近年CM会社といわれるPM業務やCM業務を提供する、コンサルティング会社が急速に増えつつあります。
これは建設プロジェクトの適正な発注方法や、コスト面での透明性に社会の注目が集まるようになったからです。
その結果、発注者に変わって第三者的な立場で、CM会社がコストマネジメントを行うプロジェクトが増えました。
これからは公共でも民間でもCM会社に委託する建設プロジェクトが増えて行くことが予想されます。
そこで、CM会社に委託するメリットや選び方も含めて紹介していきます。
*PM業務 プロジェクトマネジメント
プロジェクト全体を包括的に調整・管理する立場からマネジメントを展開する
*CM業務 コンストラスションマネジメント
設計や施工などの技術的な観点からマネジメントを展開する
コストマネジメントとは
建設プロジェクトでのコストマネジメントは範囲が広くプロジェクト段階でも違っていきますが、その本質は発注者の要望に基づいて適正な予算を想定し、プロジェクトの中で一貫したコストコントロールを実施し、最終的にはコストが予算内で収まるように管理することです。

構想・企画段階のコストマネジメント
- ベンチマーキング調査(類似案件のデータ分析)
- 適正な目標予算の想定
- 事業の妥当性・採算性の検討
計画段階のコストマネジメント
- 概算工事費の算出
- コストプランの作成
- 複数案のコストシミュレーション

設計段階のコストマネジメント
- 概算 または積算による工事費の算出
- 現状コストの確認
- 設計VEの実施
- リスク要因の洗い出し・対応策の検討

工事発注段階のコストマネジメント
- 最適な発注方式と契約方式の検討
- 入札書類の作成
- 業者選定に関わる調整
- 見積書の精査・評価と業者の選定
- 契約条件・価格の交渉

施工段階のコストマネジメント
- 変更工事コストの管理
- コストモニタリング
- 出来高査定と最終工事費の清算
CM会社のコストマネジメントのメリット
発注者のサポート
発注者側のプロジェクトチームの課題や実現化に向けた課題を洗い出し、チームの弱い部分をサポートします。
洗い出した課題については専門家として、その場に応じた対応で課題を解決して行きます。
適正なスケジュールや予算の設定
CM会社の持つ多くのプロジェクトを支えた経験と膨大なデータから、市場動向も含めた的確な目標設定が可能です。
特にスケジュールの設定に関しては、類似案件を基にした具体的なデータから、工期の延伸も視野に入れたスケジュールの設定もできます。
計画を見直す場合の代替案の提示
発注者の意向を踏まえた客観的な視点から、計画や設計の内容を見直し、より費用対効果の高い代替案を提案し、発注者が納得する形で提示します。
大枠をそのままに少し見直すだけで、コストの削減・工期の短縮といった、具体性のある代替案を提示することも可能です。
適正な工事の発注を検討の上実施
近年、建設市場では工事の発注方式がより複雑になり多様化しています。
多角的に比較検討した上で、発注者に取って最適な発注方式を選んで発注するします。その際に、候補会社とのやり取りを一本化して、窓口をCM会社に任せることも可能です。
発注者が候補者と直接やりとりする必要がなくなるので、大幅に時間の節約ができます。
また、見積書の内容を市場に基づいて精査できることから、根拠や説得力のある価格交渉でコストダウンが期待できます。
CM会社の選び方のポイント

一般的な方法として、発注者が複数社に依頼後、候補会社からRFP(提案依頼書)が提出されます。
RFPの内容が発注者の求める条件を満たしているかを審査した上で、プレゼンやインタビューなどの評価も加え、1社に絞り込む流れとなります。
案件依頼
発注者からの要件依頼
↓
RFP(提案依頼書)の作成
↓
候補会社の選定(3〜5社)
↓
RFPの提出
提案書の評価のポイント
- プロジェクトの目的と課題を理解しているか
- プロジェクトの課題に対して具体的な提案があるか
- 提案の内容は分かりやすいか
- 他社とは違う評価対象があるか(実績など)
- 実施スケジュールの具体性
- 各担当者の具体的な役割りの提示
プレゼンテーション
RFP(提案依頼書)のプレゼンについては、主任担当者に担当してもらうのが理想的です。
その後もプロジェクトを通して主任担当者とは、頻繁にやり取りを重ねることになります。
自社の担当が主任担当者から受けた説明に基づいて、社内で説明する場合もあります。
窓口となる主任担当者の説明や表現方法が、分かりやすいかどうかも、プロジェクトをスムーズに進める上で重要な決め手となります。
インタビューのポイント
主任担当者と担当技術者の経験や実績が判断材料となりますので、直近の類似案件でプロジェクトに取り組んだ経験の有無を確認し、経験がある場合は具体的に成果の聞き取りをします。
全体の調整能力やマネジメントの能力・技術的な能力やスキルをしっかり確認の上、安心して同じプロジェクトに取り組めるかを判断します。
最終的には、その担当者や技術者の人となりもあり、意見や要望を言いやすい人を選ぶのも一つの方法です。
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コストマネジメント費用
CM会社に業務を依頼する場合の費用相場は、ほとんどが人件費となるので、同じプロジェクトであっても「業務期間」「業務内容」「実施方針や実施体制」により大きく変動します。
概算する方法は2種類あり、いずれも大まかに費用を把握するための算出方法です。
工事費に対する割合で計算する方法
【概算CM業務費の計算式①】
工事費(億円)×CM業務費率(%)= 概算CM業務費(円)
【概算CM業務費の試算例①】
10億円 × 3.1% = 3100万円
この計算式は費用の目安を簡単に把握できますが、概算の精度については多少粗くなります。
プロジェクトの各段階でも、上記の資産式で得られた概算CM業務費をベースにして、全体の期間に対する業務依頼期間の割り合いを算出することができます。
業務期間と担当者数から計算する方法
【概算CM業務費の計算式②】
業務期間(カ月)× 担当者数(人)× 単価(円/人・月)= 概算CM業務費(円)
例【概算CM業務費の試算例②】
24ヵ月 × 2人 × 125 万円/人・月 = 6000万円
この計算式は、プロジェクトで必要なCM業務を業務期間や担当者数を想定して概算する方法です。
前述した“工事費と業務費率から概算する方法”より手間がかかるのですが、より高い精度で概算費用を得ることができます。
尚、発注者とCM会社との間で、費用を取り決める代表的な方法は下記の通りです。
CM業務費を決定する方法
業務工数の積み上げによる方法【CM業務費の計算式①】
直接人件費(円)+ 諸経費等(円)+ その他(円)= CM業務費(円)
成果報酬による方法【CM業務費の計算式②】
基本業務費(円)+ 成果報酬(円)= CM業務費(円)
まとめ
近年小さな市町村では建築プロジェクトに対して、知識や経験が十分にないために、入札不調等で事業が停滞しています。
こういった現場では、事業の促進のために、知識や経験のある専門家の起用が必要とされています。
また、民間の建設プロジェクトでも、公正な立場で適切なマネジメントを行う専門家に、プロジェクトを任せる発注者が増えています。この流れを受けて国土交通省では、CM会社の社会的な評価も含めて調査を続けています。
働き方改革や建設プロジェクトの国際化を考えれば、今後はCM会社にコストマネジメントを委託して、プロジェクトを行うことが主流になると予想されます。
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