経営の現状把握や課題発見、戦略立案には、正確かつ効率的な経営分析が欠かせません。
そこで注目されるのが経営分析ツールやソフトの活用です。
これらを使うことで、膨大なデータの整理や可視化がスムーズになり、意思決定のスピードと精度が格段に向上します。
本記事では、初心者にも使いやすいおすすめの経営分析ツールを4つ厳選し、それぞれの特徴やメリット、さらに選び方のポイントまでわかりやすくご紹介します。自社に最適なツール選びの参考にぜひご活用ください。
経営分析とは?
経営分析とは、売上高や賃借対照表など、さまざまなデータをもとに自社が置かれた立場を調べていくことを指します。
実際に会社を経営していくと、自社の経営状況を示すデータが積み重なっていきます。
こうしたデータをフレームワークなどを活用して、自社の状況を明確にすることが経営分析です。
経営分析の目的
経営分析の目的は、自社が今立てている目標とのギャップを探ることにあります。
例
- 目標:売上高を伸ばす
- 現在の状況:現在の売上高は低下していたとします。
目標とのギャップが大きい
今までの方法を採用し続けているだけでは、目標の達成は不可能 =どこが問題で売上高は伸びないのか、といったことを経営分析によって洗い出せば経営状況を良くすることができます。
経営分析の指標
経営分析行う上での指標は、業界によって異なります。
たとえば、収益性に大きな差がある飲食業界と建設業界で採用すべき指標が同じになるとは限りません。
また、業界だけでなく、会社規模でも大きく変わります。
正しい指標で経営分析を行う為には、業界や規模が違い企業を参考にすると良いでしょう。
また、経営分析を行う上では、収益性や成長性などの指標を導入すべきとされています。
かといって、それらを鵜呑みにするのではなく自社がどういった目標を立てているかを踏まえながら指標を選ぶべきです。
たとえば、一時的な収益を犠牲にしてでも会社を成長させることを重視するといった目標を立てているならば、成長性の指標を重点的に分析したほうが良いでしょう。
経営分析に関する記事はこちら
エクセルでの経営分析の課題
エクセルは汎用性も高く、多くの企業で経営分析に使用されてきました。
実際、エクセルを使ったデータ分析をすることで業績を伸ばしたという企業もあります。
しかし、エクセルで経営分析をすることで、不便に感じる点も多々あります。
この章では、エクセルで経営分析を行う際の課題をご紹介します。
エクセルでの経営分析の課題
- 人的ミスの発生率が高い
- 複数人での同時作業が困難
- 属人化する傾向にある
人的ミスの発生率が高い
エクセルは誰もが一度は使ったことのあるツールなので、使いやすさでいえば他のツールよりも上でしょう。
しかし、膨大なデータを処理するうえでのチェック機能が搭載されていないという難があります。
そのため、ここはこのような数字を入力すべきなのに、間違って違う数字を入力してしまったというミスが発生してしまいかねません。
複数人での同時作業が困難
経営分析を一人で行うのは大変でしょう。
そのため、複数人で同時作業できるような体制を整えたほうが良いです。
厳密にいうとエクセルでも同時作業を行うことはできます。
しかし、そのためには複雑な操作を行わなければいけないのでやや手間です。
最初から複数人で経営分析を行うつもりならエクセルは使用しないほうが良いでしょう。
属人化する傾向にある
エクセルは自分でテンプレートを作ってデータを処理できるのが魅力的なツールです。
一方で、テンプレートを作った人にしか理解できないファイルに仕上がってしまいがちな難点も抱えています。
たとえば、担当者が変わって、かつて使っていたファイルをもとに新たに経営分析を行ったとしましょう。
となると、一からエクセルの使い方を学びながら仕事に慣れるための手間がかかるという羽目になりかねません。
このように、エクセルは属人化と呼ばれる現象が起きやすいというデメリットがあります。
属人化に関する記事はこちら
経営分析ツール・ソフトを導入するメリット
経営環境が複雑化する中、データに基づいた意思決定の重要性がますます高まっています。
従来の経験や勘に頼る経営から、数値で現状を把握し、戦略を練る「見える化経営」へとシフトする企業が増加中です。
こうした背景のもと、多くの企業が注目しているのが「経営分析ツール」の導入です。
ここでは、導入によって得られる主なメリットを3つの視点からご紹介します。
