売上台帳とは、文字通り売上を記録していく台帳です。
税務申告のために必要経費は細かく記録している企業や個人事業主は多いです。
所得を申告するには売上と必要経費の差額を求める必要があります。
その売上はどのように管理しているでしょうか。
銀行に振り込まれるから、まだ支払いは受けてないからと後回しにしていませんか。
ここでは、売上台帳が必要になるシーンと作成方法について解説していきます。
目次
売上台帳とは
売上台帳とは、取引の売上を記録する帳簿です。
売上台帳には、特に決まった書式や記載事項が決まっているわけではありません。
売上のあった日付と売上金額を基本に、取引先や売上内容などの情報を簡単に記録すれば良いだけです。
建設業では1回の売上金額が大きくなることも多く、実際に支払いを受けた日と発注を受けることや契約を締結する日が異なることがあります。
通常、契約や発注を受けた時点で売上を計上し、未払いの場合は売掛金と記載します。
売上台帳が必要な場面
売上台帳が必要な場面として、税務調査(確定申告)や給付金や補助金の申請が挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
税務調査(確定申告)
確定申告をするうえで、青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成できる正規の簿記で記帳を行うことが原則です。
なお、白色申告も含め、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳を備え付けて簡易な記帳でも認められます。
現金出納帳や売掛帳のほか、総勘定元帳や仕訳帳なども、売上を記録するので、売上台帳の代用にもなります。
確定申告を行う際には帳簿そのものを提出する必要はありません。
帳簿をもとに申請書類や必要書類を作成して、提出すればOKです。
ただし、なんらかの問題がある場合や抜き打ち検査などで税務調査を受ける際は、帳簿が実際に備え付けられているか、中身をチェックされます。
実際にはもっと売上があったのに隠されていないかなど、売上台帳をはじめ、ほかの帳簿を一つひとつ確認し、それぞれを照合して、問題がないか調査されます。
正当に申請しているのに疑われないためにも、売上は漏れなく記録しておくことが大切です。
給付金や補助金の申請
国や自治体、公的機関の給付金や補助金の申請にあたり、売上台帳が添付書類として求められることがあります。
給付金や補助金の中には一定の売上を上げている企業や個人事業主をサポートするものや、逆に売上が下がった場合に支援するものなどもあります。
売上を確認するために、日々記録している売上台帳が証拠書類となります。
売上台帳は通常、月単位で締めていきますが、売上がゼロであった月も、その事実を記録しておきましょう。
単に空白である場合や売上がない月を飛ばしていると、書き忘れているだけなのかどうか判別がつきません。
売上がない月も、台帳にその旨を記録することが大切です。
特に売上減少に伴う給付金や補助金の場合には、ゼロの記録も有利に働くからです。
売上台帳の保存期間
売上台帳の保存期間は、会社法では10年、税法では7年です。
かなりの長期にわたりますので、紛失することのないよう注意しましょう。
物理的に台帳がある場合にはその台帳を保管します。
表計算ソフトなどで記録、管理している場合には、プリントアウトしたうえで保管するのが基本です。
ただし、手書きなどをせず、一貫して表計算ソフトなどで作成した売上台帳は、電子的な保存も認められます。
売上台帳の主な内容
売上台帳で知りたい項目は、いつ売り上げたのかと、いくら売り上げたのかです。
そのため、日付と売上金額は必須項目となります。
国税庁が売上の記載事項として挙げている項目としては下記になります。
- タイトル
- 申請者名
- 売上日
- 取引先
- 売上日の発生要因
- 金額
- 助成金の申請月
建設業においては、1回の売上金額も大きいケースが多いので、取引先名や工事名や施工内容などを記載しておくことがおすすめです。
これに対して、飲食店や物販店など、いちいち取引相手が確認できないBtoCの取引などでは、取引先名は書かなくても特に問題ありません。
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売上台帳の作成方法
売上台帳の作成方法の主な方法は次の通りです。
