建築業界においては、さまざまな項目の費用が発生します。
材料費や人件費のようなわかりやすい項目から、これは本当に必要なの? と思えるような項目もあります。
これらの知識に習熟していないと、思わぬトラブルに巻き込まれかねません。
今回は塗装工事独特の用語である設計単価について見ていきましょう。
設計単価とは?
一般的に工事を行う場合は、さまざまな項目を細かく分けています。
一方で、塗装業界では塗料費や人件費、それから工具費を一括して設計単価に含めています。
設計単価は1平方メートルあたりで設定されることが多いです。
たとえば、1平方メートルあたり1,000円、という価格設定がなされているなら、それがその業者の設計単価です。
もっとも、大規模な塗装工事を請け負うことの多い業者は1平方メートルあたりの値段ではなく、100平方メートルなどのもっと大きな数字で設計単価を設定していることも少なくありません。
設計単価の必要性
たとえば、屋根の塗装をするにしても、家ごとに屋根の大きさは異なります。
屋根の広い家の塗装と、屋根の狭い家の塗装では必要な仕事量も変わってくるでしょう。
そこで、塗装業界ではどんな屋根の面積にも対応できるように、平方メートルあたりの単価を設定しています。
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設計単価の調べ方
当然のことながら、設計単価は業者によって異なる設定がされています。
では、この設計単価はどのように調べればよいのでしょうか。
一般的な相場から調べる
どんなサービスを利用する場合でも、相場を知ることは欠かせません。たとえば、周りに最近塗装工事を経験した人がいるなら、どのくらいの料金がかかったかを聞いてみるのも良いでしょう。
また、インターネットの掲示板などで「このくらいの面積なら、どのくらい設計単価がかかるか」といった情報を募るのも有効です。
そこから、おおよその相場を割り出せば、適正価格がわかるようになるでしょう。
メーカーのWebサイトから調べる
最近では、多くの業者が自社のホームページを設けています。
ホームページには、業者の情報や施工事例が掲載されており、その中には価格表も一緒に載せている場合があります。
もちろん、参考にする際は一社だけでなく、複数のホームページにアクセスすることをおすすめします。
実際に業者に確認する
先ほどは、Webページを参考にする方法について述べましたが、インターネットが普及しているとはいえ、ホームページの作成には手間がかかります。
そのため、Webに詳しいスタッフがいないために、ホームページを作成していない業者も少なくありません。
こういった場合は、ネットに頼るよりも、電話などで直接確認するのが良いでしょう。
また、この方法は、ホームページがある業者にも有効です。ホームページには載せていない詳細な情報を聞き出すことができるかもしれません。
設計単価から外壁塗装の金額はどう計算する?
ここまで、設計単価について説明してきましたが、これだけで支払うべき料金が決まるわけではありません。
塗装工事を行うにあたっては、その他の費用もかかるので、設計単価だけを見るのは危険です。
そこでここからは、外壁工事に絞ってどのように工事金額が計算されるのかを見ていきます。
設計単価に含まれるもの・含まれないもの
設計単価を使って、そのまま塗装面積をかけるだけで塗装工事の総額を出すことはできません。
なぜなら、設計単価には工事に必要な全ての費用が含まれていないからです。
塗装工事にかかる費用は、設計単価に含まれるものと含まれないものに分けられます。
以下がその内訳です。
【設計単価に含まれるもの】
- 塗料代
- 人件費
【設計単価に含まれないもの】
- 下地調整費用
- 足場設置費用
- 養生費用
- 施工業者の利益
- 交通費などの諸経費
- 法定福利費
- 消費税
設計単価に含まれるのは、塗料代、人件費です。
最終的な工事費を算出するためには、足場設置費用や養生費用など、これらの費用もすべて加えて計算する必要があります。
【例付き】実際の計算方法を紹介
では、これまでの内容を踏まえ、実際の料金がどうなるかを計算してみましょう。
設計単価を1平方メートルあたり1,000円とし、100平方メートルの外壁塗装工事を行うと仮定します。
この時点で、塗装工事の基本料金は10万円です。
次に、設計単価以外の費用を加えます。
- 足場設置費用:15万円
- 養生費用:5万円
- 下地調整費用:3万円
- その他の諸経費(交通費など):2万円
これらを合計すると、設計単価以外の費用が約25万円となります。
つまり、最終的な工事費は基本料金の10万円に加えて、合計35万円の費用がかかることになります。
先ほど紹介したように、設計単価以外の費用は多岐にわたるため、設計単価の数倍の料金がかかると考えておくのが良いでしょう。
塗装工事に関する記事はこちら
設計単価に関する注意点
業者に依頼する前には、設計単価についてしっかり確認することが重要です。
しかし、初めて塗装工事を依頼する場合、どこに注意すれば良いかわからないという人も多いでしょう。
そこで、ここからは、特に注意しておくべきポイントを解説し、トラブルを避けやすくするためのアドバイスをお伝えします。
設計単価の内容を確認する
設計単価には人件費が含まれています。
この人件費は、職人の熟練度によって変動することが少なくありません。
仕事を始めたばかりの職人と、何十年も業界で経験を積んでいる職人では、かかる人件費が異なるのです。
一方で、設計単価に含まれる人件費からは、こうした違いを見抜くことはできません。
また、設計単価には工具費も含まれていますが、現場によって使用する工具が異なるため、その都度料金が変化することがあります。
そのため、設計単価だけを見て納得するのではなく、内容を細かく確認することが重要です。
きちんと設計単価が公表された塗料か
設計単価には塗料費も含まれていますが、使用される塗料によって料金が変わることを忘れてはいけません。
塗料の種類は、工事を行う住宅の特性や使用目的によって適切に選ばれます。
そのため、当初はAの塗料を使う前提で設計単価が設定されていても、実際に家を調査した結果、Bの塗料を使用せざるを得ない場合もあり得ます。
このような場合、設計単価を見直す必要が生じることがあります。
また、塗料の種類によって耐久性や仕上がり、さらには環境への影響も異なります。
たとえば、屋外用の高耐候性塗料は、一般的な室内用塗料よりも価格が高くなる傾向があります。
このため、業者が使用する塗料に基づいた設計単価が公表されているかどうかをチェックすることが重要です。
多くの業者は、ホームページやカタログに塗料ごとの設計単価を掲載していることが多いので、まずはこれらを確認するようにしましょう。
また、業者に直接問い合わせて、具体的な塗料の種類やその特徴、設計単価に含まれる内容を詳しく確認することもおすすめです。
これにより、透明性のある契約ができ、後々のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
まとめ
塗装工事の設計単価とは、塗装工事を行う際に必要な1平方メートルあたりの費用のことです。
塗料の費用と人件費を合わせたもので、塗料メーカーが各塗料に対してこの単価を設定し、施工価格の参考にできるように公表しています。
業界独特の用語である設計単価は、素人には理解しづらいものです。
そのため、過去に塗装工事を依頼した際に、設計単価がよくわからず放置してしまった人も多いでしょう。
しかし、無知を利用して法外な工事費を請求する業者がいるため注意が必要です。
業者による詐欺は頻繁に報じられていますが、利用者の注意で防げることが多いです。
わからない用語に出くわした際は質問する習慣を身につけることで、透明性のある契約ができ、安心して工事を依頼できます。
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