組織形態は最善の形を取れていますか?経営者や管理職の皆さまは常に気にされていることと思います。
今の業務フローに手間を感じていたり、現状は問題なくとも将来的な規模拡大に対応し切れるのか不安だったり…組織の状態について考えるタイミングって色々ありますよね。
今回は、そんな組織形態をしっかり把握し最適化できる「組織マネジメント」の考え方を紹介します。
目次
組織マネジメントとは?
組織マネジメントとは、平たく言えば組織を円滑に運営することです。
例えば企業という組織であれば売上や社会貢献など明確な目的がありますよね。
最近は経営理念という形で目的・目標を明確にすることで組織の一体化を図るケースも多くあります。
組織マネジメントが必要な理由
一言でいえば、「将来に備えるため」です。
「組織をより円滑に運営していこう」という考え方そのものは特段新しいものではありませんし、必要性も常に謳われてきました。
企業の目的に沿って、人材をどのような業務・部署に配属させるのか?という人事的な観点は従来からあったものです。
以前よりも組織について考えなければならなくなっているのは、経済のグローバル化やイノベーションが求められる時代背景に原因があります。
海外に視点を向ける企業も多くなってきて、従来の組織のやり方では通用しなくなってくるケースも増えてきます。
業務の効率化や分担はもちろんのこと、グローバル人材の雇用やモチベーション管理など、以前に比べて考えなければならないことは増えています。
組織経営に求められるものが以前と変わってきたこれからの時代に備えるために、組織体制を見直す必要があるのです。
マネジメントとリーダーシップとの違い
マネジメントはリーダーシップと比べられたり、混同している人がいますので、簡単にリーダーシップとの違いについてみていきます。
人を動かす方法
- 組織マネジメント:権限や組織の規則によって人を動かす
- リーダーシップ:人間性によって人を動かす
例えば、マネジメントの場合は、
「あの人の言うことを聞かないと他部署へ飛ばされるからやるか」や「ミスをすると他部署に飛ばされる」などは、人事権によって人が動いています。
リーダーの場合は「あの人が言うだからしょうがない」や「あの人を信じてやってみよう」などは人間性を信頼して動いています。
つまり権限によって人を動かすことはリーダーシップとは言えないということです。
行動の視点
- マネジメント:今(プラン)に目を向けて、現場を管理する
- リーダーシップ:未来(ビジョン)に目を向けて行動をしていく
例えば、マネジメントは目の前の課題や問題に取り組み、目標達成のために進捗を管理したり失敗で落ち込んでいる部下に声をかけたいします。
リーダーシップは、3年後、10年後と会社はどうなっていたいたいか?
メンバーはどうなっていたいか?未来について部下に伝え続けて未来に向けて行動をしていきます。
役割
- リーダーシップ:リスクをとる
- マネジメント:秩序の維持をとる
例えば、新規事業立ち上げを次々をやっていけるのはリーダーシップです。
将来のビジョンに向けて行動をしていきます。
しかしずっと新規事業立ち上げを繰り返していると社員は疲弊して今します。
社内の秩序を回復して、社員が安心して働ける環境を作り上げるのがマネジメントです。
マネジメントとリーダーシップに上下はなく、ただ社内の役割が違うだけです。
組織マネジメントの基本「組織の7S」
それでは、いよいよ組織マネジメントを実施しましょう。組織マネジメントを行う際には、組織全体を7つの要素に分解して考えます。分解したどれか1部分を改善しなければいけないケースもあれば、全体的な改革が必要なケースもあります。全体的な改革が必要な場合、どのような順番で何から変えていくか、というのも重要な観点です。
組織マネジメント組織の7S「ハードの3S」
7S分析は、「ハードの3S」と「ソフトの4S」に分けることができます。ハードの3Sには「戦略(Strategy)」「組織(Structure)」「システム(System)」が所属しています。ハードの3Sは一旦決めれば固定されることが多く、形が見えやすいため変更が効きやすいという特徴を持っています。組織の根幹となる部分だと解釈すればいいでしょう。
戦略(Strategy)
戦略とは、企業が経営を続けているにあたり競合他社とどう戦っていくか?という解決策のことを指します。組織全体の戦略から、部門・部署ごと、商材ごとなど様々な戦略が設定されているケースが多いです。組織マネジメントとして注目する際には、部門や部署ごとの戦略を確認してみるといいでしょう。
