日本の夏の気温は、昔よりも最高気温が上がってしまい、35℃から40℃も当たり前の時代になってしまいました。
近年、日本に限らず世界では温暖化や自然災害などが多発していて、サステナビリティが危ぶまれている時代です。
地球をこれからも住み良い環境にしていくために、ESGが注目されています。
こちらの記事では、ESGとは何か、注目されている背景、建築業がESGに取り組むメリットについて詳しく解説していきます。
ESGとは
環境と社会、ガバナンスを英語にした時の頭文字を取ったものがESGです。
日本人が初めてこの言葉を見ても、しっかりとした意味まではよくわからない方も多いかもしれません。
今後の地球環境なども踏まえて国や企業が成長するためには、環境と社会、ガバナンスが大切だと言われています。
自国や自社だけの利益を追求するのではなく、ESGの観点で貢献することも重要だと認識されています。
ESGの必要性
世界の中で環境としては公害問題や地球温暖化現象、社会では人権問題や労働問題、ガバナンスでは企業統治の問題などが課題です。
投資先として、これらの取り組みに力を入れている企業を重視することも必要だとも言われています。
今後の世界のためにESGへ積極的に取り組むことで、消費者や投資家からの支持が増え、投資面や販売などで有利になってくるでしょう。
現時点の企業としての売上や財務状況だけでは見えてこない企業価値が、ESGを通してわかってきます。
ESGの3要素
ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素から成り立っています。
ここからは、この3つについて詳しく解説していきます。
環境(Environment)
今世界中で増え続けている二酸化炭素の排出量を減らす、排水の水質の改善するなどの環境問題に取り組むなどが環境の要素に入ります。
ほかにも、海洋中のマイクロプラスチックなどの問題や再生可能エネルギーで環境に優しいものを使いましょう、などと改善に力を入れる取り組みも当てはまります。
社会(Social)
世界を見渡してみると、まだ男性と女性でも不平等な部分があるため、適正な労働条件のもと働けるようにする改善が当てはまります。
ほかにも、児童労働問題なども社会の要素に入ります。
ガバナンス(Governance)
企業内での不祥事の回避やリスク管理のための法令遵守などがガバナンスに該当します。
SDGsとの違い
似た言葉にSDGsがあり、ESGと何かが違うのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。
SDGsは、企業など関係なく国や地方団体なども皆が取り組む持続可能な目標になります。
対してESGは、企業として貢献して取り組む目標です。
企業が顧客や株主、地域などへ配慮しましょうと考えられているもので、行動することで長期的な成長にもつながるとされています。
ただ、両者には違いがあるものの、ESGを達成していけば同時にSDGsの達成につながっていくため、まったく関係のないもの同士ではありません。
SRIとの違い
ESGに似た言葉にSRIがありますが、意味は異なります。
社会や環境、ガバナンスの意味を持っているESGに対して、SRIは倫理の意味を持ちます。
SRIは、経済状況とは関係のない面で、社会的倫理的な価値観を見て投資先を選んで投資するため、金銭面の利益はありません。
社会企業への応援や期待を込めて投資させたものを指します。
ESG投資の場合は、社会と環境への取り組みを行うことで、結果的に企業としての利益を生むため、まったく何もないわけではありません。
金銭面的な利益の部分で、意味合いが違ってきます。
環境問題、企業のリスク管理に関する記事はこちら
ESGが注目される背景
今ESGが注目されている背景には、これまでの経済活動を通して環境や社会、ガバナンスの面で悪影響も大きくあるとわかったためです。
経済活動を優先してより良いものを製造していても、二酸化炭素の排出量が多く森林の伐採が増え、環境が良くないものになっているケースもあります。
自社の利益ばかりを考えた活動をしてしまうと、今は企業としてやっていけても社会への悪影響があれば長く成長することは困難です。
投資する側も、企業として環境や社会に貢献しているのかどうかを見て決めています。
今後も投資を獲得するためには、ESGの取り組みが大切です。
実際2006年に国連で責任投資原則を発表していますが、世界の機関投資家も関わっているためESGは重視されています。
ESG投資とは
ESG投資とは、環境や社会、ガバナンスの観点から企業を評価して投資を行うことです。
近年ではESGの観点で企業を評価して分析を行うESG投資手法が取り入れられていて、しっかりと貢献している企業が投資を受けやすくなっています。
ESG投資の種類
環境や社会、ガバナンスの観点で分類すると、その種類は7つに分かれます。
ここからは、ESG投資の種類について詳しくご紹介していきます。
ネガティブ・スクリーニング
主に、たばこやポルノ、ギャンブル、アルコールをはじめ、武器や原子力発電、化石燃料など、特定の業界は排除する方法です。
