注文請書を作成するとき、「収入印紙は必要なの?」「いくらの印紙を貼ればいい?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
注文請書は、記載された内容によって印紙税の課税対象になる場合があります。特に工事に関する注文請書は、印紙税法上の「請負に関する契約書(第2号文書)」に該当することがあり、契約金額に応じて収入印紙が必要です。
一方で、電子データとして注文請書をやり取りする場合など、印紙税が課税されないケースもあります。
この記事では、注文請書と収入印紙の関係、印紙税額、印紙が不要になるケース、電子契約での取り扱いについて、2026年9月時点の情報をもとに解説します。
注文請書に収入印紙は必要?

注文請書だからといって、必ず収入印紙が必要になるわけではありません。
印紙税がかかるかどうかは、書類の名称ではなく、記載されている内容や契約の実態によって判断されます。
国税庁では、注文書や申込書などの名称が付いている書類でも、契約の成立を証明する目的で作成されたものは、印紙税の課税対象となる場合があるとしています。
特に工事注文請書は、請負契約の成立を証明する文書として「第2号文書」に該当することがあります。
注文請書とは?
注文請書とは、発注者から受けた注文に対して、受注者がその内容を承諾したことを示す書類です。
一般的には、発注者が注文書や発注書を作成し、受注者がその内容を確認して注文請書を返送します。
注文請書には、以下のような内容を記載するのが一般的です。
- 工事名・商品名・業務内容
- 数量
- 契約金額
- 工事場所・納品場所
- 工期・納期
- 支払条件
- その他の契約条件
注文請書を作成しておくことで、発注内容や契約条件を双方で確認でき、後から「言った・言わない」といったトラブルが発生するのを防ぎやすくなります。
注文請書に関する詳細記事はこちら
収入印紙とは?
収入印紙とは、印紙税などの税金を納付するために使用する証票です。
印紙税法では、契約書や領収書など一定の文書を「課税文書」として定めており、課税文書を作成した場合には、原則として印紙税を納める必要があります。
重要なのは、収入印紙を貼ること自体が契約の有効性を決めるわけではないという点です。印紙税は、法律で定められた課税文書に対して課される税金です。
そのため、「契約書だから必ず印紙が必要」「注文請書だから必ず印紙が必要」と一律に判断するのではなく、文書の内容と印紙税法上の課税文書に該当するかを確認する必要があります。
収入印紙に関する記事はこちら
注文請書の印紙税はいくら?
請負に関する注文請書が印紙税の課税対象となる場合、契約金額に応じて印紙税額が決まります。
国税庁では、請負に関する契約書を「第2号文書」として分類しています。工事請負契約書や工事注文請書も第2号文書の例として挙げられています。
2026年4月1日現在の第2号文書の印紙税額は、以下のとおりです。
| 契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 400円 |
| 200万円を超え300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 100,000円 |
| 5億円を超え10億円以下 | 200,000円 |
| 10億円を超え50億円以下 | 400,000円 |
| 50億円を超えるもの | 600,000円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
ただし、建設工事の請負に関する契約書には、2027年3月31日まで軽減措置が設けられています。
建設工事に該当する注文請書については、契約金額が100万円を超える場合、軽減後の税額が適用されるケースがあります。
| 建設工事の契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 200円 |
| 200万円を超え300万円以下 | 500円 |
| 300万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 30,000円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 60,000円 |
| 5億円を超え10億円以下 | 160,000円 |
| 10億円を超え50億円以下 | 320,000円 |
| 50億円を超えるもの | 480,000円 |
なお、建設工事に関する軽減措置には適用条件があります。実際に注文請書へ貼付する印紙税額を判断する際は、契約内容と最新の国税庁の情報を確認しましょう。
注文請書に収入印紙が不要になるケース
注文請書を作成した場合でも、すべてのケースで収入印紙が必要になるわけではありません。
契約金額が1万円未満の場合
請負に関する契約書(第2号文書)に該当する場合でも、記載された契約金額が1万円未満であれば、原則として印紙税は非課税です。
ただし、ほかの課税文書にも該当するなど、文書の区分によって取り扱いが異なる場合があります。単純に「1万円未満なら必ず印紙不要」と判断せず、文書の内容を確認することが重要です。
電子データで注文請書を交付する場合
注文請書を電子データとして作成し、電子メールなどで相手方へ送信する場合は、紙の課税文書を作成したことにはならず、印紙税が課税されないケースがあります。
国税庁も、請負契約に関する注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合について、印紙税の課税関係を示しています。
つまり、紙の注文請書を電子化することで、印紙税の負担を抑えられる可能性があります。
ただし、電子メールで送信した後に紙の注文請書を別途交付するなど、実際に紙の課税文書を作成・交付した場合は、印紙税の対象となる可能性があります。
そもそも印紙税の課税文書に該当しない場合
注文請書という名称であっても、必ず印紙税の課税対象になるわけではありません。
国税庁によると、注文書や申込書などは通常、印紙税の課税対象ではありません。ただし、契約の成立を証明する目的で作成されるものは、契約書として課税対象になる場合があります。
そのため、「注文請書」という書類名だけで判断せず、契約の成立を証明する文書なのか、どのような内容が記載されているのかを確認することが重要です。
注文請書と発注書・注文書の違い
注文請書と発注書・注文書は、いずれも取引に関する書類ですが、基本的な役割が異なります。
| 書類 | 主な役割 | 作成する側 |
|---|---|---|
| 発注書・注文書 | 商品・工事・サービスなどを注文する | 発注者 |
| 注文請書 | 注文を受けたことを承諾する | 受注者 |
たとえば、工務店が協力会社へ工事を依頼する場合、工務店が発注書を発行し、協力会社が注文内容を確認して注文請書を発行するという流れが一般的です。
ただし、実際の契約方法や書類の役割は企業間の取り決めによって異なります。
注文請書に収入印紙を貼るときの注意点
注文請書が印紙税の課税対象となる場合は、契約金額に応じた収入印紙を貼付し、適切に消印する必要があります。ここでは、印紙税額の確認方法や収入印紙の貼り方、貼り忘れた場合の取り扱いなど、注文請書を作成する際に注意したいポイントを解説します。
印紙税額は書類の内容で判断する
印紙税は、単純に「注文請書だから○円」というように決まるものではありません。
課税文書に該当するか、どの種類の文書に該当するか、契約金額はいくらかなどを確認して税額を判断します。
特に建設業では、工事請負契約、追加工事、変更契約など複数の契約書類を扱うため、それぞれの書類について印紙税の取り扱いを確認することが大切です。
収入印紙を貼ったら消印する
印紙税の対象となる文書に収入印紙を貼った場合は、印紙と文書にまたがるように消印を行います。
消印は、貼付した収入印紙を再利用できない状態にするために行います。印紙を貼るだけで終わらせず、所定の方法で消印することを忘れないようにしましょう。
印紙を貼らなかった場合はどうなる?
