地球温暖化が世界的に問題になっています。
夏場には危険な暑さとなり、建築現場でも熱中症対策が不可欠となり、救急搬送される事例をはじめ、工事の遅延につながるリスクも生じています。
こうした状況を改善するためにも、建築業においても脱炭素は喫緊の課題です。
脱炭素社会に貢献することは、企業の社会的信頼度アップにも寄与するメリットもあります。
そこで、脱炭素社会に向けて建築業ができることとして、グリーンエネルギーの推進の取り組みについて詳しく解説していきます。
目次
グリーンエネルギーとは
グリーンエネルギーとは、自然などを利用した再生可能エネルギーの総称で、太陽光発電や風力発電、地熱発電や水力発電、バイオマス発電などを指します。
地球環境に優しく、二酸化炭素の排出量を抑えられるエネルギーです。
クリーンエネルギーとの違い
クリーンエネルギーとは、環境負荷の少ないエネルギーの総称です。
二酸化炭素や窒素酸化物といった、地球温暖化や大気汚染など環境破壊につながる有害な物質を排出しないエネルギー源を指します。
グリーンエネルギーも含まれますが、さらに幅広い概念です。
かつては、原子力発電も二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーと言われていました。
ですが、原発事故以降は放射能汚染のリスクや使用済み核燃料の処分の問題が発生する点で、クリーンエネルギーの枠からは外されています。
そのため、現段階の最新のエネルギー技術を考えると、グリーンエネルギーとクリーンエネルギーはほぼ重なっています。
「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」とは
グリーンエネルギーの創出は、本来は事業者各自が取り組みたいところですが、現実問題として難しい業種がある場合や技術面やコスト面で対応できないケースもあります。
そこで、グリーン電力・熱証書発行事業者がグリーンエネルギーの発電業者と供給委託契約を結び、グリーン電力・熱証書発行事業者が希望事業者とクレジット売買契約を結ぶことで、購入した事業者がグリーンエネルギーを利用しているとみなす制度が設けられました。
グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度は、グリーン電力・熱証書発行事業者が発行するグリーン電力・熱証書について、国がCO2排出削減価値を認証することで、クレジット購入事業者の社会的信頼を高める制度です。
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建築業がグリーンエネルギーを活用するメリット
では、建築業でグリーンエネルギーを活用するメリットは、どんな点でしょうか。
環境保護につながる
建築業においては大量の建材を用い、多くの車両を用いてエネルギーを消費しながら工事を行っており、CO2排出量が多い業界の一つです。
グリーンエネルギーの創出やグリーン電力・熱証書の購入をすることで、CO2排出量の削減に貢献でき、環境保護につながります。
グリーンエネルギーを活用した事業の展開が可能
建設した建物に太陽光パネルを設置する、メガソーラーや風力発電所の建設事業に乗り出すなど、新たな事業展開も可能です。
企業のイメージアップにつながる
環境保護に貢献している企業としてイメージアップにつながり、社会的な信頼を重視する大手事業者からの発注依頼が増えることや個人客の依頼が増えるなど売上増大にもつなげられます。
固定費を削減できる
太陽光発電などの電力を利用することや省エネを実現できれば、光熱費や燃料費など毎月莫大にかかる固定費の削減が可能です。
建築業がグリーンエネルギーを活用する際の注意点
では、建築業がグリーンエネルギーを活用する際の注意点はどんな点でしょうか。
初期費用がかかる
自社の事業所の電気を太陽光パネルで賄いたい場合や建築現場の事務所に太陽光パネルを設置して電力を賄いたいという場合、初期費用がかかります。
地域のネットワークを通じてバイオマス発電を設置、運用することや風力発電などを行うにも、設備や機器の設計費用や購入費用、設置工事の費用などが莫大にかかります。
発電量が不安定
太陽光発電や風力発電など、自然を利用するグリーンエネルギーは、太陽が出ない時間帯や風が吹かないと発電量は低下するか、まったく発電しません。
発電量が不安定なため、スムーズな事業経営を維持するためには、常に安定的な電力が供給されるよう、別途電力会社と契約を続けることや別の予備電源の確保や蓄電池の利用などランニングコストもかかります。
建築業におけるグリーン成長戦略の施策
グリーン成長戦略は、国が脱炭素社会の実現に向けて提唱しているもので、脱炭素化へと転換を図る時代環境をビジネスチャンスと捉えて大胆に投資を行おうというものです。
国では、そうした企業のチャレンジを支援するためのさまざまな施策も設けられています。
こうした時代背景のもと、建築業におけるグリーン成長戦略の施策としては、どのようなものが考えられるでしょうか。
省エネ住宅の推進
住宅建築をしている企業においては、省エネ住宅の提案、建築を推進していくことが考えられます。
自社の標準モデルを省エネ住宅とし、断熱構造や気密性を高めたり、空調効率を高めたり、太陽光発電の設置を行うなどがあります。
ZEHなどの全体のエネルギーをゼロにする住宅づくりの推進などが施策のポイントです。
木造建築の普及
日本の伝統建築でもある木造建築は、自然の木材を利用する環境に優しい住宅です。
多くの石油エネルギーなどを利用して作られる鉄材などを用いず、木造を中心にした建築を普及させることも、脱炭素社会に役立ちます。
木造建築は適切な技術と工法で建てれば、長い耐久性が期待できます。
木造建築の普及とともに、使用する材木と同じ量の植林を進めていくなどすれば、よりグリーン成長戦略に結びつけることが可能です。
省エネ建材・設備の導入
省エネ建材とは、リサイクル素材から作られていたり、従来は廃棄されたり、利用されていなかったものから建材などを作り出したものです。
建材の製造工程でCO2排出量が抑えられるものをはじめ、建材として使うことで省エネ効果を発揮する建材もあります。
省エネ設備は最新技術を用いた高効率な空調や給湯設備をはじめ、太陽光パネルの設置などを指します。
建築する住宅やビルなどの建物に、こうした省エネ建材・設備を積極的に導入していくことで、グリーン成長戦略を実践していくことが可能です。
エネルギー管理
エネルギー管理がしやすい住宅やビルなどの建築も、グリーン成長戦略の施策として重要になります。
脱炭素社会に向けて政府では、ZEH住宅を標準にすることを目標に掲げています。
断熱構造の住宅、太陽光発電による創エネと蓄電池の設置などを通じて、全体のエネルギーがゼロになるようHEMSでリアルタイム管理ができるZEH住宅の提案と建築ができることが必要です。
オフィスビルや工場の建築や改修でも、省エネにつながる設計などエネルギー管理ができる技術とノウハウを高めていくことが大切です。
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まとめ
グリーンエネルギーとは、太陽光発電や風力発電、地熱発電や水力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの総称です。
クリーンエネルギーは、環境負荷の少ないエネルギーのことで、グリーンエネルギーも含まれますが、さらに幅広い概念になります。
グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度とはグリーン電力・熱証書発行事業者が発行するグリーン電力・熱証書について、国がCO2排出削減価値を認証することで社会的信頼を高める制度です。
建築業がグリーンエネルギーを活用するメリットは、環境保護につながること、グリーンエネルギーを活用した事業の展開が可能となること、企業のイメージアップにつながること、固定費を削減できることです。
活用する際の注意点として初期費用がかかり、発電量が不安定なことが懸念材料になります。
建築業におけるグリーン成長戦略の施策として、省エネ住宅の推進や木造建築の普及、省エネ建材・設備の導入やエネルギー管理が挙げられます。
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