インボイス制度における媒介者交付特例とは?必要な対応を解説

インボイス制度における媒介者交付特例とは?必要な対応を解説

インボイス制度における媒介者交付特例とは、どんな内容の特例なのでしょうか。
媒介者交付特例は主に委託販売のケースで問題になります。
委託販売における適格請求書の発行と特例の内容、必要な対応について見ていきましょう。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、課税事業者の発行する適格請求書のある取引にのみ仕入税額控除を認める制度です。

事業者は、課税事業者から適格請求書の発行を求められた場合、消費税額や適用税率などの必要事項を明記した適格請求書(インボイス)を発行することになります。
課税事業者は、適格請求書を受け取って保存しないと仕入税額控除を受けられなくなるので、適格請求書の発行を受けられるかどうかは取引にあたって重要です。

国税庁『インボイス制度の概要』

委託販売の場合、本来であれば購入した取引相手に適格請求書を発行すべきは委託者です。
もっとも、委託販売では、購入相手が誰かが委託者には明確でない場合や速やかに渡せない場合もあるので、特例や代理交付の制度が用意されています。

媒介者交付特例とは

媒介者交付特例とは、一定の要件を満たす場合、取引の媒介や取り次ぎを行う受託者が適格請求書の交付や提供ができるとするものです。

国税庁『適格請求書の交付方法 (媒介者交付特例)』

媒介者交付特例の要件

媒介者交付特例が認められるには、2つの要件を満たさなくてはなりません。

1つ目の要件は、委託者だけでなく、受託者も適格請求書発行事業者であることです。

2つ目の要件として、委託者が受託者に対して、委託者が適格請求書発行事業者の登録を受けていることを、委託する前に通知することが必要です。

通知方法の例として、

  1. 取引の都度、事前に登録番号を書面等により通知する方法
  2. 基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法

が挙げられます。

国税庁『適格請求書の交付方法』

代理交付との違い

代理交付でも、受託者が委託者を代理して適格請求書を交付することが認められています。
ただし、代理交付はあくまでも委託者が発行した適格請求書を代理で交付するだけです。

受託者が適格請求書発行事業者であることは求められません。
媒介者交付特例では、受託者が直接自分の登録番号を用いた適格請求書を発行することが認められます。

  • 施工管理システム

媒介者交付特例を適用する場合の対応

媒介者交付特例を適用する場合には、受託者、委託者それぞれについて、一定の対応が求められます。
媒介者交付特例の要件を満たすだけでなく、求められる対応もしっかりとしておかないと特例が認められなくなるおそれもあるので注意しましょう。

受託者の対応

受託者が購入者に対して適格請求書を発行した場合、発行した適格請求書の写しか、電子データで提供した場合はその電子データを保存しておかなくてはなりません。
あわせて、交付した適格請求書の写し、もしくは提供した電子データを速やかに委託者に交付または提供することが求められます。

適格請求書の写しの交付が困難な場合

委託販売においては、受託者に小さな商品を大量に販売してもらう場合や複数の購入者に対して日に何枚もの適格請求書を交付し続けるような場合があります。

日々の委託販売の件数が多く、適格請求書の写しそのものを交付することが困難な場合には、適格請求書の写しと相互の関連が明確となる精算書等の書類やデータを交付することで、適格請求書の写しの交付に代えることが可能です。

この場合には、受託者も委託者も交付された精算書の写しを保存しておかなくてはなりません。

委託者の対応

委託者は、受託者から交付された適格請求書の写しや提供を受けた電子データを保存しておかなくてはなりません。
あくまでも本来、適格請求書を交付して、その控えを保存しておくべきは委託者なので、自分が交付した場合と同等の対応を取ることが求められます。

また、媒介者交付特例は、購入者に直接、適格請求書を発行する受託者だけでなく、委託者も適格請求書発行事業者であることで認められるものです。

そのため、委託者は免税事業者になったなど、なんらかの事情で適格請求書発行事業者でなくなった場合、適格請求書発行事業者でなくなったことを受託者に対して速やかに通知しなくてはなりません。

委託者が適格請求書発行事業者でなくなれば、受託者が適格請求書発行事業者であったとしても、委託者の代わりに購入者に対して適格請求書を発行することはできなくなります。

その他の特例

その他の委託販売や委託販売と同等のケースで認められている特例をご紹介します。

農協特例

生産農家が、農業協同組合などを通じて農産物の委託販売を行う場合、委託者となる農家は適格請求書の交付義務が免除されています。

長年の慣習や農産物の特性から、農家と農協の委託販売方式では、あらかじめ売値、出荷時期、出荷先といった条件を付けることがない無条件委託方式になっています。

また、出荷価格の決め方も、品質や等級などで区分したうえで、平均価格で算出する共同計算方式が採られているので、委託者が適格請求書を発行することが困難なケースと考えられるためです。

卸売市場特例

卸売市場において、卸売業者が出荷者から委託を受けて行う生鮮食料品等の販売についても、適格請求書を交付することが困難な取引と認められます。
そのため、出荷者から生鮮食料品などを購入した事業者への適格請求書の交付義務が免除されます。

購入した事業者が仕入税額控除をしたい場合、購入した卸売市場が発行する書類の保存で仕入税額控除をすることが可能です。

農林水産省『適格請求書等保存方式(インボイス制度)における卸売市場特例の対象となる卸売市場について』

少額特例

基準期間における課税売上高が1億円以下の事業者、もしくは半年間の特定期間の課税売上高が5,000万円以下である事業者の課税仕入についての特例です。

これらの要件に該当する事業者においては、税込支払額が1万円未満の場合、帳簿を保存しておけば、適格請求書の発行を受けて保存されていなくても、仕入税額控除の適用を受けることができます。

ただし、インボイス制度導入後の経過措置であり、令和5年10月1日から令和11年9月30日までが適用対象期間となります。

国税庁『少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要』

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まとめ

媒介者交付特例は委託販売において、媒介者交付特例の要件を満たした場合に受託者が適格請求書を発行することを認める特例です。

媒介者交付特例の要件として、委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であり、委託者が受託者に対して自己が適格請求書発行事業者の登録を受けていることを取引前に通知していることが必要になります。

特例を利用する場合、委託者・受託者それぞれ対応が求められますので、よく確認して行うようにしましょう。

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