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残業が生産性に与える影響とは? 労働生産性を上げるためにすべきこと

残業が生産性に与える影響とは? 労働生産性を上げるためにすべきこと

近年、「ブラック企業」や「社畜」という言葉が広く使われるようになりました。
これらの言葉に必ずといっていいほどつきまわるのが「残業」です。

残業と生産性にはどのようなつながりがあるのでしょうか。
この記事では、残業と生産性の関係、労働生産性を上げる方法についてご紹介します。

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目次

残業の現状

はじめに、日本や世界における残業の現状をみていきましょう。
現在の日本の労働者の残業はどれほどなのでしょうか。

日本の残業は本当に多いのか

厚生労働省の統計によると、日本の業種別平均残業時間は以下のようになっています。

2026年3月分(最新)所定外労働時間業種別
毎月勤労統計調査 2026(令和8)年3月分結果確報|厚生労働省

上のグラフは、2026年3月の月間の所定外労働(残業)の時間を、各業種に分けて統計したものです。
すべての業種を平均すると、1か月あたり約10.1時間の残業が行われているということになります。

海外の労働時間と生産性

では、外国のデータについても見ていきましょう。
OECD各国の労働時間一人あたりGDPを比較していきます。

※出典元でデータが確認できなかった国は表示していません。

OECD各国のGDPと労働時間(2024年)
出典:OECD Data 「Real Gross Domestic Product (GDP)」「Hours worked」

※GDPが0の国は、OECD Data 「Real Gross Domestic Product (GDP)」において2024年のGDP結果が確認できませんでした。

なんと労働時間の長い国1位は、ペルーです。
次いでメキシコ、コスタリカ、クロアチア、チリ、ギリシャ、イスラエル、韓国、キプロス、ルーマニアがベスト10です。
日本は、統計を取った42か国のうち28位と、そこまで長くはないようです。

では、G7のみのデータはどうなっているのでしょうか。

G7各国のGDPと労働時間(2024年)
出典:OECD Data 「Real Gross Domestic Product (GDP)」「Hours worked」

G7各国のデータを見ると、日本の年間労働時間は約1,617時間で、G7の中では第4位に位置しています。
一方で、イタリアやカナダ、アメリカは日本よりも労働時間が長い結果となりました。

また、このデータからは「労働時間の長さ」と「経済的な生産性」が必ずしも比例しないことも読み取れます。
例えば、日本の労働時間はG7内で極端に短いわけではありませんが、一人あたりGDPはG7の中で最も低い水準となっています。

反対に、ドイツはG7の中で最も労働時間が短い一方で、一人あたりGDPは高い水準を維持しています。
こうした結果から、単純に労働時間を増やすだけでは、生産性向上には直結しないことが分かります。

重要なのは「どれだけ長く働くか」ではなく、「限られた時間でどれだけ高い成果を出せるか」であると言えるでしょう。

労働生産性の比較

労働生産性は、「労働者一人あたり、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもの」です。

以下の図は、OECD加盟国の労働時間と労働生産性(1人あたりGDP÷労働時間で算出)の関係を示した散布図です。

OECD各国の労働時間と労働生産性の関係(2024年)
出典:OECD Data 「Gross domestic product(GDP)」「Hours worked」

以上の散布図からは、労働時間が長い国ほど労働生産性が低水準にあることがわかります。

また、公益財団法人日本生産性本部によると、2024年の日本の一人あたり労働生産性は、98,344ドル(約935万円)で、OECD加盟38カ国中29位です。
西欧諸国において労働生産性が比較的低いイギリス(101,405ドル)やスペイン(97,737ドル)と比較しても2割近く低くなっています。

日本における「サービス残業」の現状

「サービス残業」とは、適切な賃金が支払われない時間外労働(残業)のことを指します。

日本労働組合総連合会の調査によると、「賃金不払い残業(サービス残業)をすることがある」に「はい」と回答した人は、全体の28.4%でした。

また、「賃金不払い残業(サービス残業)をせざるを得ない時間は1か月で平均的にどの程度ある?」という質問には、平均16.9 時間となりました。
厚生労働省の統計による所定外労働時間が平均10.1時間であることを考えると、かなりサービス残業が長いと言えるでしょう。

厚生労働省の発表した残業の時間や、国別の労働時間の統計の中には、この時間は表れません。
サービス残業を含めたら、日本の労働時間はさらに長くなり、労働生産性はさらに低くなる可能性があります。

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残業の原因と生産性への影響

建築業界では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されたことで、「長時間労働を前提とした働き方」の見直しが急速に進んでいます。

