経営存続や売上向上には高い戦略性が必要不可欠です。常に生まれ続ける競合他社に目を光らせつつ、一方で社内の従業員にも目を向けなければ成長の二文字はあり得ません。
解決策として様々な戦略性向上施策やITツールの導入が謳われていますが、その根幹となるのが今回ご紹介する「データ管理」です。
目次
データ管理とは?
データ管理とは、企業活動で生まれた情報=データを適切に保管し、必要に応じて活用することを指します。データ管理を理解するうえで重要なのは、上記の定義を踏まえて
- 「どのようなデータを保管すべきなのか」
- 「適切な保管とはどういう状態なのか」
- 「活用する、とは具体的に何をすればいいのか」
この3点を明らかにすることです。1つずつ見ていきましょう。
どのようなデータを保管すべきなのか
どのようなデータを保管すべきかはどのように活用するかによって変わります。
現時点でどのような活用をするか分からなかったり、将来的に今とは異なる活用をする可能性があるので、できる限り多くの情報を保管しておくことが大切です。
例えば「顧客データ」であれば、お客様の氏名や住所、連絡先はもちろんのこと問合せの回数や内容、これまで購入した商品の金額や数、性別や家族構成が当てはまります。
「このお客様ってどんな人?」と尋ねられたときに如何に正確に伝えられるかという基準でも構いません。
「商談データ」であれば、主に営業マンが知っているお客様情報です。どの営業マンが何度やり取りをして、いつアポを取って、どのような課題を抱えていて、どういう方法で接点を持ったのか等です。
成約またはキャンセルになったら廃棄してしまいがちな情報ですが、実は非常に高い価値があります。
その他、社員の人事情報や業績に関する会計データなど様々なデータが保管対象となり得ます。
適切な保管とはどういう状態なのか
適切な保管とは、「欲しいデータがすぐに見つけられる状態」です。
同じ情報でもどれが最新のものか分からなかったり、関連する情報が分散して保管されていたりすると、いざ活用すべき時に見つけられないということになりかねません。
データの保管場所が明確で全員が同じ場所に保存できること、関連する情報同士が紐づいていること、最新情報から過去情報まで整理されていることが重要です。
活用するとは具体的に何をすればいいのか
活用とは、「PDCAを回すこと」にあります。データを通じて現状を正しく把握し、打破・改善する戦略立案を行うのがポイントです。
現状把握にデータを利用できていないと、誤った認識をしていたり問題そのものに気が付けず放置してしまうことも起こり得ます。
また、データが活用できないと現状把握が主観的・肌感覚になりがちです。例えば売り上げ状況が芳しくない場合でも、「営業マンは頑張っているように見えるのに」「契約自体は取れているはずだ」と問題発見に至らず後から大ごとになる可能性も考えられます。
情報共有、PDCAに関する記事はこちら
データ管理の必要性とメリット
データ管理の定義を明らかにしたところで、改めて「何故データ管理が必要なのか」を考えてみましょう。
データ管理は情報を大量に所有する大企業に必要な概念だという考え方は大きな勘違いです。様々な規模の競合他社と戦う中小企業にこそ重要な概念です。
なぜデータ管理が必要なのか
一言で言えば、あらゆる判断を「思いつき」から脱却させるためです。データに基づいた根拠を持って現状把握や戦略立案ができれば、仮に戦略がうまく行かなかった場合でも「どの読みが誤っていたのか」の理由を分析することができます。
更に、保管するデータが明らかになっていることで各業務のKPI(設定目標)を全社員に共有しやすくなります。
例えば営業活動に関するデータの場合、契約数や金額だけでなくそこに至る商談数やアポイント取得数も記録・保管されることになり、それが社内周知されていれば社員自身のデータや目標に関する意識を高めることも可能です。
企業規模に限った話ではありませんが、1つの失敗やトラブルが経営を大きく左右しうる小規模企業だからこそ、「思いつき判断」を脱却するデータ管理が必須です。
職種に特化した専用管理システムでデータ管理をする方法
データ管理で正確な現状把握が出来る、と言われても少しピンと来ないかもしれません。そこで、実際のデータ管理事例をご覧いただきながら効果をご紹介します。
