予材管理という言葉をご存じでしょうか?
予材管理とは、営業目標を達成するために、将来の売上につながる案件や顧客を「見込み」「仕掛り」「白地」に分けて管理し、必要な営業材料を先回りして確保する営業マネジメント手法です。
予材管理は、営業コンサルタントの横山信弘氏が提唱した営業マネジメントの考え方として知られています。
営業活動では、受注を見込んでいた案件が失注したり、商談が長期化したりするなど、計画通りに売上が積み上がらないことがあります。そこで、現在の売上だけを見るのではなく、将来の売上につながる案件をあらかじめ十分に確保しておくことが重要になります。
この記事では、予材管理とは何か、予材管理の3要素、具体的な進め方、メリット、注意点について詳しく解説します。建設業や工務店、リフォーム会社など、案件ごとの受注管理が重要な企業にも活用できる考え方です。
予材管理とは?

予材管理とは、将来の売上につながる営業案件や顧客を計画的に管理し、営業目標の達成に必要な予材を先回りして確保する営業マネジメント手法です。
ここでいう「予材」とは、将来的に売上につながる可能性がある営業案件や顧客など、これからの受注につながる営業材料を指します。
予材管理では、現在の受注状況だけを確認するのではなく、これから受注につながる可能性がある案件を「見込み」「仕掛り」「白地」の3つに分類して管理します。
予材管理の基本的な考え方として、売上目標に対して2倍の予材を用意するという原則があります。
営業活動では、すべての案件が受注につながるわけではありません。失注や商談の延期、予算変更などが発生する可能性があるため、目標金額と同程度の案件しかなければ、予定外の失注によって目標を下回ることがあります。
そこで、目標を上回る量の予材を確保し、一部の案件が受注できなくなっても目標達成を目指せる状態を作っておくのが予材管理の基本的な考え方です。
ただし、2倍という数字をすべての企業・営業組織にそのまま当てはめればよいというわけではありません。自社の成約率や平均受注単価、営業サイクルなどを踏まえて、必要な予材量を考えることも重要です。
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予材管理で確認する3つの要素
予材管理では、予材を大きく「見込み」「仕掛り」「白地」の3つに分類して管理します。
3つは受注までの距離がそれぞれ異なります。そのため、営業担当者は案件の状態に応じてアプローチを変えながら、白地を仕掛りへ、仕掛りを見込みへ、見込みを受注へと進めていくことが重要です。
見込み
見込みとは、受注の可能性が高く、近い将来に売上につながることが期待できる案件です。
たとえば、顧客との商談が進み、提案内容や金額について具体的な話ができている案件などが該当します。
見込み案件は目標達成に直結しやすい一方、見込みだからといって必ず受注できるとは限りません。顧客の事情による延期や競合への流出なども考えられるため、受注に向けたフォローを継続することが重要です。
仕掛り
仕掛りとは、商談や提案などが進んでいるものの、まだ受注が確定していない案件です。
問い合わせ後の商談、現地調査(現調)済みの案件、見積提出済みの案件、プラン提案中の案件などが該当します。
仕掛り案件では、受注を妨げている要因を確認し、次のステップへ進めることが重要です。
たとえば、予算調整が必要なのか、決裁者への説明が必要なのか、追加提案が必要なのかなど、案件ごとに課題を整理します。
白地
白地とは、まだ具体的な商談や受注にはつながっていないものの、将来的な営業対象となる顧客や案件を指します。
新規顧客だけでなく、過去に問い合わせや取引があった休眠顧客、今後提案できる既存顧客なども、営業活動の対象として考えられます。
建設業やリフォーム業であれば、過去のOB顧客や、定期点検・メンテナンスの時期を迎える顧客なども、今後の提案につながる営業材料として考えられます。
白地は受注までの距離が遠い予材ですが、将来の売上を作るためには欠かせません。
認知度を高め、顧客のニーズを把握し、商談や提案を重ねることで、白地を仕掛りへ、さらに見込みへと育てていくことができます。
