積極的に建設業で賃上げを実施!賃上げの背景と方法とは?

積極的に建設業で賃上げを実施!賃上げの背景と方法とは?

建設業において多くの企業で積極的に賃上げが実施されているのをご存知でしょうか。
その背景には、公共事業入札時の加点や節税対策など、さまざまな要因があります。
本記事では、建設業の賃上げの背景や賃上げをするにあたって、経営不振に追い込まれることなく黒字経営につなげる方法まで詳しく解説していきます。

近年の建設業における賃上げの背景

賃上げの背景
建設業における賃上げの背景には、公共工事入札時の加点や賃上げ促進税制など、さまざまな要因があることが考えられます。
今後も建築業の賃上げは進むと予想されており、大手ゼネコンのみならず中小企業においても賃上げを実施するケースも多くなることは間違いありません。

公共工事入札時の加点

建設業では、公共工事入札時に賃上げをした企業に加点を実施されることが決定しました。
2022年4月から開始されており、「賃上げのための政府調達手法の見当」として政府調達の対象企業の賃上げ促進に向け改革が進められています。
賃上げ目標は、中小企業で1.5%、大手企業で3%です。

しかし、近年の賃上げ率は、まだまだ目標数字に届いていません。
今後も、より多くの建設業が賃上げを達成させる節税面が優遇される「賃上げ促進税制」という制度も発表されています。
公共工事の入札に参加している企業の場合、賃上げ基準に達していないと減点されるなどペナルティが課されます。
また、入札総合評価落札方式における賃上げによる加点は3点となっており、全体(40点)に対して7.5%と大きな割合を占めます。

さらに、入札に参加していない企業の場合においても、賃上げを期待できないことから人材が他社に流れることも予想されるため、なんらかの対策をすることが求められるでしょう。
黒字経営を目指す企業にとって公共工事入札時の加点は積極的に取り入れたい制度です。
加点されることにより、請け負える工事の規模が大きくなるのはもちろん、顧客からの評価を上げることもできます。

国土交通省HP『総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置について』

賃上げ促進税制

賃上げ促進税制によって賃上げを実施した企業には、積極的に税制優遇が行われています。
企業が賃上げを行う時に税制優遇措置を利用して節税可能です。
中小企業にもメリットがある所得拡大促進税制となっており、雇用者の給与額が前年度と比べて1.5%以上増加している場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税または所得税から控除されます。

また、上乗せ要件として雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加しているなどの条件を満たすことで、より節税することが可能です。
賃上げ促進税制では、中小企業の控除率が最大40%と大幅な控除が認められます。
法人税控除や人材育成に活用できるのもメリットと言えるでしょう。

経済産業庁『中小企業向け賃上げ促進税制 ご利用ガイドブック』

公共工事入札に参加しない企業も賃上げをする意義

建設業が賃上げをすることで得られるメリットは数多くあります。
人材の流出を防止することや新規雇用を確保できるなど、賃上げすることで経営対策にもなるため、公共工事入札に参加しない企業も積極的に賃上げを検討する必要があるでしょう。

人材の流出の防止

公共工事入札に参加している企業で賃上げが実施されれば、他社へ従業員が転職してしまう可能性もあります。
同じ仕事をしているのにもかかわらず給与に差があり、今後も賃上げを期待できないとなると、従業員がより条件の良い企業へ転職してしまうのを経営者であっても止めることはできません。
優秀な従業員の流出を回避するためには、積極的に従業員の賃上げを検討していかなければなりません。

建設業が賃上げをすれば人材の流出を止めることができ、その結果企業に大きな利益をもたらしてくれます。
また、優秀な従業員を多く確保できるため、顧客からの評価が上がるだけでなく請け負える業務の幅も広がるでしょう。

新規雇用確保

建設業が積極的に賃上げをすることによって新規雇用を確保し、優秀な人材を集められます。
若手の人材を多く確保できるだけでなく、経験や実績を積んだベテランの人材を確保できるのもメリットです。