専用管理システムとは、営業活動や顧客サポートなど様々な職種で扱うデータを管理できる専用システムです。各システムを紹介しながら、実際の事例を見てみましょう。
事例①SFA(営業支援システム)を活用したデータ管理
SFA(Sales Force Automation)は営業活動を効率化するためのITシステムです。
商談先ごとに進捗状況を整理したり、やり取りの記録を記録します。かつて個人単位での情報把握が基本だった営業活動を、チームでの管理運営にシフトできるのが特徴です。
SFAが保存されるデータ項目の一例
SFAは営業活動に関する情報を管理分析するためのツールなので、営業マンの活動にまつわるあらゆる情報を管理することができます。
- 顧客企業の基本情報(社名・住所・連絡先・業種・沿革など)
- 顧客担当者の基本情報(担当者名・連絡先・役職や権限など)
- 顧客担当者以外の関係者情報(人物名・役職や権限・担当者との関わりなど)
- キーマン情報(キーマン名・担当者との関係性・コンタクト手段など)
- 顧客企業の決裁フロー
- 顧客企業との過去の取引状況(契約回数や購入頻度、金額など)
- 商談の進捗状況(アポイント取得情報、訪問状況、検討状況など)
- KPI状況(アポイント取得件数、訪問件数、契約件数など)
- 営業担当者ごとのノルマ達成率(売上や粗利状況など)
上記項目例の他にも企業によって様々な情報を保存・共有しています。
ただしSFAのデータ項目を入力するのは営業担当者なので、入力作業によって本業(営業活動)の時間が圧迫されないよう注意する必要があります。
次は、SFAを活用した営業活動のデータ管理事例で実際の活かし方を見てみましょう。
【事例】SFAを活用したデータ管理
20名以上の営業マンを抱えるA商社では、営業マンの成果は売上額で判断され売上目標も経営陣から下りてくる年間契約を分解して設定しています。
ところが売上数値のみで判断しているために、目標を達成できない営業マンは原因分析が出来ずにずっとできないままどころか、目標達成が容易な営業マンのノウハウも不透明なので優秀者が退職してしまうと会社にとって大きな痛手になるというリスクを抱えていました。
そこで、営業活動のデータ管理を実施しました。
営業活動で管理すべきデータ項目と言われる上記例を参考に情報収集を指示したところ、営業マンはそもそもデータにあるような行動を意識しておらず、担当者によって商談手順も異なる暗中模索状態だったのです。現場の営業マンたちはこの状況を理解していましたが、現場に出ない管理者サイドにとって驚愕の事実でした。
改善策として営業マンの活動を標準化するための基準を設けることとし、BANTCのような顧客認識状態の把握や進捗毎にクリアすべきステップなどを可視化することで、「何故失注したのか」「何故契約できたのか」を全社的に把握し営業成績の平均値を大きく上げることに成功します。
この事例のポイントは、「現場が肌感覚で理解していることを管理者サイドが初めて気付く」ことです。この経験ができたのは、まさにデータという客観的情報のおかげです。
事例②CRM(顧客管理システム)を活用したデータ管理
CRM(Customer Relationship Management)は顧客関係管理と訳され、顧客満足度の向上や売上拡大のための戦略手法です。このCRMの考え方を反映させたITツールは顧客管理システムと呼ばれます。
CRMが取り扱う「顧客」は、主に一度自社サービスを利用してくれた既存ユーザーです。
自社のサービスを通じてお客様に十分な満足を得てもらうためには、企業としてお客様個人を知らなければなりません。お客様1人1人を知ることでその人に合ったフォローを行い、関係をより深めていく事をCRMは目指しています。
CRMが保存されるデータ項目の一例
SFAにも顧客に関するデータは含まれましたが、CRMはユーザー理解のためにより深い情報まで管理します。項目例は以下の通りです。
- 顧客企業の基本情報(社名・住所・連絡先・業種・沿革など)
- 顧客担当者の基本情報(担当者名・連絡先・役職や権限など)
- 顧客担当者以外の関係者情報(人物名・役職や権限・担当者との関わりなど)
- 購買データ(顧客が購入した商品種類や個数・金額など)
- アンケートへの回答状況、回答内容
- 配信メールの開封状況
- 自社イベントへの参加状況
