【建設業向け】原価管理とは?その目的とメリットを簡単にご紹介。

【建設業向け】原価管理とは?その目的とメリットを簡単にご紹介。

建設・リフォーム業では、工事にかかるコスト、つまり原価管理は重要な業務です。
原価管理を徹底しなければ、利益減少もっといえば経営難につながる可能性があります。
しかし、原価管理は、様々なデータを用いて計算を行う必要があり、手間と時間のかかる作業です。

「原価管理を効率よく行って利益を確実に生みたい」
「原価管理ってそもそも何?」
という方々に向けて、今回は原価管理の基本と原価管理を効率的に行うことができるシステムをご紹介します。

原価管理とは

1962年、財務省(当時の大蔵省)は財務管理を次のように定義しました。

「原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずることをいう」

原価管理はコストマネジメントとも呼ばれ、きちんと管理することで、製造にかかる原価を計算したり、目標とされる価格が適正かの判断基準にもなります。またコストの改善や仕事の効率化にも役立ちますので、原価管理の仕組みを作ることをおすすめします。

ただ、原価管理は非常に複雑で、エクセルだけで正確な原価を把握するのは難しいところがありますので、原価管理のシステムの必要性も解説していきます。

原価管理の目的

徹底した原価管理は大変手間かかりますが、効率化や利益のアップにつながります。

利益確保

例えば、工事の受注代金に対して原価が高いと利益の割合が小さくなります。
そのため、利益の出る価格を設定する必要があります。
原価管理を徹底しておけば、工事の際にどのくらいの費用がかかったのかを把握できます。
それをもとにして価格を設定し、現場に応じて無駄なことを省き、効率を上げることができます。それが利益を上げることにつながっていきます。

リスク管理

もう一つの目的として挙げられるのが、リスク管理です。
工事の受注代金が同じでも、その時々で原価は変動しています。
原価の変動が予測される場合に、利益を最大限に得るためにも原価管理は必要です。
また、資材などが不足したり、重複して発注し過剰在庫とならないためにも、活用されています。

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原価管理のメリット

システムなどを導入した場合には、一括管理も簡単にできます。

無駄なコストの削減

原価管理を徹底することで、原価を構成する内容を知ることができます。
その目がどこに無駄があるかを見抜き、経費の削減をすることができます。それが結果的に利益率の向上につながります。
工事代金は同じでも、無駄なコストを削減できれば利益が上がります。
さらに、原価を削減しつつ開発を進めることも可能です。

このような経験をノウハウとして、明文化して会社に蓄積できれば、会社の財産となります。

損益分岐点の把握

損益分岐点とは、利益が出るか損失が出るかが分かれるボーダーラインのことです。
この損益分岐点を把握できれば、どれくらい利益が出るか分かるため、経営判断も行いやすくなります。

また、利益に結びつきにくい工事から、撤退するときの判断基準としても採用できます。
原価管理をして損益分岐点を把握しておけば、引き際も見極められることになります。
工事を受けるにあたり、損益分岐点を知っておかないと、どの時点から利益が発生しているのか把握できません。
これを知っていれば、戦略的な工事の受注計画も立てられますから、将来的な利益も期待されます。

原価管理と原価計算の違い

原価管理と原価計算を混同する方も多いようですが、2つの違いを明確に言えば、原価計算とは工事代金などを計算するための「技術」で、
原価管理はその技術を使って原価を管理するための「手段」です。
原価計算と原価管理の違い

原価計算

【原価計算】原価を、目的に応じて正確に計算して把握するというやり方のことです。
原価管理を行う上で、原価計算は正確に行う必要があり、建設業では4つの原価科目があります。

科目①

材料費

建設業における材料費は、木材等の材料のように工事完成のために、外部から製品を購入した際にかかる費用のことを言います
工事にはさまざまな種類があるため、工事によって材料費は大幅に変わります。

ただし、販売や営業の際に生じた費用は含まれず、あくまでも工事のために消費された額が材料費となります。

科目②

労務費

建設業における労務費とは、工事現場の作業員や職人に支払われる給料や手当のことを指します。
ただし、建設業の場合、技術関係者や現場管理者等に支払われる賃金や手当は、人件費や工事経費として計算されるため、労務費には含まれません。

