働き方改革やデジタル化の流れを受けて、業務改善への注目が高まっています。
業務改善によって生産性向上を図ることは、もはや経営において必須とも言えるでしょう。
しかし、ひとえに業務改善といっても、その形はさまざまなことをご存知でしょうか。
本記事では、業務改善の進め方から具体的な事例、アイデアや実行のポイントまで、詳しくご紹介します。
業務改善とは
業務改善とは、企業が生産性を高めるために業務内容やプロセスを改善し、最適化・効率化する取り組みのことです。
働き方改革や少子高齢化により、企業経営においてもこれまで以上に効率が重視されるようになっています。
業務改善を行うことで、利益増大、コスト削減、従業員のモチベーション向上など多くの効果が期待できるのです。
働き方改革に関する記事はこちら
業務改善の進め方
業務改善を実施したくても、どのように進めればよいか分からない方もいると思います。
ここでは、業務改善の進め方について、みていきましょう。
業務内容の把握・可視化
まずは、現在の業務内容を把握し、遂行状況の可視化を行いましょう。
業務をリストアップして一覧にしたのち、それぞれの業務内容やフローについてまとめていきます。
業務内容を洗い出す際は、4Mのフレームワークを意識しましょう。
- Man:人的要因。業務を担当する従業員や部署、他業務・他部署との関係性など。
- Matelial:モノ・材料。使用するツールなど。
- Machine:使用する設備。
- Method:手順に関すること。タスク、所要時間、業務フローなど。
正確な情報を把握するために、業務の担当者へのヒアリング・アンケートなども積極的に活用します。
業務の関係性についても把握する
また、業務間の関係性など、社内の業務構造を理解しておくことも重要です。
各業務は何らかの形で他の業務と繋がっていることが多く、業務の現状や課題も共通点が多くあると考えられます。
今後のプロセスでも役立つため、全体像の把握も漏れなく行いましょう。
課題の洗い出し・整理
次に、課題の洗い出し・整理を行います。
可視化した情報をみたり、現場の声を聞いたりして、課題の発見をしましょう。
明かに非効率な部分、属人化しているタスク、作業ミスが多い業務などがあれば、課題として書き出します。
課題整理では、全体を俯瞰して考えることがポイントです。
一見別の課題にみえても、実はボトルネックが同じで、同時に解決できる可能性もあります。
人員や設備面、業務フロー、部署間のつながりなど、複数の視点で課題を整理していきましょう。
課題の優先順位を決定する
課題が出そろったら、優先順位を決めます。
全ての課題を一度に解決することは不可能であり、優先順位が高いものから取り組んでいく必要があるためです。
優先順位を決める際には、業務改善による効果と業務改善の難易度の2軸で課題を分けていきましょう。
業務改善の効果が大きく、比較的簡単に改善できるものの優先順位が高くなるようにします。
課題のゴールを設定する
整理した課題のゴール設定も行います。
ここでは、課題を改善することでどういう状態になりたいのか、目指したい状態をできるだけ具体的に定めましょう。
定性的な目標と数値化した定量目標の両方を定めるのがおすすめです。
また、ゴール設定に使えるフレームワークとして「QCD」があります。
QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字をとった言葉です。
QCDは企業の生産活動における3つの重要な要素で構成されています。
改善計画の策定
課題の整理が完了したら、いよいよ改善計画の策定に入っていきます。
重要なのは、目的・目標に沿って計画を作成することです。
実行後に失敗に終わらないよう、目的・目標を意識して業務改善の方向性がブレないようにします。
できるだけ具体的な計画をたてるようにしましょう。
改善計画の実施・振り返り
改善計画が決まれば、計画に沿って改善を実施していきます。
定期的に計画の実施状況を確認し、現状にそぐわない時は適宜変更を加えましょう。
計画の実行が終われば、結果の分析・フィードバックを行います。
振り返る際は、以下の点をよく確認、分析しましょう。
- 課題解決の目標は達成したか
- 効果はどの程度あったか
- 改善計画通りに進んだか、その要因は何か
