発注書の保存期間と方法を解説!改正電帳法の要件とは?

発注書の保存期間と方法を解説!改正電帳法の要件とは?

商品やサービスを注文する際、発注書を発行することが一般的です。
この発注書は国税関係書類に当たるため、一定期間保存しなければなりません。

今回は、発注書の保存期間や保存方法をご紹介します。
発注書の記載項目や発行タイミング、電子帳簿保存法の改正についても解説します。

発注書とは

発注書とは、商品やサービスを注文する際、発注者側が作成する文書です。
企業や取引の内容によっては、「注文書」とよばれることがあります。

発注書の発行タイミング

一般的な商取引の流れは、次の通りです。

  1. 見積依頼
  2. 見積り
  3. 商品・サービスの発注
  4. 商品・サービスの納品
  5. 納品物の受領・検収
  6. 代金の請求
  7. 代金の支払い

発注者側は、受注側が作成した見積書をもとに、発注先や取引内容を決定します。
その後、決定した内容に沿った発注書を作成します。

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発注書の保存期間

発注書は、商品・サービスを発注する際に発行する書類です。
国税関係書類に該当するため、一定期間保存することが義務付けられています。

法律が定める発注書の保存期間は、

  • 法人の場合
  • 個人事業主の場合

で異なります。

それぞれ詳しく確認しましょう。

法人の場合:7年

法人の場合、発注書は7年間保存しなければなりません。
7年間というのは、その事業年度の確定申告書類の提出期限の翌日からの期間です。

例外

10年間の保管が必要なケース

  • 青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度
  • 青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度

これらに該当する場合、発注書は10年間保管しなければなりません。
なお、2018年4月1日以前に開始した事業年度の場合は、9年間の保管が義務付けられています。

参照:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

個人事業主の場合:5年

個人事業主の場合、発注書の保存期間は5年間です。
青色申告・白色申告、いずれの場合も5年間の保存が義務付けられています。

保存しなかったらどうなる?

発注書を決められた期間保存せず破棄してしまった場合でも、罰則は特にありません。
ただし、規則違反のため、青色申告者の承認を取り消される場合があります。

また、発注書が保管されていなければ、取引の証明が十分にできません。
そのため、税務調査の際、証拠書類不十分のため、追加で税金を徴収される可能性があります。

発注書の発行は義務?

すでに確認した通り、発注書の保管は、法人税法において定められています。
では、発注書の発行も法律によって義務付けられているのでしょうか。

下請法の対象取引の場合

下請法においては、親事業者から下請事業者への発注書の交付が義務付けられています。
そのため、下請法の対象となる取引において親事業者に該当する場合、必ず発注書を作成しなければなりません。

発注書の交付をしなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。

参照:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法」

下請法に該当しない取引の場合

下請法に該当しない取引であれば、発注書の作成は義務ではありません。
ただ、発注書を作成することで、次のようなメリットが得られます。

  • 取引をスムーズに進めることができる
  • 取引内容や条件に関する認識の齟齬をなくすことができる
  • トラブル発生時の証拠となる

受注者側と良好な関係を築くためにも、なるべく発注書を作成するようにしましょう。

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発注書の書き方

ここでは、発注書の記載項目をご紹介します。
国税庁は、発注書に次の5つの項目を記載するよう定めています。

① 書類作成者の氏名又は名称
② 取引年月日
③ 取引内容
④ 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
⑤ 発注先の事業者の氏名又は名称
引用元:国税庁「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」

工事発注書の記載項目

工事発注書の記載項目

サンプルをもとに、工事発注書の記載項目を確認しましょう。

  1. タイトル
  2. 宛名
  3. 発注番号
  4. 発注日
  5. 発注者(自社)情報
  6. 件名
  7. 現場住所
  8. 工期
  9. 支払期日
  10. 支払条件
  11. 見積No.
  12. 合計金額
  13. 取引内容
  14. 備考

親事業者が作成する「3条書面」の記載項目

 

すでに確認した通り、下請法の対象取引に該当する場合、親事業者は必ず発注書を作成しなければなりません。
この場合の記載項目は、次の通りです。

① 親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
② 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
③ 下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう、明確に記載する。)
④ 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
⑤ 下請事業者の給付を受領する場所
⑥ 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日
⑦ 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが、算定方法による記載も可)
⑧ 下請代金の支払期日
⑨ 手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
⑩ 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
⑪ 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
⑫ 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法
引用元:公正取引委員会「親事業者の義務」

発注書の保存方法

発注書の発行義務や記載項目を確認しました。
ここでは、発注書を保存する方法をご紹介します。

紙での取引の場合

発注書を紙で送付・受領した場合、原則、紙の原本を保管します。
税務調査に対応できるよう、取引先ごと、年度ごとに整理しておくと良いでしょう。

紙を電子化する場合(スキャナ保存)

発注書を紙で保存すると、保存スペースの確保や管理のためにコストが発生します。
より効率的に発注書を管理するためには、発注書の電子化がおすすめです。

紙で送付・受領した発注書を電子化して保管する場合、電子帳簿保存法における「スキャナ保存」の要件を満たす必要があります。
スキャナ保存を行うための要件は、重要書類と一般書類で異なります。
発注書は一般書類に当たり、次のような要件が定められています。

CHECK!

スキャナ保存の要件

  • 200dpi相当以上の解像度
  • 赤・緑・青の階調がそれぞれ256階調以上(グレースケールでも可)
  • タイムスタンプの付与
  • ヴァージョン管理
  • 見読可能装置の備付け
  • 速やかに出力すること
  • 電子計算機処理システムの概要書等の備付け
  • 検索機能の確保

※2024年1月以降の要件

参照:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

電子取引の場合

電子取引で送付・受領した発注書は、電子データで保存するよう義務付けられています。
なお、2023年12月31日までに行う電子取引であれば、電子データの発注書をプリントアウトして保存することも認められています。

2024年以降は上述のような保存方法が認められないため、電子データ保存のための環境を整えておく必要があります。

CHECK!

電子データ保存の要件

  • 改ざん防止のための措置をとる
  • 「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
  • ディスプレイやプリンタ等を備え付ける
参照:国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」

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まとめ

発注書とは、商品やサービスを注文する際、発注者側が交付する書類です。
下請法の対象取引の場合、親事業者は、必ず発注書を発行しなければなりません。

また、発注書は一定期間保存する必要があります。
法人の場合は7年、個人事業主の場合は5年の保存が義務付けられています。

紙の発注書をスキャンする場合、電子データの発注書を保存する場合は、保存のための要件が定められています。
電子帳簿保存法を確認し、適切に保存しましょう。

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