しやすいです。
特に、土木や電気工事に関する積算の基準や基本的な概念を丁寧に解説している本は、積算の基礎をしっかりと学ぶのに適しています。
また、本は自分のペースで学習できる点も大きなメリットです。
時間に縛られず、理解が深まるまで何度も読み返すことができます。
さらに、積算に関する実例や演習問題が豊富に掲載されている本を選べば、実践的なスキルも身に付きます。
デメリット
積算を本で学ぶことには、いくつかのデメリットがあります。
まず、本は情報の更新が遅いため、土木や地、電気工事といった分野で頻繁に行われる法改正や積算手法の変化に対応できないことが多いです。
最新の実務基準に基づいて学習するためには、常に新しい情報を取り入れる必要があります。
また、本を読むだけでは積算の実践的なスキルや経験を得ることが難しいです。
積算は非常に実務的な作業であり、実際の現場での経験が重要です。
本だけでは理論は学べても、実際の作業に必要なスキルを習得するのは難しいでしょう。
積算に役立つ国土交通省の情報を活用しよう
積算初心者にとって、国土交通省が公開しているさまざまなデータは非常に貴重な資源です。
これらの信頼性の高い公式データや資料を活用することで、より正確な積算が可能になり、実務の理解を深める助けとなります。
ここでは以下2つをどのように活用するか、簡単にご紹介します。
- 公共建築工事標準単価積算基準
- 公共建築工事見積標準書式・公共建築工事内訳書標準書式
公共建築工事標準単価積算基準
公共建築工事標準単価積算基準とは、国や地方自治体が発注する公共建築工事において、工事の積算を行う際に使用される標準的な単価を定めた基準です。
この基準を用いることで、建築工事の見積もりやコスト管理が一層正確かつ効率的に行えます。
各工事の作業にかかる時間や人員、資材の数量を示す「標準歩掛」が細かく記載されており、実務に即した積算が可能です。
公共建築工事見積標準書式・公共建築工事内訳書標準書式
公共建築工事見積標準書式は、公共工事の見積もりを作成する際に用いる公式なフォーマットで、必要な情報を体系的に整理することで、透明性や一貫性を確保します。
一方、公共建築工事内訳書標準書式は、見積もりの内訳を詳しく示すための書式で、工事内容や数量、単価などを明確に記載し、正確なコスト管理をサポートします。
どちらも公共工事の発注や契約において重要な役割を果たしています。
これらの書式を活用することで、見積もりの精度が向上し、予算管理が円滑に進められます。
公共建築工事見積標準書式・公共建築工事内訳書標準書式の主な使い方としては、見積書や見積依頼書を作成する際に、記載すべき具体的な項目や書式を確認するために活用されます。
特に、見積書に何を記載すべきか分からないときに、これらの標準書式を参照すると良いでしょう。
歩掛に関する記事はこちら
まとめ
本記事では、積算の重要性や学習に役立つ本、特に初心者におすすめの本を紹介しました。
適切な教材を選ぶことで、基礎知識をしっかりと身につけ、実務に役立つスキルを効率的に習得できます。
また、国土交通省が提供する情報や基準を活用することで、より実践的で正確な積算を行うことが可能です。
初心者の方は、紹介した書籍やリソースを参考にして、積算の理解を深めていくことをおすすめします。
積算システムの技術は一度習得すれば長く使えるものですので、継続的に学ぶ姿勢が重要です。
積算本を活用して、効率的に学びながら実務でのスキルアップを目指しましょう。
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