組織(Structure)
ここでいう組織とは、組織全体の構造のことを指します。例えば部署の中で、上司と部下がどのような関係性で、誰が誰をどのように評価・マネジメントする体制になるのか、などが挙げられます。また、誰がリーダーシップ発揮して部下を動かしているのか、という点も重要です。
複数の部署を持つ中~大規模な企業であれば、部門間がどのように連携しているのか、という点も確認事項のひとつです。
システム(System)
システムとは、組織を円滑に運営するために必要な仕組み・制度を指します。例えば各部署ごとに設定されている行動目標や評価制度などが該当します。営業であれば売上目標数やアポイント目標数などでしょうか。
また、業務管理システムや会計システムなど、組織運営にあたって必要なITツールもここに該当します。近頃は高性能なITツールがたくさん登場しているので、それらをどのように導入して活用するのかを検討するために組織マネジメントを実施する、というケースは多くあります。
組織マネジメント 組織の7S「ソフトの4S」
「ソフトの4S」には、価値観(Shared Value)、「文化(Style)」「能力(Skill)」「人材・スタッフ(Staff)」「能力・スキル(skill)」の4つが所属します。どの項目も組織に属する「人」から発生するものばかりで、短期的にすぐ修正したり強化したりするのが難しい分野でもあります。
価値観(Shared Value)
価値観とは、企業や組織が存在意義として持っている企業理念や、組織に所属する一人一人が持つ感覚のことを指します。組織がなにかの問題に向き合わなければならなくなったとき、判断基準となるのは価値観が多くを占めます。
スタイル(Style)
スタイルとは、一言でいえば「組織の雰囲気」です。職場の空気や社風、文化などを指します。上述した価値観は、スタイルをもとに作られます。
人材・スタッフ(Staff)
ヒト・モノ・カネが企業の重要な経営資源だと言われるように、組織マネジメントにおいても人材は重要な情報です。組織は、ここまで紹介した価値観(Shared Value)やスタイル(Style)に共感できる人材を集めることが重要です。
能力・スキル(Skill)
組織マネジメントでいうスキルとは、社員ひとりひとりが持つ技術や能力だけでなく、組織全体が持つスキルのことも合わせて指します。競合他社と比べたときの自社の強みといえばわかりやすいでしょうか。技術力、販売力、マーケティング力などです。
ソフト面は簡単に変わらない。まずはハード面の改善を検討していこう。
ご紹介したソフトの4Sはそれぞれ、そこに所属する人に根差すものです。それぞれ社内の既存文化や全体的な価値観に基づいていることが多く、直接的なアプローチは困難です。ハードの3Sはソフト面に比べて変更が出来ますが、ソフト面に影響させることができないと浸透させることはできません。
組織マネジメントを通じて解決できる課題
組織マネジメントを通じて見えてくる問題は様々ですが、そもそもどのような目的をもって始めるかと言えば、以下のようなものが一般的です。
組織の生産性向上
組織を分解して考えてみると、「同じ資料を複数部署で作成している」「たいして重要でもない承認フローがある」など課題が見えてくるものです。
そういった課題は、見える化するだけでも大いに価値があります。
また、既に適切な業務フローを実施していたとしても、社員のモチベーション管理やメンタル管理に課題がある場合もあります。これが解決できれば組織の生産性は更に上がるでしょう。
管理職の負担軽減
従来、管理職に求められていたのは部下のマネジメントや指導、評価などでした。ところが最近は管理職にも様々な目標設定がされることが通常になりつつあります。
自分自身の目標達成に挑みつつ従来のマネジメントまで担うとなるとかなりの負担です。組織マネジメントは、管理職にどんな業務をさせるのかを見直す機会でもあるのです。
また、管理職業務が属人化しすぎる傾向も、業務マネジメントで解消することができます。
現在管理職として働かれている方の中にも以前はプレイヤーとして業務を遂行していた方は少なくありません。部下に業務を降ろさず自分自身でやったほうが早い、という判断で業務を抱えてしまう管理職は少なくないようです。
その結果、管理職がどんな仕事をしているかを管理職以外の誰も知らない、というブラックボックス化現象が起こってしまいます。
属人化に関する記事はこちら
将来的な規模拡大への対応力がつく
組織マネジメントを実施する際には、必ず組織を分解して分析する必要が出てきます。