経営分析ツール・ソフトを導入するメリット
- 経営判断の質とスピードが向上する
- 業務効率が改善され、人件費や手間が削減できる
- 経営課題の早期発見と改善策の立案がしやすくなる
経営判断の質とスピードが向上する
経営分析ツールを導入することで、売上やコスト、利益などの各種データをリアルタイムに可視化できます。
手作業による集計や報告に比べて、タイムラグなく正確な情報を得られるため、経営陣はスピーディーかつ的確に意思決定を行えるようになります。
また、部門ごとの分析やトレンド把握も容易になり、変化の早い市場環境にも柔軟に対応できるのが大きなメリットです。
業務効率が改善され、人件費や手間が削減できる
従来、経営データの集計や分析はExcelなどで手作業に頼るケースが多く、膨大な時間と人的リソースを消費していました。
経営分析ツールを活用すれば、データの自動収集・グラフ化・レポート作成が可能となり、業務負担が大幅に軽減されます。
その結果、管理部門の工数削減や業務の効率化が図れ、間接コストの削減にもつながります。限られた人材でも質の高い経営管理を実現できます。
経営課題の早期発見と改善策の立案がしやすくなる
経営分析ツールを活用することで、売上の推移や利益率の変化、部門別の業績などを一目で確認できます。
こうしたデータを元に、経営上の課題やボトルネックを早期に特定することが可能となります。
問題が顕在化する前に先手を打つことで、業績悪化のリスクを抑えられるだけでなく、データに基づいた改善施策の立案・実行にもつながります。中長期的な成長戦略の策定にも大きく貢献します。
【無料】おすすめ経営分析ツール
先ほどはエクセルでも経営分析は可能なものの、いざ導入すると使いづらいという話をしました。
最近では経営分析に特化したツールも多数リリースされています。
ここからはまず無料のツールに限定していくつか紹介していきましょう。
経営自己診断システム

『経営自己診断システム』は決算書の中にある必要事項を入力しさえすれば、無料で経営状況を分析してくれるサイトです。
複雑な計算や煩瑣な数字の入力などは必要ではありません。
そのうえわかりやすい形で分析を提示してくれるので、まずはこちらのサイトを使ってみるのもいいでしょう。
特徴・利点
- 簡単・無料で利用可能
- 多角的な診断項目
- 具体的な改善提案・アドバイスが得られる
診断項目 | 総合分析、個別指標分析、倒産リスク分析 |
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運営会社 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 |
財務診断サービス

財務診断サービスは日本政策金融公庫が提供している無料の分析ツールです。
こちらでは4年分の決算データを入力しなければいけません。
やや煩瑣ではありますが、その分分析内容も緻密になってきます。
特徴・利点
- 無料で利用可能
- 簡単な操作で財務分析が可能
- 診断結果のフィードバック
診断項目 | 財務診断、経営シミュレーション |
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運営会社 | 日本政策金融公庫 |
ke!san

ke!sanは収益性や安全性などといった経営分析をするうえでは欠かせない各指標の計算をしてくれるサイトです。
経営分析をしようと思うけれどどうやれば良いかわからないという方は、まずこちらを頼ってみると良いでしょう。
特徴・利点
- 多彩な計算ツールを無料で提供
- ユーザー参加型のコンテンツ
- グラフ作成機能の搭載
診断項目 | 財務、金融、土地建物、飲食店の経営指標、その他 |
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運営会社 | カシオ計算機株式会社 |
【有料】おすすめ経営分析ツールおすすめ4選
先ほど紹介してきたのは無料でありながらクオリティの高い分析を提供してくれるツールです。
一方で無料ですから細かい分析を行ってくれないという難点もあります。
より精密な分析を求める場合は、有料のツールに頼ると良いでしょう。
サービス名 |
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建築業向け管理システム アイピア | FineReport | Loglass | スピーダ | |