予材管理の進め方
予材管理を実践するときは、案件を一覧にするだけではなく、目標から逆算して必要な予材を把握し、案件の状態に応じて行動することが重要です。
1.売上目標を設定する
まず、月間・四半期・年間などの売上目標を明確にします。
売上金額だけでなく、必要な受注件数や平均受注単価なども確認すると、どの程度の予材が必要なのかを考えやすくなります。
2.案件を3つに分類する
現在抱えている案件を、見込み・仕掛り・白地に分類します。
このとき、営業担当者の感覚だけで判断するのではなく、商談の進捗、顧客の予算、決裁状況、受注予定時期などの情報も確認しましょう。
3.目標に対して不足している予材を確認する
現在の予材を確認し、目標達成に対して案件が十分に確保できているかを確認します。
見込みが不足しているのであれば仕掛り案件を見込みへ進める、仕掛り自体が不足しているのであれば新たな商談を増やすなど、状況に応じて対策を考えます。
4.案件ごとの次の行動を決める
案件の状態を把握したら、それぞれに対して具体的なアクションを設定します。
- 見込み:受注に向けた最終確認・条件調整
- 仕掛り:商談を進めるための課題解消・追加提案
- 白地:訪問・電話・メールなどによる接点づくり
「案件がある」だけで終わらせず、「次に何をするのか」まで明確にすることが、予材管理を営業活動につなげるポイントです。
5.定期的に予材を見直す
予材は常に変化します。仕掛り案件が見込みになったり、見込み案件が受注になったりする一方で、失注や延期によって予材から外れることもあります。
そのため、定期的に案件情報を更新し、現在の予材が目標達成に十分か確認することが重要です。
予材管理を行うメリット
予材管理を取り入れることで、営業担当者だけでなく、営業マネージャーや経営者にとってもさまざまなメリットがあります。
売上を安定させやすくなる
予材管理では、現在の受注状況だけでなく、将来の売上につながる案件まで含めて管理します。
そのため、目標に対して案件が不足している場合も早い段階で把握できます。
見込み案件が少ない場合は仕掛り案件へのアプローチを強化し、仕掛り自体が少ない場合は新規顧客への営業活動を増やすなど、早めに対策を取ることができます。
営業上のリスクに備えられる
営業活動では、受注予定だった案件の失注や延期、受注金額の変更など、さまざまなリスクが発生します。
目標を上回る予材を確保しておけば、こうした不確実性が発生した場合でも、別の案件で不足分を補える可能性があります。
営業活動を可視化できる
営業担当者がどの案件を抱え、どこまで商談が進んでいるのかを把握できれば、マネージャーも適切なフォローを行いやすくなります。
営業担当者ごとの感覚だけに頼らず、案件情報を共通の基準で確認できることは、営業マネジメントにおける大きなメリットです。
営業担当者の行動が明確になる
営業目標だけを設定すると、「とにかく訪問件数を増やす」「とにかく電話をかける」といった行動になってしまうことがあります。
予材管理では、案件の状態を確認しながら、どの案件を受注につなげるのか、どの案件を育てるのか、新たな案件をどこから獲得するのかを考えます。
そのため、営業担当者が優先順位をつけて行動しやすくなります。
予材管理を行うときの注意点
予材管理は、単純に案件数を増やせばよいというものではありません。実際に運用するときは、以下の点に注意しましょう。
案件数だけで判断しない
案件が多くても、受注単価が低かったり、受注確度が低かったりすれば、売上目標を達成できるとは限りません。
案件数だけではなく、案件金額・受注確度・受注予定時期などを合わせて確認することが大切です。
予材を過大評価しない
営業担当者によって「見込み」の判断基準が異なると、実際の受注可能性と管理上の数字にズレが生じます。
そのため、自社内で受注確度を判断する基準を決め、定期的に案件の状態を見直すことが重要です。
入力・更新の負担を増やしすぎない
