ミンチ解体をご存じでしょうか?解体方法の1つになりますが、建設リサイクル法によって現在は禁止されています。
ミンチ解体が禁止になった理由と変わりの解体方法をみていきましょう。
目次
ミンチ解体とは?
「ミンチ解体」は、廃棄物を分別せずに建築物を一気に取り壊す解体工法です。この方法では、重機を使って建物を粉砕し、建築資材をまとめて壊してしまいます。これにはガラスや金属などの危険物も含まれています。足場が必要なく、工期が短く費用が抑えられるため、かつては一般的な解体方法でした。
しかし、この方法にはアスベストなどの有害物質が含まれる危険性があるため、「建設リサイクル法」において禁止されています。この法律では、廃棄物を種類や処分方法に応じて分別し、適切に処理することが求められています。また、分別解体工事を怠ると罰則が科されることもあります。
建設リサイクル法は解体業者だけでなく、解体を依頼する施主にも責任が問われます。依頼者も解体方法がミンチ解体でないことを確認するようにしましょう。
建設リサイクル法、アスベストに関する記事はこちら
建設リサイクル法とは
建設リサイクル法(建設資材リサイクル等推進法)は、日本における建設工事に関する廃棄物の処理やリサイクルを促進するための法律です。この法律は、2000年に施行されました。
建設現場では大量の廃棄物が発生しますが、それらを適切に処理し、再利用することで環境への負荷を減らし、資源の有効活用を図ることが目的です。具体的には、建設工事における廃棄物の発生抑制や分別、再利用促進などが法律によって定められています。
この法律には、建設業者や発注者、自治体などに対する様々な義務や指針が含まれています。
再資源化の対象の資源とは?
再資源化の対象になっている資源を見ていきましょう。
- コンクリート
コンクリート塊(コンクリートが廃棄物になったもの) - コンクリート及び鉄から成る建設資材
コンクリート塊(コンクリートが廃棄物になったもの。鉄は取り出して有価で取引されます。) - 木材
建設発生木材(木材が廃棄物となったもの) - アスファルト・コンクリート
アスファルト・コンクリート塊(アスファルト・コンクリートが廃棄物となったもの)
再資源化対象の資源に関する問題の記事はこちら
分別解体とは?
ミンチ解体の変わりにおこなわれている解体方法として分別解体があります。
分別解体は、建築物や施設の解体工事において、解体される材料や資源を分別して取り扱う方法です。この方法では、建物や施設を解体する際に発生する様々な資材や部品を、再利用可能なものやリサイクル可能なもの、有害な物質などに分類し、それぞれ適切に処理・リサイクルされます。
分別解体のプロセスは次のようなものです。
- 調査と評価
解体前に建物や施設がどのような構造や材料でできているかを調査し、再利用可能な材料やリサイクル可能な資源を評価します。 - 分別計画の策定
解体作業の計画を立てる際に、どのような資材が分別され、どのように処理されるかを明確に定めます。これには、再利用可能な建材や金属、木材、コンクリートなどのリサイクル可能な材料、有害物質などの分別が含まれます。 - 分別作業の実施
解体作業が行われる際に、建物や施設から発生する各種資材を分別します。手作業や機械を用いて、建材や部品をそれぞれのカテゴリーに分類し、適切な処理場所に運びます。 - 資源の再利用やリサイクル
分別された資材は、再利用可能なものは再利用され、リサイクル可能なものは再資源化されます。これにより、廃棄物の削減や資源の有効活用が促進されます。
分別解体は、持続可能な建築や施設管理の重要な側面であり、環境への配慮や資源の効率的な利用を目指すために積極的に取り組まれる手法の一つです。
ミンチ解体と分別解体の違いとは?
ミンチ解体と分別解体は、建築物の解体工事の違いについてみていきましょう
ミンチ解体
- 解体方法
ミンチ解体では、建物全体を一気に粉砕するため、重機や特殊な機器を使用して建物を破壊します。 - 資材の扱い
建物に含まれるあらゆる資材が一緒くたになり、再資源化することが難しいです。特に、危険物質や有害物質も一緒くたになります。 - 工期と費用
工期が短く費用が抑えられるメリットがあります。足場が不要であり、一気に解体できるため、作業時間が短縮されます。
ミンチ解体は、足場が不要で工期が短く費用を抑えられる利点がありますが、再資源化が困難であり、有害物質の扱いにも注意が必要です。
分別解体
- 解体方法
分別解体では、建物の各部位や資材を分別して取り扱います。手作業や重機を使って、建物の各部位を分別して解体します。 - 資材の扱い
建物に含まれる異なる資材を分別するため、再資源化が容易です。再利用可能な資材や危険物質などを適切に処理できます。 - 工期と費用
分別解体は、ミンチ解体に比べて工期が長くなる場合があります。資材を分別して処理する手間や、作業員の技量が必要ですが、再資源化を促進するために行われることが多く、環境負荷を軽減するために費用をかける場合があります。
一方、分別解体は再資源化を促進し、環境への負荷を軽減することができますが、作業時間や費用が増加する可能性があります。
解体工事に関する記事はこちら
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まとめ
ミンチ解体に見てきました。費用面でミンチ解体は大きなメリットがありますが、現在は禁止とされており、禁止になった理由も理解できたのではないでしょうか?
依頼する際は、見積の詳細を確認するようにして分別解体をするようにしましょう。
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