工務店の経営の安定化を図り、持続的な成長を遂げていくための目安として、重要になるのが粗利率です。
では、工務店が目指すべき粗利率の目安はどのくらいなのでしょうか。
粗利率の特徴や計算方法、改善策もご案内していきます。
工務店における粗利率とは
粗利率とは、売上高に対する粗利の割合を指します。
そして、粗利とは、売上高から売上原価を差し引いたものです。
工務店の場合、完成工事高から工事原価を控除した金額が、完成工事高に占める割合が粗利率となります。
営業利益との違い
粗利率は完成工事高から工事原価を差し引いたものが、完成工事高に占める割合です。
これに対して、営業利益は、完成工事高から工事原価を差し引いたものから、さらに販売費および一般管理費などの経費を控除したものです。
そのため、粗利よりも営業利益のほうが小さくなります。
建設業の利益率・営業利益に関する記事はこちら
工務店における粗利率の求め方
工務店における粗利率の求め方は、まず完成工事高と工事原価をそれぞれ漏れなく積み上げて計算しなくてはなりません。
家を建てた時に分譲した代金などの完成工事高から、人件費や資材費、設備機器の搬入費などの工事原価を差し引きます。
その粗利を完成工事高で割って求めます。
粗利率の計算式
工務店における粗利率の計算式は以下の通りです。
粗利率(%)=(完成工事高-工事原価)÷完成工事高×100
ここで、完成工事高とは、工事が終わり、引き渡しが完了した時に得る金額のことです。
工事原価は純工事費や現場管理費など、完成工事高を出すにあたって実際にかかった費用の総額を指します。
工務店における粗利率の平均は25%以上
工務店における粗利率の平均は、どのくらいなのでしょうか。
一般に、黒字経営になるための粗利率の平均は25%前後と言われています。
健全経営を維持している工務店や成長している工務店なら粗利率が30%を超えるのが一般的です。
一方、粗利率が20%に満たない場合、事業の採算を取るのが難しく、経営が厳しい状況です。
この状態では事業継続が困難になるため、粗利率を高めるための対策を速やかに行い、経営状態を改善しなくてはなりません。
そうでないと倒産のリスクもあります。
工務店の粗利率を改善する方法4選
では、工務店の粗利率を改善するにはどうすれば良いのでしょうか。
粗利率が20%を切っている工務店はもちろんのことですが、25%前後と平均を維持している工務店も、今後の事業拡大や成長、黒字経営の維持のために実践していきたいとことです。
工務店の粗利率を改善する方法として、標準原価を設定する、工事原価を管理する、住宅価格を見直す、原価管理システムを導入する、の4つの方法を見ていきましょう。
改善法① 標準原価を設定する
標準原価とは、建築工事の施工前に目標として定める原価を指します。
施工に必要となる資材の標準価格や標準使用量、工事に必要な人材の数などから見積もります。
いきなり実際の見積もりをするのではなく、あらかじめ標準原価を定めたうえで仕入価格を決めることや人材配置や手配などを行うことで、原価のコントロールがしやすくなります。
予想外に高い費用を払ってしまうことや予算オーバーとなる事態を防げるのがメリットです。
また、案件ごとの原価のバラつきを抑えたり、施工前の原価試算と工事中の原価との差異を把握して調整したりしやすくなります。
これにより、施工中でも資材の仕入れメーカーを変更したり、グレードの調整をしたり、人件費などを見直したりすることも可能です。
標準原価を定め、知ることで、標準からかけ離れた費用の支払いをせずに済み、費用を抑えたりコントロールしたりすることで粗利率の向上につながります。
改善法② 工事原価を管理する
工事原価は、実際に工事にかかる費用のことですが、事前に決めた費用で固定するのではなく、完成するまで管理していくことも大切です。
たとえば、契約時と、実際に資材の仕入れを行い工事をする時点で、資材の価格が変動したり、人件費が値上がりしたりすることも少なくありません。
資材やガソリン代の高騰につながるエネルギー価格の高騰や為替の変動などに留意するほか、働き方改革や賃上げの動きにも敏感になりましょう。
契約時より、実際の仕入時に価格が上がった場合、別の場所でコストカットができないかを考えたり仕入れするメーカーや仕入方法を変えたりして、同等の価格で仕入れられないかを考えなくてはなりません。
人件費が高騰した場合は、下請けではなく自社の職人を多く投入することも必要です。
そのためには、中長期的な対策として、自社の職人の採用や育成も検討していきましょう。
改善法③ 住宅価格を見直す
住宅価格とは、住宅を建築した時や分譲販売する時の価格のことです。
売上は大事な収入源ですが、他社との競争のために安売りしていないでしょうか。
もし安売りが頻発している場合、路線を見直して、高品質な住宅を堂々と適正価格で売るなどの戦略の見直しも必要です。
エネルギー価格の高騰や為替変動など、工務店の努力だけでは対応できない原価高騰などが生じた場合、経営努力だけではそれらを吸収できない場合には、お客様にしっかり説明して価格を上げていくことも求められます。
改善法④ 原価管理システムを導入する
工務店では、経営者も自ら現場に出て工事を行っている場合や複数の案件を抱えている場合には、現場を巡回して指導や監理などを行う必要があり、業務が多忙です。
そのため、施工中も原価管理をしたくても手が回らないことが少なくありません。
結果として、工事が終わってから、工事原価が高すぎたなどの理由で、粗利率が低くなることも多くあります。
そこで、リアルタイムで原価が一目で把握でき、工事中でも調整がしやすくなるような原価管理システムを導入するのもポイントです。
経営者や現場管理者の助けとなり、粗利率を向上させるためのヒントをもらうことができます。
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まとめ
工務店における粗利率とは、完成工事高から工事原価を差し引いた金額の完成工事高に占める割合です。
営業利益は粗利からさらに経費を差し引いたものであり、違いがあります。
粗利率の求め方は、粗利率(%)=(完成工事高-工事原価)÷完成工事高×100です。
工務店における粗利率の平均は25%前後で、20%を切ると経営に不安が生じます。
工務店の粗利率を改善する方法としては、標準原価を設定すること、工事原価を管理すること、住宅価格を見直すこと、原価管理システムを導入することが挙げられます。
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