マーケティング用語としては主流な「カスタマージャーニー」という言葉をご存知でしょうか?
カスタマージャーニーは、顧客を分析して、「行動」や「感情」などの動きがどのように変わっていくのかを把握することで、最適なマーケティングを実施できる基本フレームワークです。
BtoB企業のマーケティング部門などにとっては当たり前すぎる常識ですが、専属マーケターが居ることが少ないリフォーム会社ではまだまだ知らない人が多い単語です。
今回は、リフォーム会社が「カスタマージャーニー」を把握して、マーケティングを行うことができるように、基本知識を紹介します。
目次
そもそもカスタマージャーニーとは?
カスタマーは「顧客」、ジャーニーは「旅、工程、道のり」などを意味する言葉です。
つまり、カスタマージャーニーとは顧客が自社のサービスを購入するにいたるプロセスのことを指します。
チラシ、ホームページ、ブログ、イベントなど、様々な集客コンテンツを行う施策では、すぐに「お問合せ」に発展するとは限りません。
こういったコンテンツを閲覧した多くの人々が、何事もなかったかのように日常に戻ります。
だからと言って「商談客」以外を放置するのは好ましくありません。
カスタマージャーニーは、顧客がどんな「興味・関心」を持っているかを時系列で整理しながら、興味・関心の度合いによって顧客が「どんなコンテンツを見ているのか」を明確にします。
カスタマージャーニーの目的とは
カスタマージャーニーを用いることで、顧客の興味・関心が「買いたい」に到着するまでに、どんなコンテンツを発信していけばいいか?という視点を持つことができます。
現在自社で行っているチラシやイベントなどの集客コンテンツは、
「リフォームに全く興味・関心を持っていない段階」から「今すぐリフォームがしたい」にすぐ移動させるコンテンツになっているでしょうか。
むしろ、「リフォームに全く興味・関心を持っていない段階」から「少し興味を持つ段階」にほんの少しステップアップさせるコンテンツかもしれません。
どんな顧客でもすぐリフォームがしたくなるチラシやイベントを作るのではなく、様々なコンテンツを活用して、自社と接点を持った人々が時間はかかっても最終的には全員契約してもらえるようプランを立てていくのがカスタマージャーニーです。
カスタマージャーニーの作り方
カスタマージャーニーを作るのに、マーケティングオートメーションや専用のツールは必要ありません。基本的に必要なのは「発想力」と「情報収集力」です。
まずは基本的なカスタマージャーニーを作ってみましょう。
以下の表を埋めるイメージで練習すると良いです。
作り方①まずはペルソナを明らかにしよう
まずは、「ペルソナ」を明らかにします。
ペルソナとは自社サービスを購入する顧客の「人物像」で、「この商品・サービスを購入する人はこんな人」を定めたものを指します。
「築30年以上の家に住んでいる人」では不十分です。
ペルソナを作るときのポイントは、いかに具体的に作るかです。
その人が実際に居て、どんな生活をしているかすら想像できるほどに具体的にしましょう。
基本的な5W1Hはもちろんのこと、性格・年収・家族構成・趣味など、1つのキャラクターを作り上げるイメージです。
作り方②ゴールを明らかにしよう
ペルソナが明確になったら、これから作るカスタマージャーニーのゴールを設定します。
顧客にたどり着いた欲しいのは「リフォームの契約」なのか、「お問合せ」なのか、あるいは「リピートでの契約」なのか・・・
ゴールをどう設定するかで、必要なコンテンツや対応は変わってくるはずです。
作り方③とりあえず作ってみる
ペルソナとゴールが明らかになったら、先ほど紹介した表をとりあえず埋めてみましょう。
とりあえず埋めたうえで、他の社員などの意見を通じてブラッシュアップしていきます。
顧客(ペルソナ)
ペルソナを書き込んでください。
思考/感情
ペルソナが、そのタイミングで何を考えているのか
行動
ペルソナが、思考/感情の結果どんなアクションを起こすのか
インサイト
自社が提供するコンテンツ。
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カスタマージャーニーを作るときの注意点
カスタマージャーニーに限らず、マーケティング施策はトライ&エラーの繰り返しです。
作成した1発目で完璧なものができるわけはないので、ブラッシュアップ前提に作成しましょう。
そのため、作成に時間を掛けすぎたり、作っただけでバージョンアップしない状態では
せっかくのカスタマージャーニーも効果がありません。
また、担当者の「都合のいい妄想」になってしまうのもよくあることです。
作成したら、できるだけ他のスタッフに見てもらったり、顧客心理がマッチしているかを実際の顧客事情と照らし合わせて改善しましょう。
カスタマージャーニーの具体的な事例
カスタマージャーニーなどのマーケティングノウハウについてはマーケティングオートメーション(通称「MA」)を販売している企業が特に精通しています。
今回はその中でも有名はMarketo(マルケト)社が紹介しているものから一部抜粋してご紹介します。
この事例は、高級輸入自動車の販売でのカスタマージャーニーです。
まず、このカスタマージャーニーは購入輸入自動車を買うであろう顧客の中でも
- 「今は、中の上クラス以上の国産車に乗っているドライバー」
- 「自動車にはスポーティさを何よりも求めるが、同時にシックさも求めている」
- 「年収1000万円以上で、社会的ステータスも高い」
という顧客をターゲットに絞って作成されています。
- 「そろそろ自動車を買い替えたいなぁ」と思いながら色々なメーカーのホームページを見る
- たまたま目に入ったスポーティな自動車を、「この車も選択肢に入りそうだなぁ」と思う
- 選択肢のひとつになった自動車について、もう少し詳しく知るために色々調べてみる
- 調べた結果、「この自動車がいいなぁ」と思い始める
- その自動車オーナーの声や試乗会への案内を通じて「この自動車がある人生が良い!」と確信する
- 「絶対欲しい!」と思っているところに営業マンからのプッシュがあり、購入を決心する
このように、様々なコンテンツを通じて、顧客の心理が1~6に向かうようにアシストをしています。
コンテンツの内容も、顧客の心理的プロセスの段階ごとに「必要な情報」を用意していますね。
これは、カスタマージャーニーが整理されているから出来ることです。
ただ網羅的に、あるいは「すぐに買ってほしい」だけを考えて作成されたコンテンツでは、「興味がある人は買う」「興味がない人は無視する」という二極化しか出来ず、たくさんの顧客から継続的にご購入いただくことは難しくなってしまいます。
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まとめ
リフォームなどの建築業界は、営業マンや現場担当を経て起業するケースが多い故か、マーケティング専任の担当者が居なかったり、知識に疎いことがよくあります。
その結果、「マーケティングってなんだか難しくてややこしいもの」という印象を抱く方も多いようです。
カスタマージャーニーは、結局のところ「顧客をイメージする」作業です。マーケティング知識が無ければ出来ないものではありません。
そもそもブラッシュアップ前提なので、違えば修正すればいいだけなんです。
まずは、「とりあえず作る」ことから初めてみましょう。
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