管工事の動向を解説!M&Aの効果や売却・買収事例をご紹介

管工事の動向を解説! M&Aの効果や 売却・買収事例をご紹介

管工事は、施設の建設やインフラ整備に欠かせない工事です。
この記事では、管工事の特徴や動向を解説していきます。

近年増えている管工事業界のM&Aについて、売り手側、買い手側それぞれのメリットを解説するとともに、実際の売却・買収事例をご紹介します。

管工事とは


管工事とは、水道管やガス管、空調設備などの配管などを伴う工事のことで、大きく給排水設備工事空調衛生設備工事に分けることができます。
給排水・給湯設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事をはじめ、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、冷凍冷蔵設備工事、厨房設備工事などさまざまな管工事の種類があります。

事業者は、管工事やその他の設備工事を総合的に提供しているケースをはじめ、特定の管工事のみに特化しているケースも少なくありません。

管工事業界の区分

管工事業界の区分として、どのような形で工事の注文を受けることが多いかで分けることが可能です。

元請け・下請け

元請け・下請けは、ビルや商業施設、マンション、戸建て住宅などの建設工事を発注者から請け負った元請業者から、管工事の部分を下請けとして発注されるケースです。
契約は元請業者と締結し、工事代金も元請業者に請求して代金を受け取ります。

自己建設

自己建設とは元請業者を介することなく、発注者から直接依頼を受けて工事を請け負う方法です。
工事の計画立案から施工、工程管理、品質管理など一連の工程を1社で請け負って提供できる場合を自己建設会社と呼んでいます。

管工事業界の動向


管工事業界の動向について見ていきましょう。

需要の増加

給排水設備工事やガス管工事などの配管工事では、高度成長期に敷設した水道管や下水管、ガス管などの老朽化が進み、更新工事の需要が増大しています。

公共工事であるケースが多く、安定的な需要と収益の確保が期待できます。
同様に、老朽化が進む大型オフィスビルや商業施設の建て替えや老朽化した配管のリニューアル工事の需要も高まっており、市場は拡大傾向です。

また、地球温暖化対策などに伴い、年間エネルギー消費量の収支ゼロとなるZEB建物の建築が国をあげて推進されています。
省エネ建物の建築にあたっては、空調設備工事による省エネの実現がカギとなるので、空調設備関連の管工事も需要が高いです。

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多重下請構造

管工事に限ったことではありませんが、建設業界では多重下請構造が慣習化しています。
元請けから下請け、孫請けとどんどん続いていき、人手不足を補うことやお互いに仕事を回し合うことで経営を維持しているような事業者も少なくありません。

高齢化

管工事業者は、大規模な事業者だけでなく小規模な事業者も少なくありません。
経営者が高齢になっているのをはじめ、若い人材が入ってこない状況もあり、職人の高齢化も深刻化しています。

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人材不足

日本は少子高齢化で、どの業界も人材不足に悩まされています。
中でも、建設業界は仕事がきつい、危険、労働環境が悪いなどのイメージから人材が集まってきません。

管工事は専門知識や技術が必要で、経験も重要になってくるので、よりハードルが高いです。
いかに人材を集め、かつ若手の育成を図っていくかが課題です。

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後継者問題

管工事の事業者は、中小企業や小規模事業者も少なくなく、後継者がおらず悩んでいるケースも少なくありません。
自分の代で終わりと廃業を検討している事業者も多いです。

技術の継承ができなくなるリスク地方における需要への対応力が低下するおそれが高まっています。

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【売り手】管工事業界におけるM&Aのメリット

管工事業界においては、需要はあるのに人手不足や高齢化、後継者がいないなどの問題が発生しており、こうした問題を解決する目的でもM&Aのニーズが高まっています。
ここからは、M&Aの売り手側のメリットを見ていきましょう。

廃業を回避できる

後継者がいない、人手が不足している、高齢の職人ばかりで事業継続が難しいといった事業者も、M&Aによって廃業を回避できます。

後継者問題が解決し、他社と合併することで若手人材への技術の承継などが可能となるためです。

経営が安定する

小規模に経営しているより、M&Aで規模を大きくしたほうが、元請けとして受注ができるようになることや公共工事などの安定した案件を受けやすくなり、経営が安定します。

創業者利益を獲得できる

M&Aを通じて会社は手放すことになりますが、売却した代金を通じて創業者利益を獲得できます。
高齢の経営者も安心して引退ができ、安定の老後を送ることができるのもメリットです。

