経営理念とは？企業理念との違いや事例をご紹介

企業の成長と持続的な成功には、経営理念が不可欠です。
経営理念は、企業が目指すべき方向性や価値観を示し、社員全員が共通の目標に向かって力を合わせるための基盤を作ります。
本記事では、経営理念の意味や企業理念との違い、実際の企業の経営理念の事例まで幅広くご紹介します。
企業の方向性を明確にし、社員全員の力を一つにしたいあなたにとって、経営理念の重要性や作り方を学べる本記事は必見です。

経営理念とは

「経営理念」とは、企業が事業活動を行う際の基本的な考え方や方針を示したもので、企業の目的や目指すべき方向性を明確にするものです。
企業の価値観や社会的責任、顧客に対する姿勢を反映し、社員やステークホルダーに共通の目標を提供します。
経営理念は企業の成長を支え、組織全体の意識統一や意思決定において重要な役割を果たします。

企業によって違いはありますが、一般的には経営理念には以下の4つの要素が含まれています。

企業理念との違い

「企業理念」と「経営理念」は似ている言葉ですが、意味に少し違いがあります。

企業理念は、企業の存在意義や社会的責任を示すもので、企業がどのような価値を提供するか、どのような社会貢献を目指すかを示すものです。
企業全体の使命やビジョンに関わる、より広範な概念です。

一方、経営理念は、企業の経営における基本的な方針や考え方を示します。
経営戦略や組織運営の指針となるもので、具体的な行動や意思決定に結びつく部分が強調されます。

経営理念が必要な理由とは？

経営理念は、企業の成長や安定した運営において欠かせない要素です。
経営理念が必要な理由は主に以下の３つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由① 企業の目指す方向性を明確にし、組織全体を統一するため

経営理念は、企業が進むべき方向を示します。
これにより、全社員が共通の目標に向かって行動しやすくなり、組織全体の活動が一貫します。
目標が共有されていれば、個々の社員が適切に連携し、無駄な対立や混乱を避けることができます。

理由② 社員が共通の価値観に基づき、一貫した行動を取れるようにするため

経営理念は、企業の価値観や文化を社員全員に伝えるため、社員は共通の価値観を基に意思決定や行動ができ、組織全体の一貫性が保たれます。
特に、リーダーが不在でも社員が自ら判断して行動できるようになります。

理由③ 変化や課題に対して、対応できる基盤を作るため

経営理念は、外部環境や市場の変化、または内部の課題に直面した際にも、企業が何を重視し、どのように行動すべきかを示す基盤となります。
経営理念が明確であれば、困難な状況においてもその理念に従って意思決定を行うことができ、企業はブレずに課題を乗り越える力を持つことができます。

経営理念を社員に浸透させる方法

経営理念を浸透させるということは、単に言葉を覚えてもらうということではなく、社員に経営理念に沿った行動をとってもらうということです。
多くの企業では、経営理念を覚えるための施策をしており、行動してもらうための施策をしている企業は多くはありません。
経営理念を社員に落とし込むという言葉を使うことがありますが、「落とし込む」とは何に落とし込むことを指していますでしょうか？
それは「日々の業務」です。
普段の業務の仕方や、社員としての在り方、問題が起きた時、迷った時、様々なシチュエーションで落とし込む必要があります。

経営理念の背景を伝える

経営理念を浸透させるには、その言葉が生まれた背景を社員に伝えることが重要です。
ストーリー形式で伝えると、より具体的にイメージでき、社員の心に響きます。
実体験を交え、なぜ、いつ、どうしてそれが大事だと実感したのかを伝えることで、理念への理解と共感が深まります。

経営理念に沿った行動を率先して行う

経営者の影響力は組織内で非常に大きく、行動や発言は多くの人に影響を与えます。
経営理念を伝えるためには、経営者自身がその価値観を率先して実践することが重要です。
例えば、「お客様に満足してもらう」という理念があれば、経営者自身が積極的に行動で示さなければ、社員には伝わりません。
逆に、行動が言葉と異なれば、社員は理念を軽視するようになります。

経営理念について話し合う機会を増やす

経営理念を伝えるだけでは、社員は自分事として捉えません。
浸透には能動的なプロセスが必要で、受動的では行動には繋がりません。
社員が「自分の業務にどう関連するか」「経営理念をどう捉えるか」「自分ならどうできるか」を考える機会を増やすことが重要です。

評価制度に反映させる

経営理念を浸透させるためには、評価基準に理念に基づいた行動や成果を組み込み、具体的なフィードバックを通じて社員の行動を認識し、評価することが重要です。
また、理念に沿った行動を取った社員にインセンティブや表彰を与え、報酬で反映させます。
こうした取り組みにより、理念が社員の日々の業務に自然に組み込まれるようになります。

経営理念の作り方とポイントとは？

企業の成長や組織の一体感を支えるために、経営理念は欠かせない要素です。
しかし、経営理念を作ることは単に言葉を並べるだけではなく、企業の価値観やビジョンを反映させ、社員が日々の行動に落とし込めるようにする必要があります。
ここでは、経営理念の基本的な作り方と、ポイントについてご紹介します。

企業の使命と価値観を明確にする

経営理念を作成する際、まず自社が何を目指し、どのような価値を社会に提供したいのかを考えることが重要です。
企業のミッションやビジョンを洗い出し、それが経営理念に反映されるようにします。

シンプルで覚えやすい言葉にする

経営理念は社員全員に浸透することが求められます。
そのため、シンプルで理解しやすく、感情に訴えるような言葉を選びましょう。
あまりに複雑な表現や抽象的な言葉を使うと、社員が理念を理解し、実行するのが難しくなります。

具体的な行動規範を含める

経営理念は、社員が実際にどのような行動を取るべきかの指針を示すものです。
ただの理想やスローガンにとどまらず、理念に基づく具体的な行動や価値観を盛り込むことが大切です。
これにより、社員は日々の業務に経営理念を意識的に反映させることができます。

社員との共創を意識する

経営理念を作る過程では、経営者だけでなく、社員の意見や価値観を取り入れることもおすすめです。
理念に共感し、実践しやすいものにするために、社員との対話を通じてアイデアを出し合うことが、理念の浸透にもつながります。

経営理念の事例紹介

ここでは、いくつかの企業の経営理念を紹介します。

京セラ株式会社

日本の大手総合電機メーカーの京セラ株式会社は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」を経営理念としています。

パナソニック ホールディングス株式会社

パナソニックは経営理念を、『綱領』『信条』『遵守すべき精神』という言葉で、力強くかつ簡潔に表現しています。
経営理念はどれだけ時代が推移し、事業規模・事業内容が変化しようとも、私たちの根幹に変わることなくあり続ける大切な言葉なのです。

三井住友銀行

三井住友銀行は以下のような経営理念を掲げています。

お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する
事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る
勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る
社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する

まとめ

いかがだったでしょうか？
経営理念は企業の基本方針や方向性を示し、組織全体の成長や安定に欠かせない役割を果たします。
経営理念を作ることで、企業の方向性が明確になり、社員の共通の目標と価値観が共有され、組織の一体感や意思決定の一貫性が高まることで、成長と安定した運営が実現します。
経営理念をしっかりと策定し、全社員が共感し実践できるようにしていきましょう。

建築業向けの管理システム「アイピア」