外壁塗装工事は、使用する塗料や施工する範囲などにより、価格が変動します。
適切な価格を把握するために重要になるのが、見積書です。
しかし、見積書の見方がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、外壁塗装の見積書について詳しく解説します。
見積書をよく読み、適切な業者を選ぶようにしましょう。
見積書を理解するメリット
外壁塗装の依頼をする際、見積書の金額部分だけを見て判断するのは危険です。
金額はもちろん重要ですが、見積書には、工事に関する様々な情報が盛り込まれています。
外壁塗装の見積書を理解することでどのようなメリットがあるのか、以下で確認しましょう。
トラブルを回避できる
見積書の適切な書き方や記載項目を知っていれば、業者から提出された見積書の良し悪しを判断することができます。
たとえば、「一式」という表現が多用されている見積書には注意が必要です。
しかし、こうした表現が問題であると知らなければ、一般的な言い回しのように感じてしまうと思います。
不適切な書き方や不明瞭な項目を見つけ出し、業者に説明を求めることで、トラブルの発生を回避することができます。
見積書に必要事項が記載されていない場合は、見積書を作り直してもらい、双方の認識を明確に書類として残すようにしましょう。
適正な価格かどうか判断できる
見積書の項目が詳細に書かれている場合、一般的な記載項目と照らし合わせて、余分な項目の必要性を業者に尋ねることができます。
外壁塗装は部位や塗料によって工程が異なるため、一般的な記載項目とずれがあってもおかしくありません。
しかし、不要な項目であった場合、依頼者側が損をすることになります。
また、項目ごとの相場を知っておけば、見積書の価格が適切かどうかも判断できます。
違和感を感じたら、業者に説明を求めるようにしましょう。
見積書と実際の工事を比較できる
見積書に書いてあることが、実際の工事に反映されていない可能性もあります。
- 塗料を安いものに変更する
- 足場代に見合わない脆弱な足場を組み立てる
- 見積書に記載のない工程が加わる
など、施主に相談することなく見積書とは異なる施工を行う場合、業者に対し、減額などの措置を求めることができます。
以上ことは、見積書をしっかり読んでいなければ気づかない可能性が高いでしょう。
見積書をよく理解することで、業者のごまかしを指摘することができます。
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外壁塗装の見積書の項目・単価相場
見積書を依頼する流れを確認しました。
では、外壁塗装の見積書にはどのような項目が必要なのでしょうか。
基本的な項目と、単価の相場をご紹介します。
足場設置
足場を設置する工程です。
- 仮設足場の組み立て
- 飛沫防止シートの設置
という2つの作業を含みます。
相場は、1㎡あたり600~800円です。
単位として、㎡ではなく「架(かけ)㎡」が採用される場合もあります。
傾斜地や狭い路地の奥、建物が隣接しているなど作業が困難な場合は、料金が加算されることがあります。
高圧洗浄
高圧洗浄機で外壁の汚れを洗浄する工程です。
相場は、1㎡あたり150~300円です。
圧力の単位としては、150㎏/㎡以上のものを目安にすると良いとされています。
また、バイオ洗浄を依頼する場合は料金が上がります。
養生
養生は、塗料の飛散を防ぎ、塗装を美しく仕上げるための工程です。
- 足場にメッシュシートを敷く
- 塗装しない部分をテープやビニールでカバーする
といった作業です。
相場は、1㎡あたり300~400円です。
下地調整
塗装のための下準備をする工程です。
ヒビを補修したりサビをそぎ落としたりして、塗料がしっかり付着するように整えます。
作業内容によって相場は変動します。
たとえば、サビを落すケレン作業には作業方法が4種あり、1㎡あたりの相場は200~4,000円と幅があります。
下塗り
塗装部と塗料を密着させるための工程です。
下塗りを行うことで、塗料が剥がれにくくなります。
下塗りの塗料には、以下のようなものがあります。
- シーラー
- プライマー
- フィラー
相場は、1㎡あたり500~1,200円です。
中塗り・上塗り
中塗りは、下塗りを施した後に行う塗装です。
中塗りが完了したら、同じ塗料をもう一度塗布します。
これが上塗りの工程です。
見積書には、中塗りと上塗りをあわせて「2回塗り」と表記されることがあります。
この2工程の相場は、1㎡あたり1,500~4,500円です。
使用する塗料によって価格が変動するため、注意が必要です。
付帯部
以下のような付帯部を塗装する工程です。
- 破風(はふ)
- 軒天(のきてん)
- 庇(ひさし)
- 雨樋(あまどい)
- 雨戸
- サッシ水切部
付帯部の見積書への記載方法は、業者によって異なります。
主な表記として、以下のものが挙げられます。
