地球環境を守るためにカーボンニュートラルへの取り組みが世界で行われていて、日本でも脱炭素の動きが活発化しています。
建築物でも省エネ基準適合義務化をする動きが出ていて、2025年には本格的に開始します。
今まで必要のない設備なども、義務化で設置しなければなりません。
こちらの記事では、省エネの基準について、省エネ住宅の種類、2025年4月からの省エネ基準適合義務化について解説していきます。
省エネ基準とは
建築物を建てる際に守らなければいけない省エネ性能の基準のことを、省エネ基準と呼んでいます。
何も考えずに建築物を造ってしまうと、地球環境に負担をかけた建物になってしまう可能性があります。
実際、建築物に限らず人間が便利で快適な生活をするために造られてきたものによって、地球の温暖化など悪影響も出ているのが現実です。
環境に優しい建物を造るためにも、省エネ基準が制定されています。
始まりは1980年に制定され、それ以降何回か改正されてきました。
建築物を建てる際には無視できず、省エネ基準を把握して工事を行わなければなりません。
これまでの何回か改正してきた過去がありますが、今後もさらに内容が変わっていく可能性があります。
建築物工事を請け負う場合、まず省エネ基準がどう変わったのか把握することは大変重要です。
外皮性能を評価する基準
建築物が省エネ基準に沿って建てられているのか性能を評価する基準は2つあります。
具体的にどんな基準を見られているのか、ご紹介していきます。
UA値
どの程度断熱性能に優れているのか判断する場合は、UA値を見ていきます。
UA値とは、外皮平均熱貫流率です。
日本には四季があり夏は暑く冬は寒いのですが、UA値が小さくなれば家の中の冷暖房の効率が良く省エネにつながっていると判断されます。
ηAC値
ηAC値を見て、冷房を使う季節の平均日射熱取得率を見ていきます。
外皮の部位面積をすべて足していき、合計がいくらになるか算定されます。
基準は、日本であればどこでも一緒ではありません。
場所によって気温には差があるため、基準値が地域別に設けられています。
基準値を使いηAC値が小さくなるほど省エネ住宅だと判断されます。
一次エネルギー消費量を評価する基準
住宅内でどの程度のエネルギーを使っているのかを表したものが一次エネルギーです。
基準は、こちらも日本全国一緒ではなく地域ごとに分かれます。
北海道のように冬がマイナスの気温になるのが当たり前の地域と、比較的暖かい地域では条件が違うためです。
消費エネルギーの総量をどの程度削減できているのか、一次エネルギーに注目して評価します。
評価対象となる設備
- エアコンなどの冷暖房
- 各部屋や台所にある換気
- 各部屋にある照明
- 太陽光発電などの再生可能エネルギー
- 住宅で快適にお湯を使うための給湯
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省エネ住宅の種類
省エネ住宅だと呼ばれるものには、いくつかの種類があります。
基準は、一次エネルギー消費量等級4以上で断熱等性能が4以上になるものが対象です。
ZEH住宅
今まで、住宅はエネルギーを使ってしまうと、夏が暑くエアコンをある程度低い温度にしないと涼しくなりませんでした。
ZEH住宅では、家庭内でのエネルギーの収支が0になるようになっているため、夏も今までの家よりも少ないエネルギーで快適な部屋の温度になります。
通常の省エネ基準よりも厳しい基準になっている分、地球環境にも優しく人間も快適な空間が作れます。
外皮性能が高く、夏や冬もエアコンやストーブをつける頻度が抑えられるのも特徴です。
どの部屋でも同じように快適が保ちやすく、冬に怖いと言われているヒートショックのリスクも抑えられます。
電気やガスの光熱費も抑えられて経済的です。
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LCCM住宅
LCCM住宅は、住宅を建築する段階から解体まで任坂炭素の排出量を抑えられ地球環境に優しくなっています。
これまでの作り方では、二酸化炭素の排出量も多く負担になっていました。
木材も国産のものを使い、無駄な二酸化炭素を使わないように配慮されています。
断熱性や気密性が高いため、部屋の中でも一年中快適に過ごせます。