CRMはお客様1人1人の理解と満足度向上を目的とするため、取引先を組織単位ではなく個人単位で管理することがあります。同じ会社に勤めている方でも1人1人考え方や趣向は異なるので、その人にあったアプローチで関係構築を図ります。
【事例】CRMを活用したデータ管理
B商社では新規契約数に心配は無かったものの、一度取引してから再度問合せをいただく「リピート」が少ないことに悩んでいました。リピートが少ないと売上確保のための要素は新規獲得だけになってしまい、営業マンは常に新規ルートを探して疲弊し、安定した経営とは言えない状況が続いてしまいます。
そこで、CRMに蓄積されたデータをもとに「お客様がご契約くださる商品規模」に何か条件が無いかを調査してみました。
データ集計してみると、1度目の契約からリピートしていただけた場合の期間や、リピートしていただけるお客様が1度目に注目くださる商品の種類や個数に傾向がある事が分かってきたのです。
結果、1度目の契約時の状況(商品種類や個数)ごとにターゲティングし、一定期間後にサポートチームから連絡することで2度目の商談を生み出すことに成功、見事営業チームへの橋渡しを通じて売上の積み増しに成功します。
この事例のように、データを蓄積していれば「契約」という成功事例を分析して仮説立てることができます。適切に保管されたデータはまさに企業の宝なのです。
事例③業種に特化した一元管理システムでデータ管理をする
SFAやCRMは各部門の情報を管理するのに非常に適したツールですが、「部門ごとに情報が分断される」というリスクを抱えています。そこで、SFAが担う営業部門、CRMが担う顧客サポート部門、その他入金支払など経理チームが担う経理部門などをまとめて1つのシステムで管理できるのが「一元管理システム」です。
一元管理システムは情報を横断的に管理できるうえ、システム運用の効率化を図るために各業種に特化しているケースがあります。自社業種にマッチするシステムを見つけられるなら、まずは一元管理システムの導入検討をしたほうがいいかもしれません。
【事例】住宅業界向け一元管理システムを活用したデータ管理
住宅業界の中でもリフォームを行う事業者がとくに気にするべき数値は売上ではなく「粗利」です。せっかく高額な受注をしても工事が進行するにつれて原価が膨れ上がり、残る利益がごくわずかになるという現象も起こり得ます。
問題は、その現象を経営者が把握していないケースがあることです。
住宅業界向け一元管理システム「アイピア」は営業時に提出した見積から実行予算、完工時など様々な段階の粗利データを管理することで、どの案件がどんな原因で粗利低下を引き起こしたのか一目で分かるようになっています。
適切な原価管理を行えば、売上は上がっていないのに粗利益が向上しているというケースも珍しくありません。
事例④自社情報を活用できるBIツールでデータ管理をする
BIツール(ビジネス・インテリジェンスツール)は蓄積されたデータを集計・分析し、レポート作成ができるツールです。レポート作成のほか、複数のデータを多角的に検証するOLAP分析、データから法則を見出すデータマイニング、予測を行うシミュレーションなど様々な機能が搭載されています。
近年、経営状況の把握や売上シミュレーションに活用するためにBIツールを導入する企業が増加していますが、BIツールを利用する目的が明確でなければ適切な分析ができません。
現時点でどのようなデータを保管するかから検討を始める場合には、いきなりBIツールに手を出さずにまずはSFAやCRM、一元管理システムから考えることをおすすめします。
リフォーム業のデータ管理なら『建築業向け管理システム アイピア』
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
SFAやCRMを通じてデータを蓄積できる環境を作ろう
今回はデータ管理の目的やメリット、方法について紹介しました。データを適切に保管・活用することはあらゆる企業に求められることですが、Excelなど独自の方法ではどうしても限界があります。SFAやCRMを業務に取り入れることで自然とデータが集まる環境を作っていけば、分析を行うに十分なデータを収集することができます。
まずはシステムを導入して、自社のデータが活用できる環境を作るところから始めましょう。
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