リフォーム会社がより大きな利益を得るために「追加工事」は必要不可欠なアプローチです。
ただ追加工事は、売上金額が上がっているにも関わらず全体的な粗利率が下がる傾向にあります。
今回は、追加工事で粗利が落ちやすい原因と対策を考えていきます。
追加工事は新規に比べて高い契約率を担保しやすい
追加工事は、提案する段階ですでに最初の工事する意思決定が住んでいるので
「ついでにこっちも」という気持ちを誘発しやすく、新規契約に比べて契約率が高くなります。
また、新規工事を御社で行うことが決まっていることもあって、
契約率はもちろん相見積もりになることも少ないので、
お客様の要望をくみ取ることができれば比較的容易に追加工事を受注することができるでしょう。
お客様の要望をくみ取るノウハウとして、「他の場所も点検する」ことが有効かもしれません。
▼建設業の財務統計指標はこちらから確認できます。
東日本建設業保証株式会社:建設業の財務統計指標【令和2年度決算分析】
追加工事を契約できても、全体的な粗利率は下がりがち
一方で、追加工事は粗利率が下がりがちです。
理由は一言でいえば「ついつい値引き」を行いがちだからと言えるでしょう。
既に新規工事を契約しているのだから、ついでに工事するのだから、と
お客様からの値引き交渉が発生しやすいのが追加工事です。
この交渉に対して、営業マンは応じない理由を用意できないのも原因の1つと言えるでしょう。
その結果、お客様に言われるがまま値引きをしたり
場合によっては営業マン側が最初から「値引きしますからここも併せて工事しませんか」と
値引き前提で提案したりしてしまって、全体的な粗利率が下がってしまいます。
追加工事で粗利を下げない方法
追加工事で「ついつい値引き」をしてしまう理由は、主に以下の理由が考えられます。
- お客様は既に新規工事の金額を承諾しているので、金額を比較して追加工事が高く感じる
- 営業マンがお客様からの値引き交渉に対する切り返しを用意できていない
- 追加工事にインセンティブが設定されておらず、追加工事受注が営業マンのメリットにならない
これらの解決方法を検討していきましょう。
方法①追加工事の見積を、新規工事との合算で提出する
追加工事のために見積を提出する際、追加工事のみの見積を提出していませんか?
追加工事でいくらかかるかが分かりやすいというメリットはあるものの、
単価が目立ってしまい、お客様によっては値引きのきっかけにもなりかねません。
とくにお客様から注文がないのであれば、追加工事の見積は、本工事との合算で作成するのがおすすめです。
お客様が最終的に負担する予算額を理解しやすいうえに、
追加工事のみの金額に注目することは少なくなり、不要な値引きが起こりにくくなります。
見積ソフトをみるならこちら
方法②粗利低下を防ぐ基本的な仕組みを導入する
追加工事に限らず粗利低下を防ぐ仕組みはいくつか存在します。
例えば、補修や値引きに予め対応できるように予備原価を設定したり、
見積作成と同時並行で原価計算書を作成して希望粗利率を把握する方法などがあります。
いずれも本ブログで紹介していますので、ぜひご一読ください。
見積書と一緒に作成する「原価計算書」見積書などに含める「予備原価」はこちら
方法③追加工事を営業マンの成績として管理する
営業マンの成績にはどのような規定を設けていますか?
インセンティブは売上金額、件数、粗利金額いずれで設定しているでしょうか?
会社が利益を上げるために営業マンが貢献すべきは「粗利(売上総利益)」です。
インセンティブについても粗利をベースに考えるのが筋でしょう。
また、一部のリフォーム会社ではインセンティブ発生が新規顧客に限られているケースがあります。
営業マンにとって追加工事受注を価値あるものにしたいなら、追加工事粗利金額も成績に反映するのがいいでしょう。
ただし、「インセンティブを設定すれば追加工事が増える」と考えるのは早計です。
一時的に増える可能性はありますが、お客様にとって不必要な契約になってクレームに発展したり
手間ばかりが増えて全体的な利益がさほど上がらないことになるかもしれません。
方法①②の仕組みを運用できるようにするほうを優先し、
インセンティブが計算できる管理システムの検討も一緒に行うようにしましょう。
まとめ
今回は、リフォームの追加工事で粗利率が下がってしまう原因と対策について紹介しました。
以下のようなポイントにも注意しましょう。
- 利益は、売上額ではなく「粗利率」で考えること
- 追加工事と本工事の合算で見積書を提出すること
- 値引きをする場合は追加工事に対してではなく、本工事も含めた全体で考えること
また、今回紹介した内容はリフォーム会社全体に言えることではありますが、
まずは御社の粗利率の平均を確認して、下がる傾向にないかどうかを確認するのが必須です。
社内の利益状況や営業マンについて正当に評価できるように、売上や原価が管理できるシステムを導入しましょう。
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