近年は、電気代の節約や災害への備えとして、太陽光発電システムを設置する人が多くなりました。
ただ、太陽光発電システムは非常に高額であり、高いお金を払ってまで導入すべきかどうか迷う方も多いことでしょう。
そこで、本記事では太陽光発電システムのメリットやデメリット、設置費用、仕組みなどについて解説します。
また、太陽光発電システムの売電制度についてもご紹介します。
目次
太陽光発電とは?
太陽光発電は、その名の通り太陽から放出される光を利用した発電システムのことです。ソーラー発電と呼ばれることもあります。
太陽光エネルギーを電力に変換するため、太陽光発電システムは場所を選ばず設置可能です。
また、火力発電のように、石炭や石油などを必要としないため、燃料が枯渇する心配もありません。さらに原子力発電のように、爆発事故などの危険性や環境汚染のリスクがないことも太陽光発電の特徴です。
クリーンで安全な電力エネルギーであることから、今後も太陽光発電システムの導入が進んでいくと予想されています。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電は、ソーラーパネルによって発電する仕組みです。
ソーラーパネルとは、小さな太陽電池をたくさん取り付けたパネルのことです。太陽電池パネル、太陽電池板、太陽電池モジュールなどの名称で呼ばれることもあります。
太陽電池は、種類が豊富です。
大まかに分けると、『シリコン系』、『化合物半導体系』、『有機系』の3種類があります。
このうちで、現在の主流となっているのは、シリコン系太陽電池です。
シリコン系太陽電池の発電方法
シリコン系太陽電池は、「n型半導体」と「p型半導体」によって作られています。
このシリコン系太陽電池の境目に太陽光が当たると、n型半導体からはマイナスの電気である『電子』、p型半導体からはプラスの電気である『正孔』が集まります。
こうしてプラス極とマイナス極が形成されることで、乾電池のような、『電子』が導線を伝わって移動し、直流の電気が生じる仕組みになります。
ソーラーパネルによって発電した電力は、一旦接続箱へ集まり、パワーコンディショナーへと送られます。パワーコンディショナーとは、直流の電気を交流の電気に変換するための装置です。
パワーコンディショナーを介して電気が変換されることで、家庭用の電気として使用することができます。
太陽光発電が注目される理由 (SDGs、脱炭素社会など)
では、なぜ太陽光発電が注目されるようになったのでしょうか。
いくつか見ていきましょう。
災害への備えになるから
太陽光発電が注目を浴びる理由の1つ目は、太陽光発電が災害の備えにつながるためです。
地震大国の日本では、これまでに大きな地震が何度も発生しています。
2011年に発生した東日本大震災では、原子力発電所が津波の被害を受けたことで、長期にわたって停電が発生しました。
こうした事態をきっかけに、太陽光発電の導入に踏み切った企業や個人も少なくありません。
さらに、将来的にも大きな地震が発生すると予想されており、台風や洪水、土砂崩れといった災害のリスクも考えられます。
これらのリスクへの備えとして太陽光発電を設置する人が増えています。
安全な電力だから
安全性が高いことも、太陽光発電が注目を浴びる理由の一つです。
旧ソ連のチェルノブイリや福島県で発生した原発事故によって、原子力発電の危険性が問題視されるようになりました。
さらに近年では、原子力発電に対する風当たりも強くなっています。
こうした風潮によって、危険が少ない太陽光発電に関心が集まるようになりました。
太陽光発電は、万一の事故や災害で故障した場合でも、有害物質を発するリスクがありません。
人類や地球環境にとって安心できる電力と言えます。
SDGsや脱炭素社会への関心が高まっているから
SDGsや脱炭素社会への関心の高まりも、太陽光発電が注目を浴びる理由の一つです。
再生可能エネルギーを用いた太陽光発電は、火力発電や原子力発電のように、電力を生み出す際に排気ガスや有害物質を排出しません。
そのため、環境破壊防止、温室効果ガス削減効果も期待できる発電方法として、人々の期待を集めています。
太陽光発電のメリット
太陽光発電の導入には、以下のようなメリットがあります。
電気代の節約になる
太陽光発電の1つ目のメリットは、電気代が安くなることです。
自宅で発電した電力を使うため、太陽光が当たる日中であれば、電気代がほとんどかかりません。
結果、電力会社から購入する電気量が減るため、大きな節電効果が期待できます。
また、太陽光発電システムのリモコンをこまめにチェックすることで、家族間の節電意識も高まります。
さらに、余った電気を売ることで、売電収入も得ることが可能です。
売電の金額が大きくなれば、収支がプラスになる可能性もあります。
再エネ賦課金の負担額が下がる
再エネ賦課金の負担額を抑えられることも太陽光発電のメリットです。
再エネ賦課金は、電気を利用するすべての人が負担しなければなりません。
太陽光発電を導入して電気購入量を減らせば、再エネ賦課金の請求額も少なくなります。
非常時の電気として使える
太陽光発電システムがあれば、電力会社からの電力供給がストップした場合でも電気を確保できます。
