工務店経営者の大きな悩みとなっているのが赤字問題です。
現在、半数以上の工務店が赤字の悩みを抱えており、経営者をはじめ従業員も共に問題解決に向けた対策に力を入れています。
ここでは、工務店が赤字経営に陥る背景を挙げるほか、赤字から黒字経営にするための対策法まで詳しく解説します。
どんな点に注意し赤字を改善していくのか、早速確認していきましょう。
工務店が赤字経営に陥る背景
工務店が赤字経営に陥る背景には、ウッドショックや原油価格の高騰のほか、新型コロナウイルスの影響など、近年の社会情勢によるものが大きく関わっています。
ウッドショック
ウッドショックにより木材の価格が高騰していることも工務店が赤字経営に陥る要因の一つです。2021年を境に現在の木材価格は、1.5倍近くにまで価格が上昇しています。
ウッドショックが引き起こされた原因は、製材会社の倒産やコンテナ不足などさまざまです。
新型コロナウイルスによって製材会社の従業員が減り、生産が追い付かなくなったこともウッドショックにつながっています。
また、コロナ禍には、インターネットでの購入が増えたことにより、コンテナ不足が懸念されるようになりました。
海外から日本への木材の輸入が困難になり、国内の木材不足が引き起こされた結果、木材の原価が高騰する要因になったと考えられます。
原油価格高騰
原油価格が高騰しているだけでなく、為替変動により工務店の経営状況の悪化に及んでいます。
日本は、エネルギー資源を輸入に頼っていることもあり、原油不足に陥り中小企業をはじめ、工務店でも大きな打撃を受けています。
原油価格は、ロシアがウクライナへ侵攻した2022年2月から高騰し続けており、ロシア産の原油の輸入が停止されたことも原油価格高騰の要因です。
今後も原油価格の高騰が懸念されています。
工務店の赤字脱却対策の一つとして、原油価格の問題にもしっかりと目を向ける必要があるでしょう。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響により、工務店のコロナ破綻が増加しています。
長期にわたる後期のずれ込みや資材の高騰のほかにも従業員不足など、新型コロナウイルスの影響は大きいと考えられます。
中小の工務店のみならず、大手ゼネコンも減益となっており、赤字問題を抱える企業も少なくありません。
コロナ禍には、工事の予定が滞り、中止に追い込まれる工務店も多くありました。
また、工事の中止に加え資材の高騰や原油の高騰の影響もあり、コロナ破綻が広がる結果につながっています。
特に内装工事やリフォーム工事を請け負う工務店は、最もコロナ破綻の多い業種です。
コロナ破綻までつながらなくとも、工務店の中には工事の中止により資金繰りの問題を抱えるところも増えています。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大による工務店の影響は、前年に比べ小さくなっています。
しかし、まだまだ収束はしておらず、今後も新型コロナウイルスによる赤字問題に悩まされる工務店の経営者は少なくないと言えるでしょう。
赤字経営の要因となる失敗例3選
赤字経営を脱却するには、赤字につながる要因をしっかりと見極めなければいけません。
経営の無駄を省くことで赤字から黒字に転換することもできます。
ここからは、工務店が赤字経営の要因となる失敗例を3つ挙げて解説します。
どのような点が赤字経営につながるのか、早速確認していきましょう。
むやみに人材を増やす
営業や職人の数を増やすことで、顧客獲得や納期のスピードを上げることに力を入れる工務店の経営者も少なくありません。
しかし、むやみに人材を増やすと人件費が高くなるだけでなく固定費も大きく膨らみます。
人材を増やすことで給与の支払いが多くなるのはもちろん、採用や研修にかかる費用も発生してくるでしょう。
たとえ工務店の利益が上がらなかったとしても従業員の給与を支払わないわけにはいきません。
そのため、人件費や固定費にも注目して黒字経営を目指すことが大切です。
売上だけを上げようとしている
工務店を経営するうえで、多くの経営者が売上を上げることばかり重視してしまいます。
売上を上げることができれば、自然と工務店の経営も黒字になるのではないかと思われがちですが、実際には原価や経費の負担が大きくなってしまい、思うような利益を見込めていない工務店も少なくありません。
売上を上げるために高額な費用をかけて広告を作り、宣伝を行うことや材料の原価を抑えるなど、経営者はさまざまな点で模索しています。
しかし、原価を抑えることによって品質が下がってしまう可能性もあります。
お客様からの信用を失うだけでなく欠陥工事につながるなど、新たな問題が発生することもあるでしょう。
資金管理がきちんとできていない
工務店の赤字につながる要因には、資金管理がずさんになっていることも挙げられます。