最近では地球の環境を破壊する企業なども排除の対象になっています。
古くからある手法で、今でも投資の一つの方法として使用されています。
ポジティブ・スクリーニング
環境や社会、ガバナンスの観点から見ても評価が高い企業に投資をすることを、ポジティブ・スクリーニングと言います。
始まりは1990年に欧州で行われた手法で、ESG評価が高いのであれば今だけでなく長期的に高い業績も見込めると投資されやすくなるのです。
テーマごとに基準が設置されていて、スコアが高いものがポジティブ・スクリーニングに選ばれます。
国際規範スクリーニング
国際規範を参考にしながら、基準を達していない企業は投資対象から外す方法です。
歴史としてはまだ新しい方法で、さまざまな定めるルールがあります。
投資家が選んだ規範ごとにスコアを出していき、総合的に達していない企業を投資から排除するパターンもあります。
ESGインテグレーション
これまでの財務情報だけでなく、一緒にESGの情報も加えて判断していく方法です。
最近の投資家には、この方法が広く使われています。
長期的に資金を運用する場合にも、財務情報と一緒にESGの情報もチェックする方法が利用されています。
判断基準は明確に決まっていないため、投資家の考えが基準です。
エンゲージメント・議決権行使型
投資家たちとの関わりが重要になる方法です。
株主としての立場から企業のESGへ働きかけます。
投資先企業と意見が合わないこともあり、委任状争奪戦に発展することもあることから、昔はあまり良い方法とはみなされていませんでした。
しかし、最近では株主の責任として行使することも求められるようになり、使われるようになってきました。
インパクト投資型
比較的小さめの企業への投資方法で、社会や環境に対する技術などを提供する企業を応援しようと投資先に選ぶ方法でもあります。
財務よりも社会や環境へいかに貢献しているのかに注目される場合と、財務も同じくらい見られるパターンがあります。
サステナビリティ・テーマ投資型
地球の環境に貢献したいと、サステナビリティに力を入れている企業に投資する方法です。
再生可能エネルギーや持続可能な農業などのプロジェクトへ投資します。
サステナビリティに関する記事はこちら
建築業がESG経営に取り組むメリット
建築業がESG経営に取り組むと、どんなメリットがあるのか気になっている企業も多いのではないでしょうか。
ここからは、メリットについていくつかご紹介していきます。
企業イメージの向上
ESG経営に取り組めば、積極的に環境や社会に貢献していると捉えられて企業のイメージが向上します。
何も取り組みをしていない企業と比べた時、しっかりと環境などにも貢献しているからと投資先に選ばれやすくなります。
財務状況も安定しやすくなるでしょう。
人手不足の解消
外国人の雇用をはじめ、女性や高齢者などさまざまな多様な人材を受け入れられるように推進していけば、人手不足も解消できます。
さらに、ESGの取り組みで皆が働きやすくなり、大切な従業員が長く働いてくれるようにもなります。
生産性向上
紙資源を削減する取り組みを行うのもESGの中に入りますが、しっかりと企業として取り組めば生産性の向上にもつながります。
ダイバーシティの取り組みも行えば、働きやすくなりパフォーマンス性も上がります。
労働者の問題に関する記事はこちら
建築業がESG経営を導入するためのステップ
ESG経営を導入するためには、ステップがあります。
ここからは、どのように導入していけば良いのか、手順について解説していきます。
ステップ1 ESG課題と自社の関連性を整理する
自社で目標としていること、理念やビジョンとマッチするESGの課題を整理しましょう。
取り巻く環境を分析し、課題リストなども作成すると整理しやくなります。
ステップ2 経営者・実務担当者の役割を明確にする
おおまかにではなく、経営者と実務担当者は何をすべきか役割を全うすることが重要です。
取締役はESG課題への取り組みを監督し、モニタリングすることも重要です。
ステップ3 目標値を設定し、達成までの取り組みを決める
具体的な目標値の指標を決めて、達成までのロードマップを決めていきます。
バックキャスティングでロードマップを描き、実際に取り組んでいきます。
ステップ4 結果を測定する
PDCAサイクルを回しながら取り組みを行い、課題がある場合はその都度見直し結果も測定していきます。
ステップ5 ESGレポートを作成し、開示する
投資家にどんな風に取り組んでいるのかわかってもらえるように工夫したレポートを作成し、開示します。
企業にとって良い影響を与えられるようなレポートにすることが大切です。
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まとめ
ESGは環境、社会、ガバナンスから成り立っていて重要な要素として投資家にも見られています。
建築業でもESG経営に取り組めば、さまざまなメリットを生みます。
ぜひ投資家を得て企業イメージの向上や人材不足の解消を行うためにも、取り組んでいきましょう。
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