建設現場に欠かせない専門職のひとつが「とび工」です。
高所での作業や足場の組立や解体工事などを担い、工事全体の安全性や作業効率を支える重要な役割を果たしています。そうしたとび工の技能を客観的に証明する国家資格がとび技能士です。
とび技能士は、1級・2級・3級といった等級ごとに求められる技術レベルが異なり、キャリアアップや現場での評価向上にもつながる資格として注目されています。一方で、「どのような仕事内容なのか」「受験資格や試験内容は?」「合格率はどのくらい?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、とび工(とび技能士)の仕事内容をはじめ、資格の等級の違い、受験資格、試験内容、合格率、取得するメリットまでをわかりやすく解説します。とび技能士の取得を目指している方や、建設業界でのキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
とび工(とび技能士)とは
とび工とは、建設現場で足場の組立・解体や鉄骨の組立、仮設設備の設置などを担う専門職です。
特に、地上から高さ2m以上の場所で行う作業(労働安全衛生法で定められる高所作業)を中心に作業することが多く、建設工事の安全性や作業効率を支える重要な役割を担っています。
とび技能士は、こうしたとび工の技能レベルを証明する国家資格です。
建設現場において必要とされる足場の組立や鉄骨建方などの知識・技能を客観的に証明できるため、技術力の証明やキャリアアップにつながります。
なお、とび技能士は技術レベルを証明する資格であり、現場作業に必須となる安全教育とは別のものです。
例えば、高所作業で使用するフルハーネス型墜落制止用器具特別教育などは労働安全衛生法に基づく安全教育であり、とび技能士とは目的や位置づけが異なります。
こうした資格や教育を組み合わせることで、安全かつ高度な作業が可能になります。
とび技能士に関するページはこちら
とび工(とび技能士)の仕事内容とは
とび工(とび技能士)の主な仕事は、建設現場において足場の組立・解体や鉄骨建方などの高所作業に関わる仮設工事を行うことです。
建物の施工を安全かつ効率的に進めるための作業基盤を整える、建設工事の初期段階から重要な役割を担います。
主な仕事内容の例は以下のとおりです。
- 足場の組立ておよび解体
建設現場で作業員が安全に作業できるよう、足場の組立や解体を行います。足場材の配置や組立手順を確認しながら作業を進め、工事終了後には安全に解体を行います。 - 鉄骨建方(てっこつたてかた)
ビルや大型施設などの建設では、クレーンを使用して鉄骨を吊り上げ、所定の位置に組み立てていく作業を行います。高所での作業が多く、正確な作業と高い安全意識が求められます。 - 安全管理
高所作業では事故のリスクが高いため、現場の安全確保も重要な業務の一つです。近年は墜落制止用器具(フルハーネス)の着用が原則化されており、こうした安全装備を適切に使用しながら作業を行います。 - 作業計画の立案
現場の状況に応じて足場の設置方法や作業手順を検討し、安全かつ効率的に作業できるよう計画を立てます。必要な資材や人員の配置なども考慮しながら作業を進めます。
なお、高所作業車の運転が必要な場合は、高所作業車運転技能講習などの資格を別途取得する必要があります。
とび技能士は主に仮設工事に関する技能を証明する資格であり、機械の運転資格とは役割が異なります。
これらの仕事内容は一般的なものであり、担当する現場や工事の種類によって業務内容が変わる場合もあります。
高所作業車の運転に必要な資格に関するページはこちら
足場、安全管理に関する記事はこちら
とび技能士の資格等級(試験内容と受検資格)
とび技能士には1級・2級・3級の3つの等級があり、それぞれ求められる技能レベルや試験内容が異なります。
なお、2024年度(令和6年度)から技能検定制度が見直され、受検資格となる実務経験年数が大幅に緩和されています。
具体的には、3級の受験資格は不問であり、とび職として働くための知識があれば資格取得が可能です。
2級の場合、基本受験資格は不問ですが、3級資格を保持しておらず学歴要件等
1級の場合、7年以上の実務経験、2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年以上の実務経験が必要です。ただし、学歴によって必要な実務経験年数も異なります。
3級とび技能士とは
とび技能士3級は、鳶職に関する基礎的な知識や技能を確認する入門レベルの資格です。
主に、作業の段取りや仮設構造物の組立、建設工事や解体作業に使用する材料・運搬方法など、基本的な作業知識が問われます。
三級とび技能士の試験内容とは
受験資格は特になく、誰でも受けることが可能です。
- 受験資格:特になく、誰でも受験可能です。
- 試験方式:真偽法
- 出題数:30問
- 試験時間:1時間
2級とび技能士とは
2級とび技能士は、現場で一人前の技能者として作業できるレベルの知識・技能が求められる資格です。
高所作業における基本的な知識や技術を持ち、一定の経験を積んだ者が取得することができます。
2級とび技能士の試験内容とは
受験資格は2年以上の実務経験が必要となります。
受験資格
- 3級合格者であれば実務経験0年から挑戦可能(「飛び級」のメリット)
- 3級未取得の場合は2年以上の実務経験が必要
- 上記は実務経験のみの場合。専門高校や大学を卒業している場合は、さらに短縮される場合があります
学科試験
- 試験方式:真偽法および四肢択一法
- 出題数:50問(真偽法25問、四肢択一法25問)
- 試験時間:1時間40分
実技試験
- 製作等作業試験1(鋼管を使用した片流れ小屋組)
標準時間:1時間30分/打切り時間:1時間50分 - 製作等作業試験2(重量物の目測作業)
試験時間:5分
1級とび技能士とは
「1級とび技能士」は、とび技能士の中でも最も高度な資格であり、合格率は約3割と言われています。
1級とび技能士は、厚生労働省が所管する国家資格の一つであり、技能検定制度の下で認定されます。
