建設現場で重要なポジションにあるのが主任技術者です。
この記事では、主任技術者とはどのような役割を果たすのか、特徴や仕事内容を解説していきます。
主任技術者は建設工事を実施するうえで重要な役割を担うため、誰でも簡単になれるわけではありません。
主任技術者になるために必要な要件も確認していきましょう。
主任技術者とは
主任技術者は建設業法において、建設工事を実施する工事現場に設置が義務付けられている、技術上の管理をする役割を果たす担当者のことです。
なぜ、設置が義務付けられているのでしょうか。
それは、建設工事によって建設される建物の品質が非常に重要になるからです。
建物は完成後、長きにわたって多くの人に利用されます。
設計図通りに造られ、品質が維持されていなければ、事故や災害の際に、人や物に被害が及ぶおそれがあります。
耐震基準を満たすことはもちろん、工事ミスや施工不良などにより、思わぬ事故が起こらないよう、工事現場で技術上の管理をしていく人を置かなくてはなりません。
主任技術者の特徴
主任技術者には専任と非専任があります。
専任とは1つの建設現場だけを担当することで、非専任は複数の建設現場を担当することです。
そのため、ある現場で専任の主任技術者になった場合は、ほかの現場の専任や非専任主任技術者になることはできません。
また、ある現場で非専任主任技術者になった場合は、ほかの複数の現場の非専任主任技術者になることはできますが、特定の現場の専任主任技術者にはなれません。
主任技術者になれる人材が少ない場合に、同時期に複数の工事を請け負う際には注意が必要です。
専任と非専任を掛け持ちすることは法令違反にあたるため、担当する主任技術者を選定する企業側も、主任技術者の資格を有する方も、注意しなくてはなりません。
主任技術者の設置が必要な工事は、元請工事における下請合計金額が4,000万円未満、建築一式工事の場合は6,000万円未満のケースです。
その中で、専任の主任技術者を置くことが求められる工事現場は、公共性のある施設や工作物をはじめ、多数の人が利用する施設で、請負金額が3,500万円以上、建築一式の場合は7,000万円以上のケースとなります。
たとえば、役所や学校、大型商業施設やコンサートホール、病院などです。
こうした場所で、工事ミスや手抜き工事によって天井が落下した場合や、大きな金具や建具などが外れてしまい事故が起これば、甚大な被害が発生しかねません。
施設内で行われる業務や活動にも大きな影響が出るおそれがあります。
そのようなトラブルが起こらないよう、複数の現場を掛け持ちするのではなく、1つの工事現場に集中して技術管理することが求められます。
主任技術者の仕事内容
主任技術者の仕事内容は、工事現場における技術上の管理です。
設計図通りに正しく施工され、手抜き工事や施工不良を起こさず、品質を維持した建物が完成するよう管理することが求められます。
そのために、まず施工計画を作成します。
必要な品質を得るために、どのような順序で、それぞれの工程にどのくらいの期間をかけて工事を行うのか、どのような技術を持つ人員が必要かなどを計画することが必要です。
日数的に無理のある工事や、必要な技術を持つ人員が配置されない工事では、品質維持が難しくなるためです。
そのうえで、実際に計画に沿って工事が進捗しているか工程管理を行うことが求められます。
また、内容的に問題がないか、品質管理をしなくてはなりません。
建物は完成してしまうと、内部の品質の確認が難しくなります。
施工中の管理が重要になるため、品質管理は重要な仕事です。
そのほか、建設工事の実施に従事するスタッフについて、技術上の指導や監督も担うのが主な仕事内容です。
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主任技術者に必要な要件
主任技術者は、単に工事ができる知識や技術だけでなく、その工事が品質を保ち、建物に求められる品質を満たしているか確認できる知識や技術、ノウハウを持っていなくてはなりません。
そのため、誰でも簡単になれるわけではなく、一定の要件を満たすことが必要になります。
主任技術者の必要要件としては、学歴に基づく要件または資格に基づく要件のいずれかを満たすことが必要です。
学歴に基づく要件
学歴に基づく要件は、一定の学歴と、卒業して建設業に従事してからの実務経験で構成されます。
指定学科の高卒は5年以上、指定学科の大卒は3年以上の実務経験が必要です。
指定学科とは建築学科や土木学科など、建設関連の学科のことを指しており、具体的には建設業法施行規則第1条に定められています。
高卒や大卒でも、指定学科以外などのケースでは、10年以上の実務経験が必要です。
資格に基づく要件
資格に基づく要件は、一定の国家資格を取得した場合を指します。
主任技術者になるには一級もしくは二級の国家資格が必要です。
一級国家資格として、一級施工管理技士、一級建築士、技術士の資格が求められます。
二級国家資格としては、二級施工管理技士か二級建築士などの資格が必要です。
国家資格を取得するためには、資格ごとに関連学科の学歴や実務経験などが求められることがあります。
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まとめ
主任技術者とは建設物の品質を維持するために、建築業法において建設工事現場に設置が義務付けられる技術上の管理者です。
主任技術者は元請工事における下請合計金額が4,000万円未満、建築一式工事の場合は6,000万円未満のケースで設置が義務付けられます。
中でも公共性のある施設や工作物をはじめ、多数の人が利用する施設で、請負金額が3,500万円以上、建築一式の場合は7,000万円以上の工事現場では、複数の現場を掛け持ちすることは認められず、専任の主任技術者を設置しなくてはなりません。
主任技術者の仕事内容は施工計画の作成、工程管理、品質管理、技術指導などです。
主任技術者になるには、学歴に基づく要件または資格に基づく要件を満たさなくてはなりません。
建設関連の指定学科の高卒は実務経験5年以上、指定学科の大卒は実務経験3年以上、指定学科以外などの学歴の場合は実務経験10年以上が必要です。
資格に基づく要件としては、施工管理技士、建築士、技術士など、建設関連の一級または二級の国家資格が求められます。
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