業務改善は、一度で完結せず、定期的に改善を繰り返していくことが大事です。
業務効率化に関する記事はこちら
業務改善の事例15選
ここからは、具体的な業務改善の事例をみていきましょう。
マニュアルの作成
業務フローや作業手順についてまとめたマニュアルを作成する方法があります。
マニュアルを作成することで、業務が標準化され、業務効率化・品質の均一化・属人化防止などの効果が期待できます。
不要な業務の削減
不要だと思われる業務は思い切って廃止してしまうのも手です。
不要な業務を削減し、業務を効率化することで従業員の負担軽減、生産性の向上に繋がります。
社内アンケートや業務へのレビューを定期的に行い、無駄な業務を洗い出します。
また、実際に業務を廃止する際には、関係各所との連絡を密にとり、サポートすることで影響が最小限になるようにします。
社内の情報共有の促進
情報共有がしやすい環境をつくることも大切です。
スムーズな情報共有が実現されると、業務のスピードが向上し、生産性の向上や円滑なコミュニケーションに繋がります。
情報共有の促進には、情報共有ツールの導入がおすすめです。
RPAの導入
RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、繰り返し行う業務を自動化する技術です。
繰り返し行う単純作業や定型業務を自動化することで、他の業務により多くの時間を割けるようになります。
また、人為的ミスの防止にも繋がるでしょう。
ITツールの導入
ITツールの導入も、業務改善に大いに役立ちます。
ITツールといっても業務管理システム、タスク管理ツールなど、さまざまなものがあります。
業務改善をしたい業務を選定し、その業務に合わせた機能を備えたシステムを導入するようにしましょう。
人材の再配置
業務内容そのものに問題がなくても、人材配置が不適切であるために業務が非効率的なこともあります。
それぞれの従業員のスキルや希望を踏まえて、人材を再配置することも有効な方法です。
各従業員と丁寧にコミュニケーションを取り、企業全体の目標とも照らし合わせて検討しましょう。
タイムマネジメント
目安の作業時間を定めたり、スケジュールや進捗状況を可視化したりして、タイムマネジメントを徹底することも効果的です。
効率的に終わらせようとする意識が社内に生まれるほか、業務の偏りをなくす平準化に期待ができます。
タイムマネジメントを可視化する際には、タスク管理票や工数確認表を利用しましょう。
適切な目標設定
組織や業務、従業員ごとの目標設定や、目標の見直しをすることも、業務改善に繋がります。
適切な目標を設定することで、従業員のモチベーション向上や業務計画の策定に役立ちます。
業務の進捗確認や課題・成果の可視化を行い、それらをもとに目標を設定しましょう。
コンサルの利用
企業全体で業務改善を促進したい場合、コンサルティングなど、専門家によるサービスの導入も視野に入れましょう。
業務改善を社内で完結したくても、専門知識がないと難しかったり、客観視できなかったりすることがあります。
自社の現状や課題を明確にし、必要であれば外部の専門家に相談しましょう。
外部委託の活用
業務の一部を専門企業などに外部委託(アウトソーシング)する方法もあります。
定型業務や専門的な業務を外部委託することで、社内のリソースを他の業務に集中させることができ、経費削減などに繋がるでしょう。
コミュニケーションの促進
コミュニケーションの促進は、チームワークの向上に役立ちます。
例えば、定期的なミーティングや1on1の開催、チャットツールの活用などが挙げられます。
また、部署間やチーム間のコミュニケーションを促進する機会を設けるのも効果的です。
文書の電子化
紙で作成・共有をしている文書をデジタルフォーマットに変換する文書の電子化も業務改善に繋がります。
文書の電子化は、利便性の向上はもちろん、管理コストの削減や、紛失リスクの軽減、環境への配慮など、多くのメリットをもちます。
労働環境の改善
労働環境の改善は、従業員のモチベーション向上やストレス軽減に効果的です。
具体的には、長時間労働の是正、オフィス環境の整備、福利厚生の充実などが挙げられます。
人材育成
社内の人材育成に力を入れることで、組織全体のスキルアップ、リソース拡大に繋がります。
例えば、研修制度やメンタリング制度、スキルアップ支援制度などがおすすめです。