しかし現在でも、現場管理や書類作成、工程調整などの負担が大きく、多くの企業で残業が課題となっています。
では、残業は企業や従業員の生産性にどのような影響を与えるのでしょうか。

残業の原因

そもそも、なぜ残業をしてしまうのか、理由をいくつかみていきましょう。

  • 繁忙期による業務集中
    年度末や大型案件の重複などにより、特定の時期に業務量が集中しやすい傾向があります。
    特に建築業界では、工期遅延を避けるために残業で対応するケースも少なくありません。
  • 慢性的な人手不足
    建設業界では高齢化や若手不足が深刻化しており、一人あたりの業務負担が増えています。
    現場監督や施工管理担当者が複数現場を兼任することもあり、長時間労働につながりやすい状況です。
  • アナログ業務が多い
    紙の日報や手書き書類、Excel管理など、アナログ業務が残っている企業では、事務作業に多くの時間がかかります。
    現場終了後に事務所へ戻って書類作成を行うことで、残業が常態化しているケースもあります。
  • 「残業が当たり前」という業界風土
    建築業界では長年、「現場仕事は残業して当然」という考え方が根強く残っていました。
    しかし現在は、法改正や人材不足の影響もあり、従来の働き方を見直す必要性が高まっています。

以上のような理由が挙げられます。
では、どのように労働生産性を上げ改善していけばよいのか、後ほど確認しましょう。

従業員への影響

残業が増えると、従業員の働き方や健康面にも大きな影響を及ぼします。

業務効率の低下

「残業すれば終わる」という考え方が定着すると、限られた時間で効率よく終わらせる意識が薄れやすくなります。
その結果、業務スピードや判断力が低下し、生産性悪化につながる可能性があります。

モチベーションの低下

慢性的な残業が続くと、

  • 「今日も帰りが遅い」
  • 「休む時間が取れない」

といった精神的負担が蓄積し、仕事への意欲低下につながります。
近年では、ワークライフバランスを重視する求職者も増えており、労働環境の悪化は人材確保にも影響します。

健康リスクの増加

長時間労働により睡眠不足や疲労が蓄積すると、体調不良やメンタル不調の原因になります。
建築現場では安全管理も重要なため、集中力低下による事故リスク増加にも注意が必要です。

企業への影響

さらに、残業が多い企業には、以下のような問題が起こります。

人件費の増加

残業が増えると、当然ながら残業代も増加します。
例えば、従業員30名が毎日1時間残業した場合、残業代や関連コストは大きな負担になります。

仮に、

  • 残業代:1人2,000円/日
  • その他コスト(光熱費・設備費等):200円/日

とすると、

(2,000円 × 30人 + 200円)× 20日= 約120万円/月

ものコスト増加につながります。
さらに現在は、電気代や人件費の上昇も続いており、以前より残業コストの負担は大きくなっています。

生産性の低下

疲労が蓄積した状態では集中力が低下し、ミスや手戻りも発生しやすくなります。
結果として、

  • 作業品質の低下
  • 工期遅延
  • クレーム増加

などにつながり、企業全体の生産性を下げる要因になります。

人材流出・採用難

近年は「働きやすさ」を重視して転職先を選ぶ人が増えています。

残業が多い企業は、

  • 若手人材が定着しない
  • 求人応募が集まりにくい
  • 採用コストが増加する

といった問題にも直結します。

残業を減らす・労働生産性を上げるには

では、残業を減らし、生産性の向上に繋がる労働とはどのようなものでしょうか。
残業の原因である「残業が当たり前である」という風潮や、多すぎるタスクを改善するために、具体的にできることをみていきましょう。

業務目的・業務目標を明確化する

業務の目的と目標を明確にしましょう。
社内で適切に共有し、それぞれが常に意識しておくことが重要です。

目的・目標を意識できていれば、自分の現在地が理解できたり、業務の重要度を判断できたりするようになります。

業務の優先順位を決める

複数のタスクに対し優先順位が決まっていれば、従業員は優先度の高いものから効率的にタスクをこなしていくことができます。
また、今日中に終わらせなくて良いと分かっている仕事はわざわざ残業をしなくても、明日以降にまわすことができるでしょう。

業務の中断をしない

もし、急なタスクや打ち合わせで業務を中断されてしまうと、業務に戻った時に「今どこまでやったか」「次は何をするのか」を思い出してから作業をするため、時間がかかってしまいます。
なるべくマルチタスクを避け、業務の役割分担をしっかりとすることで、業務に専念することが出来ます。

