建設業退職金共済制度(建退共)は建設業の現場で働く人の為の退職金制度になります。
退職金制度となるので、導入は義務ではなく任意となります。
この記事では建退共について知りたい方や導入を検討している方に向けて建退共の仕組みやメリット・デメリットについてご紹介いたします。
建退共の概要について
建退共(建設業退職金共済制度)は厚生労働省が管轄する独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営をしています。
- 加入要件
建退共への加入要件は建設業の現場で働く方であれば可能です。ただし、役員報酬を受け取っている方や営業や事務員など現場に出ていない方は加入することはできません。 - 積立金の形成
労働者は毎月一定額を積立てます。この積立金は、将来の退職時に一時金や年金として支給されます。 - 加入企業と加入者負担
建設業をおこなっている全ての企業や事業主が建退共に加入が可能です。また掛金は全て企業や事業主となります。 - 支給方法
労働者が退職した際に支給される退職金は、一時金や年金の形式で支給されます。支給方法は労働者へ直接支給となります。
掛金の積立方法とは
建退共(建設業退職金共済制度)の掛金は2021年10月1日に改訂されて1日あたり310円から320円になりました。
では掛金はどのように管理しているのでしょうか?管理方法についてみていきましょう。
共済手帳で管理
建退共(建設業退職金共済制度)に加入をすると共済手帳が発行されます。
共済証紙を共済契約者が事前に購入をして共済手帳に共済証紙を貼り、管理をしていきます。
また、共済手帳(初回のみ)50日分が助成金として自動で免除となります。
電子申請方式で管理
2020年10月1日から電子申請で掛金が出来るようになりました。電子申請では月に1度共済契約者が就労日数を専用サイトで申告を行います。
電子申請では事前にペイジーまたは口座振替でポイントを購入し、ポイントで掛金を納付します。
企業や事業主にとっての建退共のメリット
建退共(建設業退職金共済制度)を導入することによる企業や事業主が得られるメリットについてみていきます。
建退共を導入することで得られるメリットは大きく4つあります。
企業価値を高められる
退職金制度を導入しているということで企業価値を高めることができます。これにより求人がとりやすかったり、離職率の低下が見込めます。
公共工事が受注しやすくなる
建退共を導入している企業は公共事業の入札に勝ちやすくなります。理由としては、建退共に導入することで、公共事業の受注に必要な経営事項審査への加点が大きい為です。
公共工事、経営事項審査に関する記事はこちら
掛金を全額損金できる
建退共の掛金は企業や事業主が全額負担する形になりますが、負担額を全額損金にすることができるので節税効果があります。
助成金を受けられる
建退共に加入すると対象者ひとりひとりに掛金50日分の助成金を受けられます。手続きも特に必要なく自動的に助成金対象となります。
企業や事業主にとっての建退共のデメリット
建退共(建設業退職金共済制度)の導入はメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。
次はデメリットについてみていきましょう。
掛金が発生する
建退共(建設業退職金共済制度)の掛金は企業は事業主の負担となります。掛金が一定なので、長期的な面もみて経営的に無理がないかを検討して導入する必要があります。
減額や解約が難しい
退職金制度はその目的から、減額や解約をするためにはいくつもの条件があります。
特に建退共は厚生労働省が管轄している独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営をしているので、特に厳しい条件が課せられています。
加入者は現場に出ている方のみ
建退共は現場で働く労働者が対象のため、役員報酬をもらっている方や営業や事務などの職種の方は加入することができません。
会社全体で退職金制度に導入したい場合は、別の退職金制度を導入するか、併用する必要があります。
加入者のメリット
建退共(建設業退職金共済制度)を導入することによる企業や事業主についてみてきましたが、
次は加入者(労働者)についてみていきましょう。
まずは加入者のメリットから下記の2つになります。
信頼性が高い
建退共(建設業退職金共済制度)は厚生厚労省が管轄している機関が運営をしている為、倒産などによる不払いが発生しないので信頼性が高いと言えます。
転職してもなくならない
建退共(建設業退職金共済制度)は建築業界で働く労働者を対象としているので、転職先が建退共に加入していれば、転職後も引き継ぐことができます。
加入者のデメリット
加入者のデメリットについても見ていきましょう。
加入1年未満では退職金がもらえない
建退共(建設業退職金共済制度)では加入から1年未満での退職金請求はできません。
他の退職金制度でも一定の加入年数が必要なことが一般的な為、建退共のデメリットというよりかは、退職金制度でのデメリットとも言えます。
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まとめ
建退共(建設業退職金共済制度)についてみてきましたがいかがだったでしょうか?
労働者に対してはとても魅力的な退職金であることがお分かりいただけたと思います。
自社の財務状況と相談をして建退共に入るか検討してみてはいかがでしょうか。
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