機能 | 見積作成、原価発注管理、工程管理・・・その他 | 帳票設計・運用、データ統合、BIダッシュボード・・・その他 | 予算・見込み収集、実績投入、データ加工・分析・・・その他 | 企業情報、業界情報、ニュース・・・その他 |
初期導入費用 | 要お問合せ | 要お問合せ | 要お問合せ | 要お問合せ |
保守/更新 費用 | 要お問合せ | 要お問合せ | 要お問合せ | 要お問合せ |
無料版 体験版 | あり | あり | あり | あり |
【提供形態】 対応OS | 【クラウド型】 Windows/ios/mac ※推奨:Chrome | 【クラウド型】 Windows/mac ※推奨:Chrome | 【クラウド型】 要お問合せ | 【クラウド型】 Windows 10/11 ※推奨:Chrome,Firefox,Edge |
サポート 体制 | 電話対応、メール対応、リモートサポート | セミナー/説明会/講習、サポートサイト | セミナー/説明会/講習、サポートサイト | 要お問合せ |
運営会社 | 株式会社アイピア | 帆軟 (Fanruan)ソフトウェア株式会社 | 株式会社ログラス | 株式会社ユーザベース |
※プラン・製品・提供会社によって、IT導入補助金の対象外になる可能性がございます。補助金の利用をご検討の場合は、必ず製品の提供会社にご確認いただく様お願い申し上げます。
参照:ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2025
【クラウド型】建築業向け管理システム アイピア
『建築業向け管理システムアイピア』は、建築業に特化した業務管理システムです。
累計導入実績は350社で、継続率は98%です。
見積作成はもちろん、顧客管理や入金管理、原価管理等様々な業務を一括で管理できます。
見積りを基に原価計算から発注までを処理できるため、業務時間が短縮され、入力ミスや発注漏れなどを減らすことができるでしょう。
また、使いやすい操作性のため、ITに慣れていない人でもスムーズに利用できます。
クラウド型でインターネットの環境があればどこでも使用できますので、パソコンが新しいバージョンに変わっても問題なく利用できます。外出先や支店など、どこにいても情報を確認できます。
システムの特徴・利点
- 過去に作成した見積書の検索・見積単価表の作成が簡単にできる!
- 見積の情報はもちろんのこと、業務に関する情報を一元管理できる!
- 申告・承認機能でミスを防ぐ!
- アイピアの見積は5階層まで対応!工事の規模を問わず見積を作成可能!
- 見積書をエクセルデータからコピー&ペーストで登録できる!
機能 | 見積作成、原価発注管理、工程管理、書類・写真管理、顧客管理、営業進捗管理、請求管理、入金管理、帳票作成、現場日報管理、物件管理、労務管理、在庫管理、その他 |
---|---|
初期導入費用 | 要問合せ |
保守・更新費用 | 要問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | ・Windows ・ios ・Mac |
サポート体制 | 電話対応 メール対応 リモートサポート リモート研修 サポートサイト |
運営会社 | 株式会社アイピア |
【クラウド型】Loglass
『Loglass(ログラス)』は、企業の経営管理業務をクラウド上で一元化するシステムです。
予算や実績データをExcelや会計ソフトから自動で収集・統合し、ワンクリックで予実比較や多角的な分析ができます。
導入により、数日から数週間かかっていた集計作業が数分に短縮され、意思決定のスピードと精度が向上します。
作は表計算ソフトに似た直感的な画面で、組織や科目の変更も簡単に行えます。
クラウド環境で多拠点共有が可能なうえ、AIやERPとの連携で高度な経営判断も支援できる点が大きな利点です。
システムの特徴・利点
- データがすぐに集まる
- 機能が豊富
- 簡単に経営状態が把握できる
機能 | 予算・見込み収集、実績投入、データ加工・分析、経営会議・意思決定、その他 |
---|---|
初期導入費用 | 要お問合せ |
保守・更新費用 | 要お問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | 要お問合せ |
サポート体制 | セミナー/説明会/講習 サポートサイト |