- 付帯部をすべてまとめて記載する方法
- 鉄部・木部など材質別に記載する方法
- 付帯部の面積を算出し記載する方法
塗装部と使用する塗料によって相場は変動します。
トラブルを防ぐため、付帯部が「一式」と表記されている場合は、具体的にどの部分を含むのか確認するようにしましょう。
諸経費
諸経費には、交通費や図面・写真代、労務費などが含まれます。
総工費の5~10%が一般的ですが、業者によって異なります。
諸経費には、工事を行ううえで不可欠な費用が含まれるため、安い方が良いとは限りません。
見積書に諸経費の内容が詳しく記載されることはありませんが、設定された金額に違和感を感じるようであれば、業者に尋ね、内訳を確認しましょう。
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外壁塗装の見積書のチェックポイント
外壁塗装の見積書の項目とそれぞれの相場を確認しました。
以下では、実際に見積書を受け取った場合、チェックすべきポイントをご紹介します。
ポイント①工程ごとに細かく記載されているか
「外壁塗装一式」など、詳細な工程が省かれた見積書は不親切であり、信用できません。
具体的な面積を求めることが難しい場合などは、一式という表記を用いることがありますが、工事全体を一式とまとめることはほとんど考えられません。
見積書を受け取ったら、
- 工程が詳細に書き出されているか
- 工程ごとの材料や単価が示されているか
についてチェックしましょう。
すでに確認した工程の中でも、以下の4つは特に重要な工程です。
- 足場設置
- 下地調整
- 下塗り
- 中塗り・上塗り
最低でもこれらの工程について明記されているか確認する必要があります。
ポイント②使用する塗料とメーカー
外壁塗装に使用する塗料の商品名とメーカーが示されているかどうか確認しましょう。
すでに確認した通り、外壁塗装で使用する塗料は2種類あります。
- 下塗りで使用する塗料
- 中塗り・上塗りで使用する塗料
それぞれの商品名とメーカーが書かれている必要があります。
塗料のメーカーとして信頼できるのは、以下の日本三大メーカーです。
- 日本ペイント
- 関西ペイント
- エスケー化研
無名なメーカーや「オリジナル塗料」には注意しましょう。
メーカーの製造した塗料を施工業者が購入し、異なる名前で販売しているものがオリジナル塗料にあたります。
この場合、原価が分からず他の見積書との比較が困難です。
三大メーカーをはじめ、実績のある塗料メーカーを使用する業者を選ぶと良いでしょう。
アクリルやフッ素など、塗料の種類も書かれていればなお安心です。
ホームページで塗料を確認する
有名メーカーの塗料であれば、それぞれのホームページで情報を集めることができます。
- 相場
- 耐久年数
- 下塗りに使用すべき塗料
などを調査し、業者の説明との整合性を確認することが可能です。
塗料のランク
外壁や屋根など、塗装部分の塗料のランクを統一しておくことも重要です。
塗装箇所ごとに耐久年数の異なる塗料を使用すれば、修繕が必要な時期にずれが生じます。
工事ごとに見積を依頼するもは手間ですし、足場代なども無駄にかかります。
なるべくまとめて工事の依頼ができるよう、家全体で塗料のランクをそろえておくと良いでしょう。
塗料の種類と耐久年数と単価は以下の通りです。
ポイント③塗装の回数
使用される塗料の商品名・メーカーとともに確認しておきたいのが、塗装の回数です。
すでに確認した通り、外壁塗装は一般的に以下の工程が必要です。
- 下塗り(下地強化剤塗布)
- 中塗り
- 上塗り(仕上げ塗り)
見積書への記載方法は業者によって違いますが、塗装の工程が3回あるかどうか必ず確認しましょう。
ただし、3度塗りでない塗料もあります。
クリアー塗装の場合は2度塗り、光触媒の場合4度塗りが一般的です。
ポイント④面積の表記
外壁塗装の見積において、面積の表記は重要です。
「一式」ではなく、なるべく「㎡」で表記してもらうようにしましょう。
面積を「坪」で表す見積書もありますが、外壁塗装の場合は「㎡」の方が適切です。
坪は床面積を表す単位なので、同じ坪面積であっても外壁の形状によって塗装面積が異なるからです。
ポイント⑤下地調整の内容
下地調整には、主に4つの作業があります。
- クラック補修:ヒビの修繕
- 爆裂補修:割れたコンクリートや塗装部、内部の鉄部の補修
- ケレン作業:鉄部のサビを落す
- コーキング補修:コーキングの打ち直し、打ち増し
これらの作業のうち、どの作業が見積書の「下地調整」の項目に含まれているのか、しっかり確認しましょう。
ケレン作業
すでに確認しましたが、ケレン作業には4種類の方法があります。
- 1種:金属片などを含む研磨剤を用いる作業。一般住宅で使われることはない。
- 2種:電気工具を用いる作業。サビの範囲が広い場合、鉄骨建築の外壁で使用。
- 3種:電気工具やサンドペーパーを用いる作業。サビの範囲が少ない場合、一般住宅の外壁や屋根で使用。