住宅用太陽光発電も設置されていて、余った分は売ることも可能です。
LCCM住宅に関する記事はこちら
スマートハウス
スマートハウスでは、電気を効率的に作って使います。
住宅に設置した太陽光発電で電気を作って蓄積し、HEMS(ヘムス)を使いながら管理します。
自給自足できるため、住んでいる人も光熱費が安くなる点がメリットです。
さらに、二酸化炭素も削減できる地球に優しい住宅でもあります。
スマートハウスに関する記事はこちら
認定低炭素住宅
省エネ性能だけでなく、二酸化炭素の排出を抑えるようにできた住宅を認定炭素住宅と呼びます。
地球の温暖化は、二酸化炭素の過剰な排出が原因になっていると考えられているため、極力抑えるように工夫されています。
基準も、ZEH住宅と同程度で厳しいです。
ほかにも、基準として住宅設備や環境対策も2つ以上は行わなければならないなどと決まっています。
認定長期優良住宅
認定長期住宅は、省エネ性能を保っているだけでなく、今後日本で起こる自身への耐震性や建物劣化なども配慮されています。
そこで、過ごす人が安心して住めるように、バリアフリーなども考えられて設計されています。
年齢を重ねてからも長期的に安心して住みたい方にはピッタリな住宅です。
性能向上計画認定住宅
さまざまな決まりがある法律にもとづき、所管行政庁から認定されている住宅を性能向上計画認定住宅と呼びます。
二酸化炭素の排出を減らし住み心地が良いだけでなく、容積率の特例も受けられます。
省エネのために接地している太陽光発電などを設置している部分は容積率に含まれません。
上限はありますが、広めの住宅に住みたい方にとってメリットとなるでしょう。
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2025年4月から省エネ基準適合義務化
世界で脱炭素を目指しているため、法律の一部が改正されています。
2025年4月からは、省エネ基準適合が義務化されるので注意が必要です。
ここからは、省エネ基準適合義務化について詳しく説明していきます。
原則すべての新築住宅・非住宅に義務付けられる
今までも、省エネについては取り入れるように勧められていましたが、基準への適合として義務付けられているのは300平方メートル以上の大・中規模非住宅のみでした。
それが、2025年4月からはすべての住宅になります。
小規模の住宅であっても、大・中規模非住宅と同じように見られるようになります。
ただ10平方メートル以下の建築物など、小さいものに関しては対象外です。
建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査を実施
今までは、省エネ基準に適合しているかの審査は一部の大・中規模非住宅のみでした。
しかし、2025年4月からは同じように、小規模住宅でも審査されるようになります。
まず、建築物を建てる前に、省エネ性能確保計画の提出をしなければなりません。
審査を行い判定で合格となれば、適合判定通知書を受け取り工事の着手へと進めます。
万が一不備が見つかってしまうと、審査は落ちてしまいます。
合格できるように省エネ性能確保計画書を作成しなければならず、時間もかかってしまうでしょう。
着工を行い住宅を建てた後、竣工完了時にも適合検査をします。
適合性審査が不要な建築物
建築物の中には、2025年になっても4月1日になっても、適合性審査を受けなくても良い場合があります。
都市計画区域・準都市計画区域の外の建築物で、さらに平屋かつ200平方メートル以下である場合などです。
すべてが必ず必要ではないため、その点も押さえておきましょう。
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まとめ
日本では世界の脱酸素に伴い、建築物の省エネ基準が見直され2025年4月から省エネ基準適合義務化が始まります。
省エネ住宅の種類も、ZEH住宅やスマートハウスなどさまざまあります。
大・中規模非住宅だけでなく、小規模住宅も義務化の対象となるのでしっかりとルールを覚えておきましょう。
中には適合性審査が不要な建築物もあるので、一緒に把握しておくと良いでしょう。
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