運営会社 | 株式会社ログラス |
【クラウド型】FineReport
FineReport(ファインレポート)は、中国のビッグデータ企業である帆軟(Fanruan)ソフトウェア株式会社が提供する、BIツールです。
中国を含む国内外で15,000社以上の企業が導入しており、実績が豊富なため安心して利用できます。
直感的な操作でデータを可視化・分析でき、初めて利用を検討する企業にも使いやすいでしょう。
さらに、データ統合、帳票設計・運用、データ入出力、管理ポータルといった企業でのデータ管理に必要な機能がFineReport1つに集約されているのも魅力です。
システムの特徴・利点
- データの統合が簡単
- リアルタイムな反映
- データが見やすい
機能 | 帳票設計・運用、データ統合、BIダッシュボード、可視化グラフ、データ入力・出力、管理ポータル、モバイルBI、デプロイ統合 |
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初期導入費用 | 要問合せ |
保守・更新費用 | 要問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | ・Windows ・mac ※推奨ブラウザ:Google Chrome |
サポート体制 | セミナー/説明会/講習 サポートサイト |
運営会社 | 帆軟 (Fanruan)ソフトウェア株式会社 |
【クラウド型】スピーダ
『SPEEDA(スピーダ)』は、世界200か国以上・560業界以上の企業・業界情報を一元管理できる経済情報プラットフォームです。
豊富なレポートや企業データ、ニュース、M&A情報を提供し、調査や分析作業を大幅に効率化します。
多くの導入企業が調査時間の削減と戦略精度の向上を実感しています。
操作は直感的で使いやすく、誰でも簡単に必要な情報を検索・分析可能です。
さらにAIによる分析支援や専任コンサルタントのサポートもあり、経営判断や営業活動の効率化に役立ちます。
システムの特徴・利点
- 業界やトレンドがすぐにわかる
- 特許などがすぐにわかる
- すぐに企業リストが抽出できる
機能 | 企業情報、業界情報、ニュース、専門家に直接質問、現地アナリスト作成コンテンツ、カスタマイズドリサーチ、その他 |
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初期導入費用 | 要お問合せ |
保守・更新費用 | 要お問合せ |
無料・体験版 | あり |
対応OS | Windows 10/11 ※推奨ブラウザ:Google Chrome、Firefox、Microsoft Edge |
サポート体制 | 要お問合せ |
運営会社 | 株式会社ユーザベース |
経営分析ツールに関するよくある質問
- 経営分析ツールの主な機能は?
-
財務指標の自動計算、売上・利益の推移分析、キャッシュフロー分析、業界平均との比較、課題抽出や改善提案などがあります。
- 経営分析ツールの導入メリットは?
-
以下のようなメリットがあります。
- 経営状況を客観的に把握できる
- 課題の早期発見が可能
- 経営判断のスピードアップ
- 効率的な経営計画の策定が可能
- 経営分析ツールはどのような企業に向いていますか?
-
中小企業から大企業まで幅広く利用可能ですが、特に経営の見える化や改善に課題を感じている企業に効果的です。
- 無料で使える経営分析ツールはありますか?
-
はい。日本政策金融公庫や中小機構など公的機関が提供する無料ツールがあります。また、有料の高度な分析ツールもあります。
まとめ
経営分析ツール・ソフトは、データの一元管理や多角的な分析を可能にし、経営判断の質を高める強力なサポート役です。
今回ご紹介した4つのツールは、それぞれ操作性や機能面で特徴が異なるため、目的や予算、導入環境に合わせて選ぶことが重要です。
自社の経営課題や目標を明確にし、必要な分析機能を見極めて、最適なツールを導入しましょう。
適切なツールを活用して、経営の見える化と成長戦略の実現に役立ててください。
建築業向けの管理システム「アイピア」
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
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