科目③

外注費

外注とは、工事を完成させるため作業工程に必要な工程を他社に委託することを言います。
例えば、家を建築する際においても、電気会社や水道会社に委託します。その際にかかった費用を外注費といいます。
建設業では、建設業許可業者と契約し委託され、その契約への支払いが本来外注費となります。

科目④

経費

経費とは、材料費・労務費・外注費に含まれないその他すべての費用のことを指します。
そのため、減価償却費や修繕費、電気・水道・ガスなどの費用、現場管理署の給料など内容は多岐にわたります。

また、建設業における経費は、工事直接経費と工事間接経費のどちらも含むため、
原価計算をする際は、部門別計算などを用いて正確に計算する必要があります。

原価管理

【原価管理】基準となる原価を設定して基準から外れないように調節し、時には基準よりも原価を下げる試みをします。

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原価管理の4つの手順

原価管理の手順
原価管理には以下の4つの手順があります。
ここでは、この4つの手順とそれに対する目的に関して詳しく解説します。

  1. 標準原価の設定
  2. 原価計算
  3. 差異分析
  4. 改善行動・分析行動

(1)標準原価の設定

まず初めに、標準原価(価格)を設定します。
標準原価の設定とは、工事の際に目安や計画となる原価(標準原価)を概算で設定することです。
また標準原価に対して、実際にかかった原価のことを「実際原価」といいます。
この「実際原価」と「標準原価」の差異を分析することで、工事原価の無駄の把握や改善につながります。

ただし、標準原価はあくまで工事前の目標値であるため、実際原価との差を予測するのは限度があります。
とはいえ、原価管理を徹底する為にも、差異を最小限に抑えられるよう適切な標準原価を設定する必要があります。

ここで重要となるのが、①マーケティングを行うこと②過去の工事原価と比較することの2点です。
事前に有効な市場調査を行うことで相場を把握し、適切な標準原価を設定しましょう。
また、過去の工事の実際原価から、利益とのバランスを考えつつ標準原価を設定することも重要です。

(2)原価計算

工事段階に入ってから、材料費・労務費・経費・外注費などを明確にし、原価計算を行います。
原価計算には、①標準原価計算②実際原価計算③直接原価計算の3つの種類があります。

CHECK01

標準原価計算

”標準原価の設定”でも述べたように、工事にかかる計画上の原価「標準原価」を算出します。
工事工程や設計から原価計算が必要な項目を探し、それぞれ材料費・労務費・経費・外注費の標準値を決め、概算の原価を算出する方法です。
工事の計画段階や、実際原価との比較の為、事前に概算として原価を出したい場合に用いられます。

CHECK02

実際原価計算

標準原価計算に対し、実際に使われた原価を用いて算出する原価計算方法です。
①標準原価計算で算出した標準原価と比較することで、工事の無駄の把握や改善を行うことができます。

CHECK03

直接原価計算

実際原価を「変動費」と「固定費」に分けて考える計算方法です。
製品ごとに利益を確認したい場合や売上と利益が比例していない場合などに用います。
原価計算は、正確な利益を把握し、場合によっては業務のあらゆる意思決定を行う上で必要な手順です。
漏れがあっては、適切な原価管理は行えません。
光熱費や、減価償却費など忘れがちな費用も必ず漏れがないようにしましょう。

(3)差異分析

次に、(1)設定した標準原価と実際原価の比較・分析を行います。
標準原価より実際原価が高い場合、目標値より差異分利益が減少してしまいます。
どの程度差異があるのか、またなぜ差異が発生したのが原因を比較・分析することで、工事ごとの課題点をみつけ、今後の利益向上につながります。

(4)改善行動・分析行動

(3)でなぜ差異が生まれてしまった原因を分析した後に行うのは、この原因を改善する経営行動です。
例としては、工程管理を見直し無駄や非効率を把握・改善を行うことで労務費の削減を行うことや、仕入れの数量を増やすことで単価を引き下げる交渉をするなど、原価低減を狙える施策を講じます。
(3)で原因を徹底的に把握し、無理なく原価を抑えられるよう改善していくことが重要です。

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原価管理の課題

原価管理の課題
原価管理が難しいといわれる理由には2つあります。

1つ目は、建設業の工事費の構成が複雑だということです。

建設業の工事費の構成は、様々な工事原価、純工事費、直接工事費、共通仮設費など多岐にわたります。
このように情報管理が複雑なため、原価管理のための情報を正確に把握しようとすると、時間がかかりすぎてしまうのです。

2つ目は、手入力、手作業のため負担が大きいということです。

材料、外注見積などをExcelで管理しているため、多重入力と名なってしまい担当者の負担が増え、人為的ミスにも繋がります。
正確な原価管理を行うには、間接費や労務費などを詳細に計算する必要があります。
結果的に担当者の業務が増えてしまい、他の業務に割く時間が短くなってしまいます。

このような点から、建設業における原価管理は難しいものとされています。
それでは、どのようにすれば原価管理を正確で効率よく行えるのでしょうか。

正確で効率的な原価管理を行うには?

