どんな会社にとっても優秀な人材を採りたいと思うものでしょう。
しかしながら、建設業は残念なことになかなか人が集まりづらい業種です。
優秀な人材が来ないだけでなく、そもそも求人票を出しても一人も募集してこないということも珍しくありません。
こういった状況の中でどうすれば採用をうまく進めることができるのでしょうか。
採用難が続く建設業の現状
まずは、いかに建設業の採用が難しいかを具体的な数字をもとに見ていくこととしましょう。
建設業の有効求人倍率
厚労省が2023年に公表したところによると、建設業全体の有効求人倍率は5~6倍だそうです。
これは求人が5件あったとしたら、一人しか募集してこないということを意味します。
業界全体の有効求人倍率が1.34倍であることを踏まえると、圧倒的に人手が足りていない状況と言わざるを得ないでしょう。
建設業が採用難に陥る理由は?
先ほどは建設業に応募が来ないという実態を数字を踏まえて見てきました。
こういった事態は今に始まった話ではありません。
そもそも建設業は人材がやってこない業界として知られています。
では、なぜこういった採用難が起こるのでしょうか。
若者離れ
かつては建設業というと体力に自信がある若者が稼ぐ仕事というイメージがありました。
たとえば、戦後間もない頃や高度経済成長期などは公共工事が多かったこともあって、多くの若者が建設業に従事していました。
しかしながら、サービス業が主な第三次産業が台頭するようになると建設業から離れる若者が増えていきます。
サービス業はより多くの利益が生まれる分給料が高くなる業種です。
一方で、建設業はサービス業に比べてなかなか給料が上がりづらい業種であり続けてきました。
こういった理由で建設業界に若者が近寄りづらくなっています。
離職率の増加
建設業界は、せっかく雇った人がすぐに離職していくという悩みも抱えています。
最近では働き方改革の一環で労働時間の見直しも進んでいますが、建設業の労働時間はどうしても流動的にならざるを得ません。
残業や休日出勤も珍しくなく、そのうえ労働内容もハードなので、仕事に慣れる前に辞めていく人も多くいます。
高齢化
若者がそもそも建設業に就職しなかったり、就職しても離職したりすることで顕在化するのが高齢化です。
各業界でこういった高齢化は進んでいますが、若年層がなかなか入ってこない建設業ではなおさら深刻な事態になっています。
3Kイメージ
建設業に人が集まらなくなった決定打として3Kイメージが根づいたことが挙げられます。
昭和の後期には3つの同じアルファベットを持った言葉でまとめる遊びが流行りました。
たとえば、「3高」や「3C」などは聞いたことがある人も多いでしょう。
この流れで、建設業界は「汚い・きつい・危険」の「3K」だ、と決めつけられてしまったのです。
最近では、危険な作業は機械に任せることが多くなっていますし、清潔な環境づくりを進める現場も多くなってきました。
とはいえ、一度ついたイメージを払拭するのはなかなか難しく、若者はいまだに建設業界は3Kと思い込んでいるのが現実です。
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建設業が採用力を高めるためのポイント
ここまで、建設業が採用にあたって抱えている問題を見てきました。
これらの課題を解決するためにはどうすれば良いのでしょうか。
ポイント1:労働環境を見直す
今はあらゆる労働者が労働環境に敏感になっている時代です。
たとえば、セクハラやパワハラなどといったハラスメントはすぐに告発されるか、離職にまでいたります。
また、現在企業に勤めている労働者や離職者などの口コミからどんな職場なのかといったことも漏れやすいです。
そのため、人を集めようと思うのならば、まずは風通しの良い労働環境を作るべきでしょう。
単純に適正な労働時間や有休などを確保するだけでなく、ハラスメント問題の相談所を設けるなど、今の時代のニーズに合わせた環境を作るべきです。
ポイント2:スキルアップ支援を整える
建設業の課題として、スキルアップの機会がないので給料が上がりづらいという問題があります。
そのため、労働者に積極的に資格を取ってもらえるような支援環境を整えるのは必須と言えるでしょう。
資格試験を受けるためには手数料を払う必要がありますが、こうした受験料の一部を負担することも有効です。
ポイント3:デジタル化に力を入れる
建設業界は旧態依然のアナログな労働環境で成り立っていることが少なくありません。
今の若い世代は学校でパソコンに関する知識を蓄えているのが当たり前なので、彼らのスキルを活かせるような環境を整備するようにしましょう。
会計や経理などをデジタル化するだけでなく、建設にまつわる図面や在庫管理なども積極的にデジタルにしていくべきです。
ポイント4:採用対象を絞る
とにかく人手不足を解消するために応募してくれた人は必ず採用するというような姿勢ではいけません。
資質を見極めないまま採用するとあっという間に離職するのがオチでしょう。
そのため、いかに応募が少なくても採用対象は絞ってすぐに離職しないような人材を探すのを優先すべきです。
たとえば、建設に関する専門学校を卒業した人材である場合や職業訓練を受けた人材に絞ると有益な採用につながりやすいです。
建設業の業務改善に関する記事はこちら
建設業におすすめの採用募集方法
これまで求人というと、たとえばハローワークや大学などに求人票を提出してそれを見てもらうというのが一般的でした。
しかしながら、こういった古典的な手法を続けるだけではうまく採用をすることはできません。
採用方法もこれまでとは違ったやり方を模索しないと、人手不足を解消するのは難しいでしょう。
そこで、ここからはこうすればうまく採用ができるという募集方法について紹介していきます。
建設業向けの採用サイトを利用する
さきほど採用対象は、もともと建設業に興味がある人に限定すべきだという話をしました。
そこで、活用できるのが建設業だけに求人を絞った採用サイトです。
こういったサイトにアクセスするような人はそもそも建設業に就職する気がある人に違いありません。
そういった方に向けて情報を公開すれば、企業に興味を持ってもらいやすくなり、より良い人材を採用できるようになるでしょう。
自社のサイトに採用ページを作成する
建設業に興味を持っているような人は、求人サイトだけでなく企業のホームページもあわせてチェックすることが少なくありません。
そういった人のための導線として、サイトに採用向けのページを作っておくことも必要でしょう。
できれば具体的にどういった条件で採用するのかを書いておくことも欠かせません。
採用にまつわる情報を公開しておけば、採用に関して前向きな企業だというイメージを与えることができます。
SNSを活用する
PRの一環でSNSのアカウントを登録している企業は多くあるでしょう。
もしSNSを継続して利用していて、一定のフォロワーがいるのならばここで求人を行ってみるのも良いかもしれません。
そもそも企業のアカウントをフォローしているような人は、その企業に対して関心があるはずです。
仮にそのフォロワーが求人に募集するつもりがなかったとしても、リツイートをはじめとした拡散機能で情報がほかの人に行き渡る可能性もあります。
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まとめ
建設業の求人に応募してくる人が少ない理由は複数あります。
それらの問題を一挙に解決するのはなかなか難しいと言わざるを得ません。
中にはすぐには解決するのが難しい問題もあるでしょう。
しかしながら、建設業にまつわるイメージを一新するのは戦略次第ではすぐに実行できることです。
たとえば、斬新な求人PRを打ち出すことで、建設業は古いというイメージを抱いていた人の固定観念を覆すことができるでしょう。
こういった変化は業界全体の変化につながっていくはずです。
建設業の人手不足は昔からだから、あきらめるのではなく、あの手この手で対策を打ち出して現状を打破するようにしましょう。
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