  • 施工管理システム

【買い手】管工事業界におけるM&Aのメリット

では、管工事の事業者を買収する買い手側のメリットはどんな点でしょうか。

人材を確保できる

買い手のほうが職人の高齢化に悩んでいるケースもあり、地方や都心部などの若手人材が多い企業などを買収するケースがあります。
人材が豊富な事業者を買収できれば、人手不足の時代に人材の確保につながります。

新規事業を開拓できる

買収した事業者が得意としている分野で新たに事業を展開することや互いの技術やノウハウを活かして新たな事業を開拓するなども可能です。
現在の事業だけでは先細りといった企業やリスク分散のために別の事業も展開したい企業にはメリットが大きいです。

新規顧客を獲得できる

自社とは営業エリアが異なる事業者や特定の地域に強い事業者などを買収すれば、その事業者の営業拠点を中心に新規顧客の獲得につながります。
また、M&Aによって新規事業を開拓することで、その分野で新規顧客を獲得していき収益を増やしていくことが可能です。

管工事業界における売却・買収事例


では、管工事業界における実際の売却・買収事例を見ていきましょう。

日本エコシステムが葵電気工業を子会社化

日本エコシステムは、名古屋市を拠点に、環境、公共サービス、交通インフラに関する事業を展開しており、空調衛生設備等の設備・施設事業なども行っています。

一方、葵電気工業は同じ名古屋を拠点におく事業者で、大規模マンションや大型商業施設の空調設備工事・給排水設備工事の施工管理を行う会社です。
葵電気工業の子会社化により、同社のノウハウを活かし、空調衛生設備事業でのサービス拡大を図り、業容拡大による新規取引先開拓を目指します。

M&Aマガジン:日本エコシステム、葵電気工業を子会社化へ

前澤化成工業が常陽水道工業を子会社化

前澤化成工業は、上水道・下水道関連製品の生産・販売を軸に、民間企業の産業排水処理システムの提案、設計なども手掛ける会社で全国展開しています。

常陽水道工業は、茨城県を拠点に空気調和設備工事や給排水衛生設備工事、上下水道施設工事、冷暖房衛生設備工事をはじめ、浄化槽や灌漑排水設備、水処理施設工事、太陽光発電設備工事などを幅広く手掛けており、高い施工力・施工管理能力を有し、各種公共工事でも豊富な実績がある会社です。
常陽水道工業を子会社化することで技術とノウハウの融合に取り組み、公共事業や民間事業への取り組みを共同で進め、事業基盤強化と収益力向上を目指します。

M&Aマガジン:前澤化成工業、管工事を行う常陽水道工業の株式取得、子会社化へ

コムシスHDが朝日設備工業を子会社化

コムシスHDは、東京を拠点に全国展開を図り、情報通信工事事業をはじめ、電気設備工事事業や情報処理関連事業と子会社の経営管理を行うホールディングスです。
朝日設備工業は、岐阜市を拠点に管工事・水道施設工事・機械器具設置工事・土木工事・電気工事・消防施設工事・さく井工事を提供する会社です。

M&Aにより、東海エリアを中心に営業力の強化を図り、両社の強みを活かした広範囲な事業展開に取り組みます。
人材と技術といった経営資源を融合させ、M&Aによるシナジーの最大化を追求し、グループ全体としての成長を目指します。

M&Aマガジン:コムシスHD、管工事・水道施設工事などを展開する朝日設備工業と株式交換、子会社化へ

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まとめ

管工事とは、給排水設備工事と空調衛生設備工事などを中心に、水道管やガス管、空調管などの管の配線や設置、交換や更新などに関わる工事です。
管工事業界の区分として、元請け・下請けと、発注者から直接請け負う自己建設があります。

管工事業界の動向として需要は増加傾向にあるものの、多重下請構造や高齢化、人材不足、後継者問題などが課題となっています。
管工事業界におけるM&Aの売り手側のメリットは、廃業を回避できること、経営が安定すること、創業者利益を獲得できることです。

一方、買い手側のメリットは人材を確保できること、新規事業を開拓できること、新規顧客を獲得できることです。

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AIPPEAR NET 編集部

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