「集客のためには、自社を積極的に売り込む必要がある」という認識は誰しもあるのではないでしょうか。しかし、消費者の行動をターゲットにマーケティング活動を行う場合もあります。
今回はこのようなマーケティング活動を意味する「インバウンドマーケティング」に関して、詳しく解説します。
目次
インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングとは、一言で言えば「顧客から能動的に来訪してもらう方法」です。
インターネットの発達によって、誰でもどんな情報でも調べられるようになりました。
欲しい商品があれば用意されたサイトまで行って詳細を確認しにいくことができますし、気になるサービスがあれば、そのサービスを利用したことのある顧客の書くブログを見に行って使用感を調べることが可能ですよね。
このように、顧客が欲しい情報は顧客自身が能動的に手に入れられるようになったのです。
そして、企業は顧客が興味を引くであろう情報をウェブサイト、ブログ、広告など様々なコンテンツを通じて提供し、顧客とのつながりを作るマーケティング手法がインバウンドマーケティングです。
アウトバウンドマーケティングとの違い
アウントバウンドマーケティングは、インバウンドマーケティングの対比として名前を挙げられる手法で、「従来の方法」と紹介されるケースの多いマーケティング手法です。
インバウンドマーケティングとは対照的で、「企業のほうから顧客にアプローチをかける方法」です。
従来、顧客が自分から情報を集めることが難しかった時代には企業のほうから顧客に積極的に情報提供するしかありませんでした。
新聞広告やダイレクトメール、テレアポなどです。現在も商材や使い時によって有効に働くこともありますが、多くの場合アウトバウンドマーケティングは非効率です。
顧客にとっても、必ずしもほしくない情報を送り手(企業)の都合で見せられる事も多く、送り手の企業が顧客から嫌われるケースが発生していました。
顧客が自分で情報を仕入れられるようになった現在では尚更です。
なぜインバウンドマーケティングが必要なのか
先ほどお伝えしたように、時代背景としてインバウンドマーケティングが求められているという現状があります。
それ以外に、「潜在顧客を推奨者にする」ということもインバウンドマーケティングの大きな目的です。
推奨者を作るインバウンドマーケティングの方法
インバウンドマーケティングを考案した米国ハブスポット社は、インバウンドマーケティングを「未来の顧客を見つけられる方法」と定義し、以下のようなアクションを分類しています。
ハブスポット社は顧客へのアクションを4つの段階に分類しています。
- 検索エンジンなどからサイトやブログに訪問してもらう
- PDF化した文書のダウンロードや問合せフォームへの入力を通じて、プロフィールやメールアドレスを提供してもらい「リード(見込み客)」になってもらう
- それぞれのリードにマッチするメルマガやコンテンツの提供を通じて企業や商品、サービスを理解してもらい購入してもらう
- 満足度が高まり、友人に商品やサービスを推薦してくれたり、ブログで紹介してくれたりする「推奨者」になってもらう
顧客と企業が密接な関係を築くことで企業の成長を図るという意味では、エンゲージメントの構築にも近いかもしれません。
エンゲージメントに関する記事はこちら
インバウンドマーケティングが向いている企業は?
では、インバウンドマーケティングが向いているのは、どのような企業なのでしょうか。
この章では、インバウンドマーケティングに向いている企業を2つの観点からご紹介します。
- 購入までの検討時期が長く、購入を即決できない商品・サービスを扱う企業
- 他社が持っていない独特な商品・サービスを扱う企業
購入までの検討時期が長く、購入を即決できない商品・サービスを扱う企業
購入までの検討時期が長くなる商品・サービスは、高価であったり長期的な利用が想定されていたりして、顧客が購入の決断に慎重になっています。
そんな時、顧客は必ずメディアを活用します。競合他社と合わせて複数検討していたり、ブログなどを見て使用感の善し悪しやその企業を信用していいかどうかを長い目で見定めています。
企業が発信しているコンテンツを通じて、顧客を信用させるためにはインバウンドマーケティングを活用する必要があります。
他社が持っていない独特な商品・サービスを扱う企業
独自性の高い商品・サービスは、それだけでコンテンツとして強い存在感を発揮できます。
その商品がなぜ開発されたのか、開発者やスタッフの想い、独自の技術など、ユニークな話題を通じて顧客の興味・関心をそそる事ができます。
企業の想いを顧客が汲み取ってくれれば、他社よりも容易に推奨者を作り出すことができます。
インバウンドマーケティングの事例 5選
ここからは、実際の現場でインバウンドマーケティングを行い、成功した事例をご紹介します。
コンテンツマーケティングを活用した集客事例
インバウンドマーケティングを行うための手法に「コンテンツマーケティング」があります。顧客がまだ自社を認識していない時期に、ブログやウェブサイトなど様々なコンテンツを用いて見込み客にしていくための手法です。
成功事例01
freee株式会社
動画やスライドによる製品解説のほか、導入事例の紹介ページ、スタッフブログ、代表者ブログなどのコンテンツを配信。
TwitterやFacebook、公式YoutubeチャンネルなどのSNSも積極的に利用中。単なる商品紹介に留まらず、潜在顧客やリードを惹きつけることに成功。2013年のリリース以降、すでに30万以上の事業所でシステムが導入されています。
成功事例02
アイリスオーヤマ
主婦向け情報サイト「アイリス暮らし便利ナビ」を開設し、レシピや家事に関する情報を提供。企業による情報提供だけでなく、ブロガーによる連載記事やサイト会員からのクチコミ情報投稿など、ユーザー参加型のコンテンツを配信。ECサイト「アイリスプラザ」への誘導で契約数を伸ばしています。
成功事例03
Birch Box
海外のベンチャー企業であるBirch Boxは、創業当初からブログを運営。1日3本ペースで記事を投稿し、美容品やコスメを販売する企業ですが商品紹介は行わず、肌ケアや化粧品の選び方などユーザーの困りごとを解消することを記事にしました。結果、創業2年で会員数10万人を突破し、売上は7億円を達成しています。
成功事例04
キリン株式会社
キリン株式会社は、「キリンレシピノート」というコンテンツを通じてインバウンドマーケティングを試みています。キリンレシピノートには、キリン社が販売するビールや紅茶などに「よく合う食べ物」やそのレシピが紹介されており、キリン社の商品そのものの宣伝などはほとんど行われていません。
キリンレシピノート自体に毎月20万~30万のアクセスがあるので、そこから商品情報に流入するケースもありますが、キリンレシピノートを通じてファンを増やし店頭での販売数を増やすことが目的になっています。
SNS(Facebook、Twitterなど)を活用した事例
顧客との関係性を作り出し、見込み客を「ファン」にしていく手法としてSNSが活用されるケースは多くあります。FacebookやTwitterはもちろんのこと、Instagramもかなり定番になってきました。SNSは企業の「企業色」を薄れさせ、見ている人と近しい「個人」の印象を与えやすいことからも、利用する企業は多いようです。
成功事例05
土屋鞄製造所
土屋鞄製造所は、ブログをつくるとともにFacebookページを開設。写真での商品紹介、革製品の使い方提案などのブログ記事を掲載している公式サイトと連動させた他、つぶやき投稿をした結果、公開初年に28万人以上のファンを集め、公式ホームページへの流入を数多く生み出しています。
様々な事例に関する記事はこちら
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まとめ
インバウンドマーケティングが流行する背景には、競合の増加や顧客の減少による「ただ売るだけで良い時代」の終わりがあるのかもしれません。
自社の強みを理解し、それが誰のファンになりえるのかをしっかり分析してインバンドマーケティングを行いましょう!
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