太陽光が当たる時間帯であれば、スマートフォンを充電したり、テレビを見たり、パソコンを使うことも可能です。
長時間の停電によって、冷蔵庫や冷凍庫の食材が腐る心配もありません。
災害や停電などの非常事態でも電気が使えるのが、太陽光発電システムのメリットです。
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太陽光発電のデメリット
メリットの多い太陽光発電ですが、実はデメリットもいくつかあります。
購入前にどんなデメリットがあるのかについてもよく確認しておきましょう。
定期的なメンテナンスが必要
太陽光発電システムは、設置したらそれで終わりではありません。
設置後も定期的なメンテナンスが必要です。
経済産業省では、4年に1回の定期点検を推奨しています。
専門業者へ点検を頼む場合は、1回あたり2万円ほどの料金がかかります。
故障していた場合は、パーツの交換費用や修理代も必要です。
太陽光発電システムを取り付ける際には、メンテナンス費用のことも考える必要があります。
設置コスト
太陽光発電を導入する際には、本体代や工事費用などの初期費用が発生します。
一度に高額な費用を用意しなければならないため、設置自体が難しい可能性もあります。
そのような場合には、ローン制度や補助金制度を検討してみると良いでしょう。
日照に左右される
太陽光発電システムの発電量は、その日の天候に左右されます。
晴天時は発電量が高くなりますが、雨天時や曇りの日はあまり発電できません。
また晴天時でも、ソーラーパネルの上に雪が積もってしまうと、発電できなくなってしまいます。
太陽光発電システムを導入する前に、設置場所の環境を調べることや発電量のシミュレーションをしておくと良いでしょう。
太陽光発電の費用
導入費用は、太陽光発電システムの種類や発電量などによって異なります。
一般家庭用向けの太陽光発電システムの場合は、100万円前後が相場です。
また、ソーラーパネルの設置場所や固定方法によっては、それ以上の費用がかかる場合もあります。
さらに屋根へ設置する場合は、作業用足場を組まなくてはならないため、足場代も負担しなければなりません。
業者へ見積もりを請求して、費用の内訳をよく確認しておくと良いでしょう。
売電とは
売電は、文字通り電気を売ることです。
太陽光発電システムを導入すると、余った電気を電力会社に売って収入を得ることができます。
売電収入の計算式
売電収入額は、以下の計算式で算出できます。
「売電収入 = 売電単価 × 発電量(kWh)」
売電価格は電力会社によって決められており、年々価格が安くなっています。
計算が面倒な場合は、インターネットのシミュレーションサイトを活用してみると良いでしょう。
FIT制度とは
FIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光発電システムで作った電気を売る際に、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束した制度のことです。
この制度を利用すれば、一定の期間のみ、固定金額で電気を買取してもらえます。
買取期間については、太陽光発電システムの種類によって異なります。
10kW未満の住宅用太陽光発電システムの買取期間は、10年間です。
▼FIT制度に関して詳しくはこちら
経済産業省 資源エネルギー庁 『固定価格買取制度』
太陽光発電を設置するコツ
最後に、太陽光発電を設置するコツについてお伝えします。
導入費を抑える (補助金など)
太陽光発電システムは高額な製品です。
少しでも導入費用を抑えたい場合は、ZEH補助金やDER補助金などの補助金制度を利用してみると良いでしょう。
地方自治体でも、太陽光発電システムの購入者に対して、さまざまな補助金を用意しています。
例えば、東京都港区では、創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成制度が利用できます。
お住まいの地域の役所のホームページをチェックして、利用できそうな補助金制度がないか調べてみると良いでしょう。
専門業者に依頼する
設置費用を抑えるために、自力で何とかしたいと考える方もいるかもしれません。
太陽光発電システムは、サイズが大きく、重量もあるため、自力での設置は不可能です。
配線などの工事も必要となるため、専門業者へ依頼するのがベストです。
業者によって費用が異なる場合がありますので、複数の業者から見積もり、比較すると良いでしょう。
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まとめ
ここまで、太陽光発電の仕組みやメリット・デメリットなどについてお伝えしてきました。
自宅に太陽光発電システムを取り付ければ電気代が節約できます。
地震や停電などの災害時の備えにもなるため、安心感も得られるでしょう。
FIT制度が用意されているため、10年間は売電収入が得られます。
ただし、太陽光発電システムは定期的なメンテナンスや必要になることや高額な修理代がかかるといったデメリットもあります。
メリットとデメリットをよく把握したうえで、専門業者へ依頼してみると良いでしょう。