予材管理では、案件情報を継続的に更新する必要があります。しかし、入力項目が多すぎたり、複数のExcelやシステムに同じ情報を入力したりすると、営業担当者の負担が増えてしまいます。
営業活動と案件管理をできるだけ一元化し、必要な情報を簡単に確認・更新できる環境を整えることがポイントです。
建設業でも予材管理を活用できる
予材管理は、建設業や工務店、リフォーム会社など、案件ごとに受注・売上を管理する業種にも活用できます。
建設業では、問い合わせから現地調査、プラン提案、見積提出、商談、契約、着工というように、受注までに複数の段階があります。
そのため、「今月どれだけ売上があるか」だけではなく、「これからどの案件が受注につながる可能性があるか」を把握することが重要です。
たとえば、以下のように案件を整理できます。
- 見込み:契約条件がまとまり、受注が近い工事
- 仕掛り:現地調査済み・見積提出済み・プラン提案中など、受注に向けて進行している工事
- 白地:新規顧客、過去のOB顧客、休眠顧客、定期点検の時期を迎える顧客など、今後提案につながる営業対象
こうした案件を一元管理することで、受注見込みや今後の営業活動を把握しやすくなります。
予材管理に関するよくある質問(FAQ)
予材管理に関するよくある質問を解説します。
予材管理とは簡単にいうと何ですか?
予材管理とは、将来の売上につながる案件や顧客を管理し、営業目標の達成に必要な予材を先回りして確保する営業マネジメント手法です。「見込み」「仕掛り」「白地」の3つに分類して管理することが基本となります。
予材管理ではなぜ目標の2倍を設定するのですか?
営業案件には失注や延期などの不確実性があるため、目標金額と同じ金額の案件だけでは不足する可能性があります。そのため、売上目標の2倍の予材を用意するという考え方があります。ただし、自社の成約率や平均受注単価、営業サイクルなどに応じて必要な予材量を調整することも重要です。
予材管理の3要素とは何ですか?
予材管理では、一般的に「見込み」「仕掛り」「白地」の3つに分けて予材を管理します。見込みは受注の可能性が高い案件、仕掛りは商談などが進行している案件、白地はまだ具体的な商談にはなっていないものの将来的な営業対象となる顧客や案件です。
予材管理はExcelでもできますか?
Excelでも予材管理を始めることはできます。ただし、案件数や営業担当者が増えると、案件情報の更新・共有や進捗状況の把握に手間がかかる場合があります。案件管理機能を備えた営業管理システムや業務管理システムを活用する方法もあります。
予材管理と案件管理は違いますか?
案件管理は、商談中の案件や顧客情報、進捗などを管理することを指します。一方、予材管理は、現在進行中の案件だけでなく、将来的な売上につながる営業材料まで含めて、目標達成に向けて管理する考え方です。
まとめ
予材管理とは、将来の売上につながる案件や顧客を「見込み」「仕掛り」「白地」に分けて管理し、営業目標の達成に必要な予材を先回りして確保する営業マネジメント手法です。
予材管理では、売上目標に対して2倍の予材を用意するという考え方が基本原則として知られています。ただし、実際に必要な予材量は、成約率や平均受注単価などによって変わるため、自社の営業状況に合わせて考えることが重要です。
- 見込み:受注の可能性が高い案件
- 仕掛り:商談や提案などが進んでいる案件
- 白地:将来的な営業対象となる顧客・案件
この3つを継続的に管理することで、目標に対する案件不足を早期に把握し、営業活動の優先順位を決めやすくなります。
また、案件情報を一元管理できるシステムを活用すれば、営業担当者だけでなく、管理者も案件の進捗や受注見込みを把握しやすくなります。
営業活動を効率化し、案件・顧客情報を一元管理するためのシステムの導入も、予材管理を継続するための方法の一つです。
営業目標の達成に課題を感じている方は、現在の売上だけを見るのではなく、これから売上につながる予材をどれだけ確保できているかという視点から営業活動を見直してみてはいかがでしょうか。
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