上で話したように、原価管理は計算が複雑なためExcelでの管理が難しくなります。

担当者の負担を減らし、原価管理を正確に行うには「原価管理システム」の導入がおすすめです。
把握した原価から問題を発見し、コスト削減のために改善するヒントを見つけるところまで、原価管理に必要な作業を一貫してサポートしてくれるので、効率的で適切な原価管理が行うことができます。

原価管理システムを導入するメリット

「原価管理システム」をご導入いただくことで、以下のメリットが見込めます。

手作業の負担と人為的ミスがなくなる

最新の原価管理システムは、たくさんの機能が含まれており、操作方法も簡単になっているため、担当者は必要最低限の情報を入力するだけでほしい情報が分かります。
カスタマイズした設定で、入力や出力が容易になるので、手作業の負担とミスが少なくなることでしょう。

リアルタイムで情報を反映できる

原価は変動が激しいため、新しい情報を素早く経営に取り入れることが必要です。
原価管理システムでは、資材費や労務費など原価にかかわる情報を瞬時に取り出してシステム上で計算することが可能です。

コスト削減のための分析ができる

原価とは複数の要素から成り立っているので、原価管理は人的に行うとかなり複雑です。
建設業でシステムを導入すると、工事が数値化できるので目標設定も簡単になり、コストを適切に管理して削減しやすくなります。
また取得したデータから将来の原価を予測することも可能なので、コスト削減のために必要なことが見て、原価管理の施策も立てやすくなります。

【建設業向け】原価管理システムの選び方

原価管理システムのメリットをご紹介してきましたが、原価管理システムといっても様々な種類があるため、
検討を迷われる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、自社にあった原価管理システムの選び方をお伝えします。

自社の課題をピックアップ

まず、原価管理システムでどのようなことを効率化させたいか考える必要があります。
やみくもに多機能なものを導入してしまうと、コストがかかる上に使わない機能が出てきたり、操作が複雑になってしまう可能性があります。

「財務の状況を透明化させたい」「工事の赤字部分を改善したい」などそれぞれの目的によって、使用すべきシステムは変わってきます。

そのため、自社における原価管理の課題を洗い出し、利用目的を明確にしましょう

一元管理が可能であるか

原価管理システムを導入するうえで、一元管理ができるのかという点は大変重要になってきます。
担当者ごとに原価管理を行っている場合、Excelやファイル、手書きの資料がバラバラに保存され、最新のデータを把握するのが難しくなります。
そのため、原価管理システムを導入する際は、一元管理機能が搭載されているものを選びましょう
一元管理されることで、原価管理において必要な情報をまとめて管理することが出来ます。
また、通信環境があれば、いつでもどこでも原価管理を行うことが可能です。

サポート体制

導入後のサポート体制がしっかりしているか、迅速に対応してくれるかという点も、システムを選ぶうえで重要なポイントとなってきます。導入後にわからない操作があった場合や、トラブルがあった場合に適切なサポートがあるシステムを選びましょう。

どれだけいいシステムでも従業員が運用できなくては意味がありません。
しっかりと運用するためにも、疑問点や不明点をサポートしてくれるのかチェックしておきましょう。

クラウド型かオンプレミス型かチェック

工事管理システムには、「クラウド型」と「オンプレミス型」があります。
クラウド型は、インテ―ネット上のサーバを介して利用するシステムで、初期費用は比較的安く、メンテナンスやアップデートはシステム側が行います。
インターネット環境のないオフラインでは使用できませんが、モバイル端末でも管理ができるため、オンラインであれば時間や場所問わず管理することが出来ます。