業務の優先度の設定
業務の優先順位を明確化することも業務改善に役立ちます。
全ての業務を改善、効率化できたら理想ですが、一度に実践することは困難なので、優先順位の高いものから実践していきましょう。
業務改善のアイデア
先ほど業務改善の具体例をご紹介しましたが、自社で実践できそうなものはありましたでしょうか。
全く同じ改善内容でなくても、視点を参考にすることで、自社の業務改善に役立てられることは多くあります。
業務改善に役立つ視点として、主に以下のものが挙げられます。
- 廃止:業務をやめる
- 集約:期間や場所を集約する
- 代替:人や作業手順を入れ替える
- 移管:業務を他部署・外部に委託する
- 標準化:マニュアルを作成するなどして、業務を標準化する
- 簡略化:タスク・工数を減らす
- 自動化:新たな機械、システムを導入する
ゼロから改善策を思いつくことは、実際にはかなり難しいです。
そのため、具体例や上記の視点を存分に参考にしながら、業務改善を進めていくようにしましょう。
マネジメントと生産性に関する記事はこちら
業務改善のポイント
ここでは、業務改善を実施する際のポイントをご紹介します。
業務改善の目的を共有する
業務改善を成功させるには、従業員の協力が必要不可欠です。
従業員の協力を得るためには、「なぜ業務改善を行うのか」「どのような効果があるのか」といった業務改善の目的を丁寧に説明する必要があります。
なかには、必要性がわからない従業員や仕事内容に変更があることを心配する従業員もいることでしょう。
一人ひとりのマインドに気を配りながら、進めるよう意識してください。
フレームワークを活用する
業務改善を徹底する際には、フレームワークの活用がおすすめです。
フレームワークを参考にすることで、具体的にかつ漏れなく業務改善を検討・実行することができます。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、Plan(計画する)Do(実行する)Check(評価する)Action(改善する)の総称で、このサイクルを繰り返すことで業務品質を向上していくフレームワークです。
効果を発揮するためにはサイクルを止めないことが重要です。
小さな作業でも評価・改善の回数を増やすことを心がけましょう。
ECRS
ECRSとは、業務改善における4つの視点と順序を示すフレームワークです。
業務の改善内容を検討する段階で活用できます。
- Eliminate(排除)
- Combine(結合)
- Rearrange(入替え)
- Simplify(簡略化)
業務改善助成金の活用
業務改善助成金とは、生産性向上を通じて従業員の賃金引上げを図る起業のために厚生労働省が用意した助成金制度です。
設備やITシステム導入費用、教育訓練や経営コンサルティングなどのサービス利用費を補助してくれます。
申請対象、申請の要件などをよく確認し、活用できる際にはぜひ活用してみてください。
業務改善とフレームワークに関する記事はこちら
一元管理で業務改善!『建築・リフォーム業向け管理システム アイピア』
アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。
アイピアはここが便利!6つのポイント
まとめ
業務改善とは、企業が生産性を高めるために業務を改善し、最適化・効率化する取り組みを指します。
業務改善はただやみくもに改善策をうつのではなく、現状の把握、課題の整理、計画の策定、計画の実行、振り返りと段階を踏んで行うようにしましょう。
また、この記事で紹介した業務改善の具体例やアイデア、ポイントも参考にしてください。
業務改善を進めるポイントはこちら
- 業務改善を効率的に進めるポイントとは?
- 【工務店の業務改善】施工管理の効率化方法と効率化のメリットとは
- 【超初級】業務改善報告書の基本的な書き方とは?テンプレート例つき
- 【最新版】業務改善助成金とは?簡単な申請方法から注意点まで
- 業務効率化とは?具体策と進める際のポイントを解説
- 業務効率化とは?具体策と進める際のポイントを解説
ツールを使った業務改善ならこちら
36協定に関する記事はこちら
"社内のデータを一元管理"工務店・リフォーム会社が選ぶ!
建築業向け管理システム
Aippear(アイピア)