- 4種:サンドペーパーや研磨スポンジを用いる作業。サビや腐食がほとんどない外壁で使用。
適切なケレン作業が含まれているか、塗装部の状態と照らし合わせて業者に確認しましょう。
コーキング
コーキングは、サイディングのつなぎ目や、窓と外壁の境界に使用されます。
コーキングの種類やコーキング工事の内容によって価格が変動するため、業者に確認するようにしましょう。
具体的な作業内容として、
- コーキングをすべて剥がして打ち直す
- 劣化部分のみ打ち増す
という方法が考えられます。
ポイント⑥付帯部塗装
すでに確認した通り、付帯部の見積書への記載方法は業者によって異なります。
付帯部が「一式」と表記されている場合は、「一式」に含まれる付帯部を確認し、業者との認識の齟齬がないようにしましょう。
事前に確認していないと、追加料金として費用を加算されることになるため注意が必要です。
ポイント⑦保証期間
見積書に保証期間が明記されているか確認しましょう。
外壁塗装の保証は、塗料が剥がれた際の補修をしてくれる塗膜保証が一般的です。
見積書に保証期間・保証内容の記載がない場合、これらが明記された書類を別途作成してもらいましょう。
ポイント⑧出精値引きの金額
見積書に出精値引きの記載がある場合があります。
出精値引きは、一般的に端数の切り捨て程度です。
多くても数万円の値引きなので、出精値引きの金額があまりにも大きい場合は注意が必要です。
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相見積もりは必要?
外壁塗装を依頼する際、複数の業者に見積を依頼することがあります。
特に、外壁塗装を初めて依頼する際は、どのような内容と価格が適切なのか判断するのが困難です。
いくつか見積書を見てみたい場合は、相見積もりをすると良いでしょう。
相見積もりをする場合、以下の項目を整理し、同じ条件で依頼することが重要です。
- 築年数や工事の履歴
- 希望の塗装内容
- 塗装において何を重視するか(価格、耐久年数など)
相見積もりのメリット
相見積もりのメリットは以下の通りです。
- 工事の内容や相場を把握することができる
- それぞれの見積書の内容を比較することができる
- より良い業者を選び、依頼することができる
相見積もりのデメリット
相見積もりのデメリットは以下の通りです。
- 時間と手間がかかる
- 外壁塗装において何を重視するのかを決めるのが難しい
一括で見積もりを依頼できるサイトを活用すれば、依頼にかかる手間は省けますが、返答の手間がかかります。
また、詳細な現地調査が省略される場合もあるため、外壁塗装の程度を自分で判断できない場合は、業者ごとに見積もりを依頼する方が良いでしょう。
断り方
相見積もりをした場合、選んだ業者以外には断りの連絡をする必要があります。
連絡手段は電話でもメールでも大丈夫ですが、なるべく早く、明確に伝えることが重要です。
見積書のお礼メールに関する記事はこちら
業者を選ぶポイント
最後に、外壁塗装業者を選ぶポイントについてご紹介します。
見積書のチェックポイントと重なる部分も多いですが、もう一度確認しましょう。
値引きに注意!
見積書のチェックポイントでも確認しましたが、値引き額が極端に大きい場合は注意が必要です。
端数切捨て~数万円程度の値引きであれば問題ありません。
また、見積書からさらに値引きするという場合もあるようです。
この場合は、なぜその値引きが可能になるのか確認するようにしましょう。
追加工事の想定をしておく
工事を行うなかで、追加工事を提案されることがあります。
口頭ではサービスだと伝えられても、後々代金を請求される場合があるため、注意が必要です。
提示された見積書の内容でどの程度追加工事をカバーできるのか、契約時に確認しておくと良いでしょう。
保証内容・アフターサービス
保証内容や保証期間、アフターサービスが充実している業者を選ぶようにしましょう。
また、これらの保証は必ず書面で提示してもらいましょう。
工程ごとの写真を撮って記録してくれる業者であれば、なお安心です。
特に、高いところの塗装は、元の状態や塗装後の状態を確認するのが困難です。
写真の提出があれば、どのような塗装が行われたのかチェックできるため、業者としてはいい加減な施工ができません。
作業の報告をこまめに行い、工程ごとの写真を提出してくれる業者は、信頼度が高い業者といえるでしょう。
工事写真に関する記事はこちら
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まとめ
外壁塗装工事の適切な内容や価格を把握するためには、見積書を理解することが重要です。
金額部分だけでなく、使用される塗料のメーカーや商品名、塗装回数、下地調整の内容など、細かい項目をしっかり確認するようにしましょう。
大幅な値引きに惑わされず、保証やアフターサービスの充実した業者を選ぶと安心です。