印紙税の課税文書なのに収入印紙を貼付していなかった場合、印紙税を納付していないことになります。
印紙税には、納付すべき税額だけでなく、状況によっては過怠税が課される場合があります。
そのため、注文請書を作成した段階で印紙税の対象となるかを確認し、必要な場合は適切な金額の収入印紙を貼付しておくことが重要です。
注文請書の印紙税を節約するなら電子化も選択肢
注文請書を紙で発行する場合、課税文書に該当すれば収入印紙が必要になります。
一方、契約書や注文請書などのやり取りを電子化することで、紙の課税文書を作成する場合に発生する印紙税を抑えられる可能性があります。
電子化には、印紙税の削減だけでなく、印刷・郵送コストの削減、書類の検索性向上、保管スペースの削減、契約業務の効率化などのメリットもあります。
特に建設業では、工事ごとに見積書・注文書・注文請書・契約書・請求書など多くの書類を扱います。電子化によって書類を一元管理できれば、担当者の負担軽減にもつながります。
注文請書と収入印紙に関するよくある質問
注文請書の収入印紙については、「必ず印紙を貼る必要がある?」「工事の注文請書にも印紙は必要?」「電子契約ならどうなる?」など、さまざまな疑問があります。ここでは、注文請書と収入印紙に関してよくある質問を取り上げ、具体的なケースをもとに解説します。
注文請書は必ず収入印紙が必要ですか?
いいえ。注文請書だからといって、必ず収入印紙が必要になるわけではありません。
印紙税は書類の名称ではなく、文書の内容や契約の実態によって判断されます。請負に関する契約書に該当する場合は、契約金額などに応じて印紙税が必要になります。
工事の注文請書には収入印紙が必要ですか?
工事注文請書は、印紙税法上の「請負に関する契約書(第2号文書)」に該当する場合があります。
課税文書に該当する場合は契約金額に応じて印紙税が必要です。また、建設工事の請負に関する契約書には、2027年3月31日まで軽減措置があります。
10万円未満の注文請書なら印紙は不要ですか?
「10万円未満なら印紙不要」という判断は正しくありません。
請負に関する契約書(第2号文書)は、記載された契約金額が1万円未満の場合は非課税ですが、1万円以上100万円以下の場合は200円の印紙税がかかります。
電子契約なら収入印紙は不要ですか?
電子データとして契約情報や注文請書をやり取りする場合、紙の課税文書を作成しないため、印紙税が課税されないケースがあります。
ただし、電子化した後に紙の注文請書を別途作成・交付する場合などは取り扱いが変わる可能性があるため、注意が必要です。
注文請書の金額を変更した場合、印紙はどうなりますか?
契約金額を変更する場合は、変更契約書などの文書について、変更内容や記載方法に応じた印紙税の取り扱いを確認する必要があります。
単純に「変更した金額との差額分だけ印紙を追加すればよい」と一律に判断することはできません。変更前の契約書や変更契約書の記載内容などによって取り扱いが異なるため、個別に確認しましょう。
税務調査に関する記事はこちら
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まとめ
注文請書に収入印紙が必要かどうかは、書類の名称だけではなく、記載内容や契約の実態、契約金額などによって判断します。
請負に関する契約書(第2号文書)に該当する場合、記載された契約金額が1万円未満であれば非課税ですが、1万円以上になると原則として印紙税が発生します。
また、工事注文請書は第2号文書に該当する場合があり、建設工事の請負に関する契約書については、2027年3月31日まで印紙税の軽減措置が適用されます。
一方で、電子データとして注文請書をやり取りする場合など、印紙税が課税されないケースもあります。
注文請書を適切に管理するためには、紙と電子それぞれの特徴を理解し、自社の契約方法に合った運用を整えることが大切です。印紙税の判断に迷う場合は、最新の国税庁の情報を確認するか、税理士などの専門家に相談しましょう。
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