昔ながらに台帳に手書きで記録していく方法、エクセルを使ってアプリケーションソフトのサポートを受け半自動化する方法、専用のソフトを使う方法です。
それぞれ見ていきましょう。
手書きで作成
毎月の売上件数が数件しかない、パソコンがない、ITは苦手といった方や保管して後から見返すには冊子になっていたほうが便利といった方は、台帳を用意して手書きで記録することもできます。
台帳は市販の売上台帳や罫線が引いてある帳簿でも良いですし、普通のノートに罫線を引いて記録するだけでも問題はありません。
ただし、青色申告特別控除を受けたい方は、複式簿記による帳簿を記録することが必要です。
手書きのデメリットとして、記入ミスが起きることや量が多くなると書き忘れが起こることが挙げられます。
また、とりあえずとシャープペンなどで書いていると、薄れてしまう場合や万が一の改ざんのおそれがありますので注意しましょう。
エクセルを使う
エクセルを使うことで、手書きより作業の効率化ができます。
入力の補助や自動で集計してくれるなどスピーディーです。
もっとも、数値の入力ミスといった人為的なミスは防げませんので、見直しやダブルチェックがおすすめです。
形式は自分で作成することもできますし、ネットを探すと売上台帳向けのひな形などを見つけることができます。
無料のひな形をダウンロードして、それに記録していくことも可能です。
保存は電子的にもできますが、データのバックアップが欠かせません。
不安な場合にはプリントアウトしたうえで、ファイリングしておきましょう。
ソフトを使う
ソフトは売上台帳の機能だけに特化したものではなく、販売管理ソフトなどの名称で提供されています。
販売管理をはじめ、見積管理や受注・発注管理、売上管理など幅広い機能が搭載されているのが特徴です。
受注情報や見積の成約例のデータから、売上管理に反映させるなど連携が可能です。
その分、手書きやエクセルに比べて、会計業務や税務申告などに用いる各種帳簿や書類を作成するにあたり、転記時間や書類作成時間の手間や時間が省けます。
最初の入力のミスは防げないため、ダブルチェックなどは必要ですが、入力された数値が正確なら、集計その他の面倒な計算も自動でできるのが便利です。
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売上台帳作成の注意点
売上台帳作成の注意点として、正確な数値を記入すること、二重計上がないか確認することです。
基本的に思えますが、シンプルな台帳だからこそ基本は外せません。
正確な数値を記入する
売上台帳に売上を記入する際は、見積書や契約書、発注書や領収書などの数値を転記すると思います。
この数値を間違えてしまうと意味がありませんので、桁数や並びなど、しっかり確認し、正確な数値を記入しましょう。
入力したら必ず見直し、入力者以外の人によるダブルチェックも欠かせません。
また、法的な正確性、適法性も要請されます。
本来の売上額より小さくする、大きくするなど、節税や補助金申請などに有利となるように虚偽の数値を入れることはNGです。
二重計上がないか確認する
売上台帳は複式簿記と異なり、日付と売上金額だけのシンプルな記録で問題ありません。
そのため、記録のルールを作っておかないと、二重計上のリスクが存在します。
たとえば、契約時に売上を記録したのに、後日、入金された際、再び入金日で売上を記録してしまうようなケースです。
複式簿記では、売上が発生しても未入金の場合は、売掛金として処理し、入金があった時に現金と売掛金をセットで処理できるので、二重計上のミスが起こりにくいです。
そのため、いつの時点で売上を記録するか、ルールを統一しておきましょう
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まとめ
売上台帳とは売上について記録をする台帳で、日付・取引先・売上内容・売上金額などを記録していきます。
売上台帳が必要な場面として、税務調査(確定申告)や給付金や補助金の申請が挙げられます。
売上台帳の保存期間は会社法では10年、税法では7年です。
長期の保存が必要となるので、紛失しないように管理しましょう。
売上台帳の作成方法として、手書きで作成する方法、エクセルを使う方法、専用のソフトを使う方法があります。
売上台帳作成の注意点は、正確な数値を記入すること、二重計上がないか確認することです。
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