人事評価制度を見直す

人事評価制度を見直し、生産性の高さを評価する仕組みをつくることも重要です。
例えば、所定の労働時間内に仕事を終わらせ、残業時間が少ない従業員にはインセンティブを与えるといった方法があります。

生産性の高さと報酬が結びつくことで、生産性を高めることへのモチベーションが上がるでしょう。
終業と始業の間に一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度ノー残業デーなどの取り組みとあわせるのもおすすめです。

タスクを詰め込みすぎない

人間の集中力には、どうしても限界があります。
作業に対する集中力は、おおよそ60~90分程度で低下するといわれています。

適度に休憩時間を設けたり、自分のしたいことをする時間を作ることも必要です。
そうすることで、業務にメリハリがつき、集中力も上がります。

職場環境を整える

業務に集中できる職場環境を整えることも重要です。
「必要なものがすぐに取り出せる」「必要なデータがどこにあるのかすぐわかる」ような環境作りをすることで、業務に対する集中力が途切れることなく作業が出来ます。

また、一人あたりの作業スペースが狭い、周囲が騒がしく集中しにくい、といった状況も避けるべきでしょう。

ITツールを導入する

ITツールを利用して、業務の効率化を図るのもおすすめです。
業務を効率化できれば、そのぶん他の業務に集中でき、遅くまで残って作業する必要もなくなります。

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建築業界の残業問題とは

建築業界では、以前から「長時間労働」が大きな課題となっています。特に現場管理や工程調整、書類作成などの業務負担が大きく、慢性的な残業が発生しやすい状況が続いてきました。

こうした課題を改善するため、働き方改革関連法による「時間外労働の上限規制」が導入され、建設業にも2024年4月から正式に適用されています。以前は5年間の猶予期間が設けられていましたが、現在は他業種と同様に法規制の対象です。

労働基準法と時間外労働の上限規制

労働基準法では、労働時間を原則として「1日8時間・週40時間以内」と定めています。

この法定労働時間を超えて従業員に残業や休日出勤をさせる場合は、「36(サブロク)協定」の締結・届出が必要です。
また、建設業でも現在は以下の時間外労働の上限規制が適用されています。

  • 原則:月45時間・年360時間まで
  • 特別条項付き36協定を締結した場合でも
    • 年720時間以内
    • 時間外・休日労働の合計が月100時間未満
    • 2〜6か月平均80時間以内
    • 月45時間超の残業は年6回まで

※災害時の復旧・復興工事など、一部例外があります。

建築業界で課題となっている背景

建築業界では、現場への直行直帰や複数現場の移動が多く、勤怠管理が曖昧になりやすい傾向があります。

特に以下のようなケースでは、正確な労働時間の把握が難しくなりがちです。

  • 現場到着前後の移動時間
  • LINEや電話による業務連絡
  • 帰社後の事務処理
  • 紙の日報・手書き管理
  • タイムカードを利用しない運用

しかし、2024年以降は「記録していなかった」では済まされず、企業には適切な労務管理が求められています。

違反があった場合は、是正勧告だけでなく、罰金などの罰則が科される可能性もあります。

2026年現在、求められている対策

現在の建築業界では、単に残業を減らすだけでなく、「限られた時間で生産性を高めること」が重要視されています。

そのため、多くの企業で以下のような取り組みが進んでいます。

  • 勤怠管理システムの導入
  • 現場と事務所の情報共有クラウド化
  • 工程管理・原価管理のDX化
  • 電子黒板や施工管理アプリの活用
  • 書類作成の自動化
  • 直行直帰時のGPS打刻

今後は、「長時間労働を前提とした働き方」から脱却できるかが、建設会社の人材確保や利益確保にも大きく影響していくでしょう。

システムを導入する

勤怠管理システムや業務管理システムを導入することで、従業員の労働時間を正確に把握し、適切な勤怠管理を行いやすくなります。

特に2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたことで、従来の紙や自己申告による管理だけでは対応が難しくなってきています。

また、国土交通省をはじめ、建設業界全体でもDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が進められており、IT活用による生産性向上が重要視されています。

単に勤怠を記録するだけでなく、現場業務やバックオフィス業務を効率化し、長時間労働の削減につなげるためにも、今後はシステム導入の重要性がさらに高まっていくでしょう。

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まとめ

残業が多すぎると、従業員にも企業にも多くの悪影響があります。
労働時間が長くなったからといって、そのぶん生産性が上がるわけでもありません。

残業が多すぎるのは良くないと分かっていても、すぐに残業をなくすことはなかなか難しいとは思います。
長期的に残業時間を減らすことを目指し、少しずつ仕組みや環境を変え、生産性の向上につなげていきましょう。

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