利益を得てもしっかりと資金を管理できていなければ、赤字額に目を向けることができず知らず知らずのうちに赤字状況が進んでしまいます。
利益だけを目にしていると赤字額を把握できないため、経営者や従業員は儲かっていると認識してしまいやすいです。
しかし、赤字額を把握していないことで倒産にまで追い込まれる工務店もあるため、しっかりと資金管理を行わなければいけません。
どれくらいの利益があり、どれくらいの赤字額が発生しているのかを経営者だけでなく従業員も一緒に把握するようにしましょう。
会社の数字を社内で意識することで効果的な赤字対策になるだけでなく、従業員のモチベーションアップにもつながります。
赤字から黒字経営にするには
工務店の赤字問題は、経営者がただ頭を抱えているだけでは解決することはできません。
まずは、コスト削減に向けて原価や経費を見直すほか、社内意識を変えることが大切です。
また、業務の効率化を図るなど赤字脱却に向けた対策を積極的に行っていきましょう。
原価と経費の見直し
工事で発生する原価や経費を見直すことも赤字経営から黒字経営に変える第一歩となります。
原価や経費を下げることで無駄なコストを抑え、利益向上を期待できます。
ただし、品質を下げることはおすすめできません。
原価を下げることだけにこだわると工事にかかる費用を抑えることはできますが、品質が下がり欠陥工事につながるおそれがあります。
万が一工事に欠陥があった場合、お客様からの信用を得ることはできません。
口コミや評判によって顧客獲得を期待できる工務店にとって、お客様からの評価の低下は赤字問題だけでなく経営問題にもつながってしまうでしょう。
そのため、工務店が赤字を脱却するには原価を見直すことも大切ですが、品質はこれまでと同様に落とすことなく、違ったところでコスト削減を目指すことが重要です。
また、コピー用紙や電気代、水道代といった社内でかかる費用を抑えることも赤字対策となります。
経費削減を目指すには、経営者の力だけでは成果を出すことはできません。
従業員に理解を求め、力を借りることで効率良く経費を削減することができるでしょう。
社内意識の統一化
経営者のみならず従業員も同じ気持ちで赤字脱却を目指すために、社内意識を統一させることも黒字経営対策となります。
まずは、従業員にも現在の経営状況を把握してもらうことが大切です。
経営者が従業員に経営の状況をしっかりと伝えなければ従業員自身が危機感を持つことはありません。
また、赤字脱却に向けて経営者はもちろん、従業員の意識を変えることも困難です。
どのような点が赤字につながっているのか、現在の問題点はどこにあるのかを社内全体で把握していく必要があるでしょう。
業務効率化によるコスト削減
むやみに人件費を増やして固定費を上げるのではなく、少しでもコストを抑えながら赤字脱却を実現するには、コストを削減した業務の効率化を目指すことが大切です。
たとえば、業務効率化につながるシステムを社内に導入することもおすすめの方法です。
現在、工務店におすすめのクラウドツールが増えており、実際に導入した工務店では業務を効率化することに成功しています。
クラウドツールは、顧客管理や施行管理を効率良く行えるため、従業員の業務の負担を大幅に軽減することができます。
また、インストール型とは違い、パソコンやスマホを使用できる環境であれば簡単に導入することができます。
工務店におすすめのクラウドツールは、顧客管理や施行管理のほかにも入出金管理などをスムーズに行えるものが数多くあります。
使い方がシンプルで簡単に業務を管理できる工務店向けのクラウドツールもあるのでチェックしてみると良いでしょう。
特に施工管理システム(工事管理システム)であれば、横断的な業務でもスムーズに管理が可能です。
業務効率化を目指す場合はクラウド型の施工管理システム(工事管理システム)の導入を検討もおすすめです。
クラウドシステムに関する記事はこちら
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まとめ
工務店の赤字問題は、まず赤字の要因を把握するだけでなく赤字脱却に向けて正しく対策することが大切です。
工務店の赤字の要因は、ウッドショックや原油の高騰のほかにも新型コロナウイルスの影響などさまざまです。
原価や経費を削減することや業務の効率化を目指すことも工務店の赤字脱却につながるので、積極的に対策していくと良いでしょう。
また、業務効率化には施工管理システム(工事管理システム)の導入もおすすめです。
特にクラウド型であれば、現場と事務所を行き来する必要が無い為、更に効率化が見込めます。
Excelや自社ツールで十分というかたも一度検討してみると良いでしょう。
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