オンプレミス型は、ハードウェアを社内に設置し、システムを利用するシステムです。
初期費用はクラウド型に比べると、高価なものが多いですが、月額料金がないものが大半です。
オンプレミス型はセキュリティ面に強く、自由にカスタマイズできますが、サーバの管理を自社で行う必要があります。
また、モバイル端末では使用することが出来ないため、リアルタイムな状況を確認することはできません。

ERPパッケージの導入

ERPとはエンタープライズ・リソース・プランニング(enterprise resource planning)の略称で、日本語では統合基幹業務システム、基幹システムと呼ばれます。
「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を管理することで経営効率を向上させることを目的とした手法であり概念です。

このERPを実現しているシステムをERPパッケージと言い、様々な機能を備えています。

  • 顧客管理機能
  • 営業支援機能
  • 在庫管理機能
  • 販売管理機能
  • 生産管理機能
  • 工程管理機能
  • 人事管理機能
  • 給与管理機能
  • 財務会計機能
  • 経費管理機能
  • 債権・債務管理機能
  • プロジェクト管理機能

ERPはバラバラに管理していた情報の一元化を目指すことができます。
一つの業務処理を行うと関連する情報の更新が行われ、大幅な業務効率化が可能になります。

一方で価格や種類が豊富であるため、パッケージの選定の難しさがデメリットとして挙げられます。
必要以上の機能が搭載されているとむしろシステムを扱いきれない可能性があります。
現場で求められている機能を洗い出し、条件に合ったシステムを見つけるためにいくつかシステムの比較が必要です。

原価管理システムをお探しの方は、原価管理に特化したシステムのほかにERPのように一元化されたシステムも調べてみるといいでしょう。

様々なパッケージが存在しているため、建設業向けに作られたもの選ぶことをお勧めします。

お勧め原価管理システム3選

では実際にどのような原価管理システムを活用すればよいのでしょうか。
建築業におすすめの原価管理システム3選をご紹介します。

建築業向け管理システム アイピア

原価管理システム アイピア
建設業で原価管理を行うなら、アイピアがお勧めです。
アイピアは、建設業・リフォーム業の効率化だけを考えた機能が搭載されているクラウド型業務管理システムです。

見積に含まれる原価情報を取込み、発注までをワンクリックで処理刷ることが可能で、同じ情報を何度も入力する手間が一切なくなり、業務時間が大幅に短縮され発注漏れを防ぎます
見積書の作成や印刷が自由に行え、作成した見積書をそのまま転用して、実行予算を作成することもできます。

また、工事台帳の自動作成や月ごとの売上から粗利集計もなど、様々な集計台帳が作成できます。


まずは、体験デモで使用感を体感してみませんか?

価格初期導入費:360,000円~
税抜20,000円 ~/月
無料体験版無料体験デモあり

原価管理システム どっと原価 NEO

「どっと原価NEO」は小規模企業から中小・中堅企業まで幅広くご利用いただける原価管理システムです。
建設業特有の商習慣に対応できるほか、国内主要会計ソフトや給与ソフトとも連動できます。
原価管理システム業界初の『Excelフリー機能』は、オリジナル帳票を日頃使い慣れたExcelで作成ができます。
1台での導入から社内LAN、クラウドまで幅広く対応し、事務作業の合理化と原価管理の両面で御社の経営を力強くサポートさています。

価格初期導入費:要確認
税抜20,000円 ~/月
無料体験版無料体験デモあり

レッツ原価管理Go2

見積から実行予算・発注・原価管理・支払管理・回収管理と建設業に必要な業務をトータルサポートされています。
また、平成8年に初代レッツ工事台帳を発売して以来お客様の生のご意見を反映してきました。
将来を見据え、企業の成長と共に必要となる機能を標準搭載しております。

価格(ネットワーク版)
初期導入費:1,000,000~
税抜33,000円 ~/年
無料体験版無料体験デモあり

まとめ

原価管理が必要であるということが理解できても、標準原価の設定・原価計算・差異分析・改善の4つのステップをエクセルで管理をするのは大変な手間がかかります。
ここは思い切って効率化のために投資するという観点で、原価管理システムの導入を検討していただきたく思います。

また、システム化することにより、適切な在庫管理確で余剰発注を予防し、管理にかかるコストや時間を節約できます。
工期の間に効率の良い資材の投入ができれば、生産力が向上するだけでなく、顧客の満足度のアップにもつながります。

原価管理システム導入には費用が掛かりますが、その投資に値するシステムであることは実績が物語っています。

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AIPPEAR NET 編集部

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