将来的に規模が拡大したり、新たな問題が発生した際にも組織を分解して考える方法が身についていれば課題発見と解決方法の検討までのスピードはかなり上がります。
組織マネジメントで管理職に求められる能力
7S分析を終えて、今後の方針を整えたら次に必要なのは「維持すること」です。管理職やチームリーダーには組織を適切に観察して導くことが求められます。では、求められる能力をもう少し細分化してみましょう。
全体の目標を定め、達成の為に支援する能力
まず、組織が掲げた目標に対して部署ごとの目標を定めて管理する能力が求められます。目標を具体的な行動計画に落とし込み、計画を遂行します。目標が達成できないリスクが発生した場合に適切な対応が素早く出来るように、常に観察することが重要です。
社員・スタッフへの人材マネジメント能力
設定した目標に対して行動計画を立てたあとは、業務そのものはスタッフに任せることになります。管理職として必要なのは、社員に対するパフォーマンスの管理です。
社員のモチベーションを保ちつつ、組織への愛着を高める方法として「従業員エンゲージメント」という考え方があります。
従業員のマネジメントに関する記事はこちら
コミュニケーション能力
ここでいうコミュニケーション能力には、部下とのコミュニケーションだけでなく上司・経営者とのコミュニケーション能力が該当します。部下の相談や問題に対して組織からアプローチする必要が出たときに、経営者に対して適切なアプローチが出来る力が必要です。
組織マネジメントの導入事例
ここからは組織マネジメントの事例をご紹介します。
トヨタ自動車
トヨタは「カイゼン」(改善)や「ジャストインタイム」などの原則を取り入れたトヨタ生産方式(TPS)で知られています。
これは、効率的な生産プロセスの改善に重点を置くことで、在庫管理を最適化し、ムダを排除する組織マネジメントの典型例です。
トヨタ生産方式(TPS)の成功により、トヨタは自動車産業におけるリーダーとなり、他の業界にも多大な影響を与えました。
成功要因
- 継続的改善(Kaizen)の文化
- 従業員のエンゲージメント
- チームワーク
Googleはフラットな組織構造を採用し、従業員に対して大きな裁量と柔軟性を与えています。
創造性とイノベーションを促進するために、従業員が20%の時間を自分のプロジェクトに費やすことが奨励されており、これが新しい製品やサービスの開発につながっています。
成功要因
- 創造性とイノベーションを重視する文化
- 従業員のモチベーションを高める報酬システム
- 柔軟な労働環境
ユニリーバ(Unilever)
ユニリーバは持続可能なビジネスモデルを採用し、社会的責任を重視しています。
また、従業員のリーダーシップ開発に力を入れ、自己啓発とキャリア成長を促進しています。これにより、従業員のエンゲージメントが高まり、企業全体のパフォーマンスが向上しています。
成功要因
- サステナビリティを重視したビジョン
- 従業員の成長を支援するリーダーシップ開発プログラム
組織マネジメント力を高めるために必要なITツールの選び方
組織マネジメント力を高めるために必要なITツールはどのようなものがあるのでしょうか。
目標数値を見える化できるツール
組織で定めた目標に対して、今の進行状況が分かる仕組みを作りましょう。月末などに定期的に売上を集計して報告する方法は確実ではありますが、都度作成するのに事務員の時間的コストが必要になるうえに、「数字の読み方」に独特のスキルが必要になるケースがあります。
可能であれば、リアルタイムで目標達成率が分かる情報管理システムを導入しましょう。
情報管理システムに関する記事はこちら
営業マンの活動状況を見える化できるツール
営業担当の仕事は属人化しやすく、何かアクシデントやトラブルを抱えていても手遅れになるケースがあります。細かな日報まで書かせると手間になってしまうので、簡単な形で商談結果を報告できるSFA(営業支援ツール)などを導入してみましょう。
外出が多い営業マンなら数値だけでなくメンタルヘルスが読み取れるような簡単な日報機能があってもいいかもしれません。
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まとめ
組織マネジメントを行うには、全体を分解したうえで確認し、管理職の協力を得て維持していく必要があります。時間のかかる作業ではありますがこれからの時代に適応するためにもぜひ一度ご検討ください。
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