同じ建設業でも給与の差があると優秀な人材を集めることはできません。
高い技術力や専門的な知識を持った優秀な従業員を集めるには、適切な賃金を支払う必要があります。
優秀な人材をできるだけ多く獲得したいのであれば、積極的に賃上げを実施していくことが求められるでしょう。

補助金や助成金での優遇

政府としても賃上げに力を入れており、賃上げが要項になっている補助金や賃上げ額と対象人数が多いほど助成額が多くなる助成金などもあり、優遇されています。
例えば、IT導入補助金のB類型(補助率は1/2以内で、補助金額は150万円以上450万円以下)では年率平均1.5%以上の給与支給総額の増加と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金に対して30円以上引き上げるという賃金引き上げ計画を策定し、これを従業員に明示しない限り、申請が認められません。

地域別最低賃金を一つの基準として賃上げをするとよいでしょう。

建設業による賃上げの方法

建設業の賃上げの方法はさまざまあります。
ただ、やみくもに賃上げを実施しても経営者側が利益を大きく得ることはできません。
ここからは、建築業が賃上げをする時にどのような点に注意して実施するべきなのか、4つの例を挙げて解説していきます。

受注金額を見直す

従業員の賃上げを実施して給与を上げたとしても利益が増えていなければ、会社の存続は難しくなります。
赤字に追い込まれることなく利益をしっかりと獲得するために、まずは受注金額を見直すことが大切です。
経営者だけでなく従業員も社内理解を深め、経営の状況をわかりやすく数字で表し、従業員全員で資金管理や現状を把握するようにしましょう。

発注価格の再精査

現在、資材価格の高騰に悩まされている建設業の経営者も少なくありません。
ウッドショックや原油の高騰のほかにも新型コロナウイルスの影響により、木材や同罪の価格が高騰しています。

また、物価高の影響は、建築業に大きな負担を与えており、赤字につながりかねません。
賃上げを実施しながら赤字を脱却するには、資材の発注価格を再精査することも重要です。
発注前には、適正な価格で資材を発注できているのかしっかりと注視するようにしましょう。

ただし発注価格を見直す際に資材価格を大幅に下げることはおすすめできません。
品質を下げることによって工事の欠陥につながるおそれもあります。
欠陥工事や品質の低下は、顧客からの信用も失うため、慎重に資材の発注価格を見極めることが大切です。

不要なコストの削減

賃上げを行う際には、不要なコストを見直したうえで適正に改善することも重要です。
たとえば、コピー用紙やインク代のほかにも水道代や電気代といった経費の見直しを行うことも対策の一つです。

また、従業員の残業や休日出勤など働き方を改革して不要なコストを削減していきましょう。
従業員の働き方を見直すことで、従業員の身体の負担を軽減できるだけでなく、人件費の負担も減らせます。

さらに、建設業では、資材や原油などの原価を把握して無駄がないかを確認することも大切です。品質を落とすことはおすすめできませんが、原価を下げて利益を上げられるようコストの見直しをすることで、無理のない賃上げにつなげられます。

業務効率化を目指す

クラウドツールなどを取り入れて業務の効率化を目指すことも無理のない賃上げを実施したい企業に効果的です。
現在、建設業向けのクラウドツールが豊富に用意されています。
パソコンやスマホを使える環境であれば簡単に導入することが可能です。

建設業向けのクラウドツールは、資金管理や施工管理など建設業で必要な業務を効率良く行えるため、業務の無駄を省くことができます。
業務の効率化が実現することで従業員の業務の無駄を省き、残業や休日出勤をなくせます。
従業員の労働環境を整えながら業務の負担を軽減でき、さらに人件費を抑えられるなどクラウドツールを導入するメリットは数多くあるでしょう。

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まとめ

建設業の賃上げの実施は、大手をはじめ中小企業でも実施されています。
賃上げを行うことによって優秀な人材を確保できるだけでなく、従業員のモチベーションをアップすることにもつながります。
また、節税制度を利用できるなど、企業側もメリットを実感することができるでしょう。
利益を上げて黒字経営を目指したい方は、まずは無駄なコストを見直し業務の効率化を図るなど、適切な対策をしながら賃上げを検討してみてはいかがでしょうか。

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