とび技能士の試験は、各都道府県職業能力開発協会(問題作成等は中央職業能力開発協会が行います)が実施し、学科および実技の試験に合格することで資格を取得します。そして、1級とび技能士は、その中でも最も高度な知識、技術、経験が要求され、一流の腕前を持つ鳶工の証とされます。
受験資格
- 7年以上の実務経験
- 2級合格後2年以上の実務経験
- 3級合格後4年以上の実務経験
※学歴により必要実務経験年数が短縮される場合があります
1級とび技能士の試験内容とは
7年以上の実務経験、2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年以上の実務経験が必要ですが、学歴によって必要な実務経験年数が異なる場合もあります。
学科試験
- 出題数:50問(真偽法25問、四肢択一法25問)
- 試験時間:1時間40分
実技試験
- 製作等作業試験1(鋼管を使用した真づか小屋組)
標準時間:1時間30分/打切り時間:1時間50分 - 製作等作業試験2(そりに乗せた重量物の運搬)
試験時間:10分 - 製作等作業試験3(3種類の重量物の目測作業)
試験時間:5分
基本的に、どの試験も100点満点中、実技試験は60点以上、学科試験は65点以上となっています。
とび技能士の等級、受験資格に関するページはこちら
とび技能士の試験概要
ここからはとび技能士の試験概要をご紹介します。
試験日程
とび技能士の試験日程は以下の通りです。
| 前期 | 後期 | ||
| 申込期間 | 令和8年4月6日(月)~4月17日(金) | 令和8年10月5日(月)~10月16日(金) | |
| 期間実施 | 問題公表 | 令和8年6月 3日(火) | 令和8年11月27日(金) |
| 実技試験 | 令和8年6月10日(火)~9月9日(水) ※3級職種は「8月9日(日)」まで 令和8年9月10日(水)~11月11日(水) | 令和8年12月4日(金)~令和9年2月14日(日) | |
| 統一実施日 | 実技 | 令和8年8月23日(日) 令和8年8月30日(日) 令和8年9月6日(日) | 令和9年1月17日(日) 令和9年1月24日(日) 令和9年1月31日(日) 令和9年2月 3日(水) |
| 学科 | 令和8年7月12日(日) 令和8年8月23日(日) 令和8年8月30日(日) 令和8年9月 6日(日) | 令和9年1月24日(日) 令和9年1月31日(日) 令和9年2月 3日(水) 令和9年2月 7日(日) | |
| 合格発表 | 令和8年8月28日(金)・10月2日(金) | 令和9年3月12日(金) | |
試験日程
各都道府県職業能力開発協会で実施されます。(一部地域を除く)
各都道府県職業能力開発協会の所在地はこちら
合格率と難易度

| 実施年 | 応募者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 23,387人 | 14,004人 | 59.9% |
| 2023年 | 18,942人 | 11,142人 | 58.8% |
| 2022年 | 17,685人 | 8,417人 | 47.6% |
| 2021年 | 18,146人 | 7,522人 | 41.5% |
| 2020年 | 16,408人 | 10,172人 | 62% |
| 2019年 | 18,232人 | 11,898人 | 65.3% |
合格率は、40%~65%とやや高いと言えます。
ただし、4年前から60%を超えていないことから、難易度が上がっているといえるでしょう。
過去問や講習会などを活用し、しっかりと知識を定着させましょう。
とび技能士に関するよくある質問
- とび技能士の資格を持つメリットは?
-
とび技能士の資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。
- 職長・安全衛生責任者など、現場リーダーとしてのキャリアアップにも有効
- 自身の技能を客観的に証明できる
- 公共工事などの入札で評価対象になる
- 就職や転職で有利になる
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)での能力評価に反映される
1級取得でゴールドカード、2級取得でシルバーカード、3級取得でブロンズカード相当の評価に反映され、賃金やプロジェクト参画にも影響する場合があります
- 資格に有効期限はある?
-
とび技能士は一度取得すれば一生有効です。更新の必要はありません。ただし、現場では高所作業やフルハーネスなどの特別教育を別途受ける必要があります。
- 海外でも通用する?
-
とび技能士は日本国内の国家資格ですが、海外でも「日本の技能士」として一定の評価を受けることがあります。特にアジア地域の建設プロジェクトでは日本人技術者の信頼度が高い傾向にあります。
- 勉強時間の目安は?
-
目安としては、以下のように考えておくと安心です。
- 3級:20〜30時間(基本知識の習得が中心)
- 2級:40〜60時間(実務に基づいた内容)
- 1級:80時間以上(より高度な施工計画や安全管理も出題)
仕事をしながら勉強する人が多いため、1日1〜2時間をコツコツ継続するのがおすすめです。
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まとめ
とび技能士は、建設現場で足場の組立・解体や鉄骨建方などの高所作業を担う専門職「とび工」の技能を証明する国家資格です。
等級は1級・2級・3級に分かれ、3級は受験資格不要の入門レベル、2級は3級取得により実務経験なしで挑戦でき、1級は高度な知識と豊富な実務経験が求められます。
資格取得により現場での評価向上や職長へのキャリアアップ、就職・転職での優位性が期待できるほか、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価にも反映されます。
合格率は40〜65%程度で、過去問や講習を活用しながら継続的に学習することで取得を目指せる、建設業で長く活躍したい方にとって価値の高い資格です。
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